恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第九十四話 司馬尉、妹達を呼ぶのことその九
それでだった。彼等は四人に尋ねるのだった。
「そもそもどういう世界なんだよ」
「それすらもわからになくなってきたからな」
「訳のわからないことが多いだろ」
「もう滅茶苦茶なところが多過ぎるぜ」
ビリーにダック、マイケルにホアである。
「まあ。あの裸のおっさん達は置いておいてな」
「あそこまで考えるとどうしようもないからな」
「問題はこの世界だよ」
「どういう構造になってるんだろうな」
まさに考えれば考える程だった。そしてだ。
その彼等にだ。沮授が答えた。
「それね。私達もね」
「わからないっていうのか」
「そっちもか」
「ええ。私達の世界ではね」
そのだ。彼女達の世界ではどうかというのだ。
「洗剤は普通にあって」
「そうよね。秦代にはね」
「もうあったし」
「それに服はね」
「かなり前からこんな感じよね」
「東周時から」
そうなっているというのだ。それを聞いてだ。
タンがだ。その東周時代について話した。
「では孔子以前からじゃな」
「ええ。もうこうした服の原型はできていたわ」
「ちゃんとね」
「服や洗剤の進化が違うようだな」
リチャードもこのことに気付いた。
「おそらくそれは」
「あれか?ジャガイモとかトマトとかもうあるからな」
ビリーはこれが大きいのではないかと指摘した。
「食い物が豊富だからな」
「ああ。この世界の食生活ってな」
それはどうかとだ。マイケルも言う。
「俺達の時代と変わらないからな」
「そうだよな。本当に贅沢だよな」
「この時代じゃないからな」
「俺達の世界だと」
この辺りが全く違っていたのだった。しかもだ。
ここでだ。さらにだった。
「武器だってな」
「ああ、この時代にない武器ばかりでな」
「武器の開発も随分と進んでるよな」
「漢代末期じゃない」
「俺達の世界とは本当に違うからな」
「何もかもな」
「確かに別世界ね」
このことは田豊も認める。
「言うなら私達の世界って」
「一種の特異点かしら」
沮授は自分達の世界をそうではないかと考えた。
「それでこうした様々な違いが出ているのかしら」
「だから余計にか?」
ビッグベアは腕を組んで考えながら述べる。
「オロチだの于吉だの怪しいのが一杯来たのか」
「特異点には特異な存在が集る」
リチャードはこう考えた。
「そういうことか」
「そうでしょうね。多分ね」
「それでなのよ」
田豊と沮授もそうではないかというのだ。
「あの連中も集った」
「そういうことでしょうね」
「何かそう考えるとな」
ホアも首を捻って述べる。
「やっぱり集まるところに集るんだな」
「人は相応しい世界に集る」
「そういうことか」
「話はわかった」
ここでまた話す彼等だった。
「で、こっちの世界に元からいるのはいるか?」
「そういう奴は」
「それがまさか」
「司馬尉?」
曹仁と曹洪が話す。
「あの娘がまさか」
「そうした人間なのかしら」
「だとしたらどうする?」
「その場合は」
「その場合は倒すしかないわ」
「当然ね」
真剣な顔でだ。こう言う二人だった。
「例え誰であろうともね」
「この国を害しようとするならね」
「だって。私達が武を磨いてるのって」
「その為だから」
それでだとだ。彼女達も話す。
「オロチだの何だのが出て来てもね」
「共に倒すわ」
「その覚悟は見事だな」
ビリーは曹仁と曹洪のその考えをよしとした。
「俺なんてな。棒を身に着けたのってな」
「ああ、御前あれだったな」
「そうだよ。たまたまな」
どうだったかとだ。ビッグベアに応えて話す。
「喧嘩の時に棒を使ってな」
「そこをギースの部下にスカウトされてだったな」
「ああ、そうだったんだよ」
「そうだよな。それでギースに従ってるのも」
「俺はリリーを養わないといけないんだよ」
ビリーのその顔が鋭いものになる。
「あいつをな」
「あっ、あんた妹さんいたわよね」
「その話してたわよね」
「いるぜ。最高に可愛いのがな」
その通りだとだ。ビリーは田豊と沮授の言葉に応えて話す。
「俺の宝物だよ」
「その妹さんに丈の奴が粉かけてんだよな」
「あいつは本気で殺す」
まさに本気の言葉だった。
「この俺の手でな。始末してやる」
「そんなに嫌?あいつと妹さんがくっつくのって」
「そこまで言うの」
「ああ、リリーには幸せになって欲しいんだよ」
それでだというのだ。
「あんな馬鹿にリリーは渡せるか、絶対にな」
「まああいつは馬鹿ね」
「間違いなくね」
曹仁達が見てもだ。丈は確かにそうだった。
それでだ。ビリーの言葉に頷いてだった。
「まあ。少なくとも物騒なことはしないでね」
「言っても無駄だろうけれど」
「あいつだけは殺す」
まだ言う彼だった。
「例え何があろうともな」
「やれやれじゃな」
タンが最後にこう言うのだった。何はともあれだ。彼等は今葉静かにしているのだった。そのうえで司馬尉達の動きを見ていた。
第九十四話 完
2011・7・12
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