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オズの木挽きの馬

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第九幕その二

「楓や銀杏はね」
「こうした色になってだね」
「とても奇麗になって」
「それを観て楽しむんだね」
「そうなの」 
 まさにというのです。
「紅葉狩りとか言って」
「そうなんだね」
「あれっ、日本人は春にお花見するよね」
 モジャボロはここでこう言いました。
「オズの国でも桜が咲く場所に皆で行くし」
「はい、日本人は桜が好きですから」
 恵梨香はモジャボロににこりと笑って答えました。
「そうします」
「そうだよね」
「春になると絶対に」
「他には梅や桃も観るね」
「そうしたお花も好きなので」
 それでというのです。
「そうします」
「それから皐だね」 
 弟さんはこのお花を出しました。
「そうだね」
「そうです、あのお花も奇麗ですね、それと菫も」
「うん、そしてその後は」
 さらにというのです。
「紫陽花だね」
「お花の色がどんどん変わって奇麗ですね」
「桃色、青、紫と」
「雨に濡れたあのお花も好きで」 
 それでというのです。
「皆観て楽しみます、あと菖蒲や百合も」
「それで次は朝顔や向日葵を観るね」
 モジャボロがまた言ってきました。
「そうだね」
「夏次はそうですね」
「そうしたお花が好きだね」
「そうです」
 恵梨香はここでも笑顔で言いました。
「オズの国でも」
「そしてだね」
「薔薇も観て」
 そうしてというのです。
「お花ではないですが」
「楓や銀杏をだね」
「こうして観ます」
「オズの国では季節はなくて」
 グリンダはこのことから言いました。
「それぞれのお花がそれぞれの地域で咲いたりするわ」
「春や夏に限らずですね」
「ええ、例えばこの山では楓や銀杏は今この色になるけれど」
 それでもというのです。
「マンチキンの赤城山では一ヶ月後にね」
「この色になるんですね」
「そうなるの」
「季節はないけれどですね」
「その時期によってね」
「なるんですね」
「そうなの」
 こう恵梨香にお話します。
「それでこの山に今来たから」
「この色の楓や銀杏をですね」
「観られるのよ」
「そういうことですね」
「そうよ、ではね」
「これからですね」
「観ていきましょう」
「わかりました」
 恵梨香はグリンダのその言葉に頷いてでした。
 皆と一緒に楓と銀杏を観ていきます、楓と銀杏は小川そしてその傍にある黄色い煉瓦の道の左右にあります。
 その二色の世界の中を歩きつつ木挽きの馬は言いました。
「赤というか紅でね」
「余計にいいわよね」
「うん、そして黄色というよりは」
 木挽きの馬は恵梨香に応えてさらに言いました。 
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