とある愚者の転生記
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リリカルなのは編
第十四話 私はのび太の使い魔ですから
はい、現在『時の庭園』でございます。
原作のいかにもラストダンジョンという雰囲気が幾分薄れた敷地を越え、お城のごとき建物へ入り、ラスボスっぽく決めたプレシアさんとご対面中です。
お金持ちの豪邸は月村邸やバニングス邸で幾分見慣れているんですが、いかにも西洋の「お城!」という建物で、内部はファンタジー、中身はSFチックというファンタジーなんだかSFなんだか判断に困る建物です。
「プレシア………」
「リニス………」
以前の主人と使い魔のご対面、邪魔しないでおこうと2人を除くメンバーでご挨拶です。
今いるのは、地球組が俺、頼人、すずか、アリサ。時の庭園組がフェイト、アルフと初対面のオリシア・シュバイツァ君。同じ歳でオリシア君は、銀髪の右目が赤、左目が青の虹彩異色の瞳を持つニアSランクの魔力を持つ魔導師だ。
「「オリ主自重~~~」」
紹介を受けたとき、頼人と心がきっと一緒になったに違いない。
あっ、なんかリニスがプレシアさん説教してる。「フェイトが~」「生活態度が~」とか聞こえるな。うん、しばらく近づかない方が良い。
フェイトとアルフを見ると何だか顔が少し青ざめてる。というか、多分俺も同じくらい青ざめてるな。
幸い、玉座の間? は広いのでそれとなく誘導してリニス達から少し離れる。
お互い自己紹介をし、雑談に移る。
「野比のび太」という名前に「ぷっ」と反応していたのを俺も頼人も見逃していない。どうやら、オリシア君も転生者っぽいな。
プレシアさんの病気も彼が治したようだし、アリシアやプロジェクトFATEのことをフェイトに話させたのも彼のようだ。
少し心配していたがオリシア君は悪い奴ではないっぽい。会話をする前はジュエル・シードを集めるフェイト達の黒幕だったらどうしよう? とか考えていたが杞憂っぽいな。純粋にフェイト達を案じている気がする。
時の庭園組の興味は魔法のない生活や学校生活。それと魔法のない管理外世界で作られたデバイスだ。とりわけフェイトはリニスが作成にも携わっていることもあって実際に持って色んな角度から見たり興味津々だ。
あっ、プレシアさん、正座してる………。
見ないふり、見ないふり。
変わって俺達地球組の興味はやはり魔法だ。
とりわけ、無機物が会話するインテリジェントデバイスのバルディッシュには、知識としては知っていた俺や頼人も含め全員驚いた。
スピーカーも見あたらないし、念話とも違うし、どういう仕組みなんだろう………。
どうやってこんな短時間でジュエル・シードを21個すべて集めたかを聞かれたので、
「1個目を見つけ時にあと20個集めないといかんのか~と考えたら、ジュエル・シードが願いを叶えてくれた」
と答えたら、
「………よくまぁ、次元震が起きなかったな」
とあきれられた。やはりけっこうまずい状態だったようだ。とっさに四次元ポケットを使った俺の判断を褒めたい。
オリシア君はこう魔法の研究者としても(比較対象の知識もないのでホントかどうかはわからないが)一流のようで、次元の狭間虚数空間の先にアルハザードはある、らしい。
「重層結界が~」「魔導出力が~」「次元崩壊が~」とかなんとかぶつぶつと独り言を始めた。
「こうなると何も聞こえないんだよ?」
「あ~、そうだよねぇ」
フェイトがやれやれという感じで話すと、身内にマッドサイエンティストがいるすずかもあははと同意する。
あぁ、どうやら向こうの話し合い?も終わったようだ。こっちに向かって来る。
少しお腹も空いたし、ここからはお土産に持ってきた翠屋のケーキでもつつきながら話そうか。
場所を本当の意味での庭園のテーブルに変えて仕切り直し。
お茶とケーキを用意して改めて話し合う。
話してわかったことは、オリシア君もだが、とりわけプレシアさんには生活能力というか一般常識が無いことだ。
時の庭園育ちのフェイトならともかく、プレシアさんて、ヒュードラの開発時、会社勤めしてたんだよな………。
どうも行ってしまえばどうにかなる、としか考えてないっぽい。
3人とも大魔力を持っているので、それで何とかなるというか何とかしてきたっぽい。
まぁ、それにつけこんで、と言うわけではないのだが事前に考えていた通りに話しが付いた。
予想通り「こちらに戻って来る気はない」とのことなので、自重せずにもらえるものはもらうことにした。
ぶっちゃけ、プレシアさんがまっとうな研究者として持っている特許から生ずる莫大な資産や時の庭園という次元航行可能な研究施設だ。こちらに残る元使い魔に資産譲渡するカタチで法的にも整えるらしい。
この辺はリニス任せだ。
………リニスは「次元世界一資産持ちの使い魔」になるな。
そんなこんなで、ジュエル・シードを10個渡し、リニス以外の地球組は家に帰る。
リニスが一緒に帰らないのは、ここに残って資産譲渡の手続きから、アルハザード渡航実験の場所のための無人世界の購入や俺達のためのデバイスの作成、違法実験類のデータの抹消など色々やることがあるからだ。
ホントにたくさんだな………。
なんと剛毅なことに、管理世界の法的に資産と名声があれば、無人世界や安全なロストロギアならある程度個人所有できるらしい。そういえば、vividでルーテシア親子が星1個所有してたか?
プレシアさんはその魔導師ランクとレアスキルだけでなく、研究者としても「大魔導師」の二つ名でかつて呼ばれており、その研究の成果は特許として莫大な資産を産み出し、そのおかげでプロジェクトFATEを含む違法研究やら必要そうなロストロギアの収集を行えたらしい。
………お願いします、違法研究やら違法ロストロギアとかはしっかりと処分しといてください、リニス先生。
時は過ぎ、4月は終わり、カレンダーは5月になった。
ゴールデンウィークのお休みは温泉旅行だ。
元々、高町家・月村家・バニングス家の3家で行く予定だったのを野比家と八神家が加わった。
そして今現在、ユーノがいない。
一応気にはかけていたんだが、念話は届いていない、と思う。
まさか、なのはちゃんに聞くわけにもいかないしね。
見た感じ、レイジング・ハートをなのはちゃんは持っていない(首にかけてない)ので、魔法少女にもなっていない、と思われる。
話しがついているフェイト達が襲って来るとか以前に、ジュエル・シードは既にすべて封印されてるしね。
もう、原作のげの字もないな。
原作と言えば、グレアム一派については頼人まかせとなっているが、月1回ぐらい猫フォームで家を伺う程度らしい。
それから、野比家・バニングス家・月村家の保護者会議とその後の頼人達との話し合いの結果、闇の書の封印ができ次第、頼人とはやては麻帆良市に引っ越すのが決まった。
管理局という組織から逃げるのに、関東魔法協会という組織のお膝元に逃げるのは正しいんだろう。
関東魔法協会やら悠久の風やらに所属するかしないかは、それぞれを知ってからで良いというのが決断の一押しだったみたいだ。
その際、頼人達を気に入ったアリサ父・アリサ母から「いっそのこと2人とも養子に」という話しも出たがとりあえず保留となっている。
まぁ、後見人となっているグレアム氏をどうにかしないといけないしね。
温泉旅行も何事もなく楽しんで終わり、ゴールデンウィークのお休みも終わり、小学校に通う日々が始まります。
そんな日が続き、しばらくしたらリニスが帰って来ました。
準備が整ったようです。
前回の4人に、保護者として俺の両親、忍さん、ノエルさんとファリンさん(月村家メイドさん)、鮫島さん(バニングス家執事さん)の6人を加え、総勢10名で時の庭園に渡る。
自己紹介の後、すべての準備が整ったと報告される。
形式として、『ジュエル・シード21個の対価として、プレシアの資産を使い魔リニスを経由して譲渡する』という契約書をミッド語と日本語で2枚ずつ作成し、署名する。
契約書の内容は保護者ズに一応確認してもらう。ちなみに忍さんはすでにミッド語の読解は完璧だ。
その後、アルハザードへの渡航儀式の説明がされる。
詳しい理論はちんぷんかんぷんだが、概要は理解できたと思う。
手持ちの無人世界にアリシアの身体の保存施設を兼ねた一軒家程度の大きさの小型次元渡航船が準備され、ジュエル・シードを1個持ち次元渡航船内に入り、それにより他のジュエル・シードをコントロールする。(担当:プレシア)
船の中からそれを挟むように次元不干渉のミッド式魔法陣(円に四角)を上下に配置する。その際、魔法陣内の四角の頂点のそれぞれにジュエル・シードを設置し強化する。(担当:オリシアとフェイト)
船外に六芒星を作るようにジュエル・シードを等間隔に置き、船内のプレシアがジュエル・シードを共振させ、六角形の次元の穴を開け、船ごと虚数空間に入る。
闇の書を虚数空間に捨てる。(担当:のび太)
ジュエル・シードにジュエル・シードを触れさせることにより共振を止める。(担当:のび太、リニス、頼人、すずか、アリサ、忍)この際のジュエル・シードは共振が対で止まるように既に加工済み。
転移して帰る。
というスケジュール。
共振が止めやすいように一対で加工してあるジュエル・シードとか、重層の次元不干渉魔法により体感時間が止まるとか色々ツッコミたいところはあるが、リニスとプレシアがこれで良いというなら良いんだろう。
一応リニスもプレシア達と行かなくて良いのかを聞いたけど、
「私はのび太の使い魔ですから」
と残ることを決めたらしい。
儀式の前に各々にインテリジェンスデバイスを配られた。
名称は日本神話から取り、イザナギ(頼人)・イザナミ(はやて)・アマテラス(アリサ)・ツクヨミ(すずか)・スサノオ(俺)・オモイカネ(忍さん)となっている。
はやてには、麻帆良に引っ越しリハビリが終了したら渡す予定だ。
スペアポケットを使って10個で足りない分のジュエル・シードは出され、既に実験は繰り返され万全となっており、儀式自体は滞りなくスムーズに終わった。
闇の書を虚数空間に捨てる時に、通常空間で闇の書を出して転移されても困るので、左手でポケットの着いた服を持ち、右手を服のポケットに入れつつ、両腕を虚数空間に突っ込み、虚数空間内で闇の書を服の四次元ポケットから出すという荒技を行い、万全を期した。一応ノエルさんとファリンさんに虚数空間に落ちないように体を押さえてもらってた。
残った6対のジュエル・シードは加工時に安全な魔力発動体に変えられてるらしいが、一応四次元ポケットにしまった。
こうして、俺達の初めての事件は終わった。
後書き
ほぼ予定通りに、リリカルなのは編のメインが終わり、次話でエピローグを書いてリリカルなのは編の終了です。
名前付きのデバイスも手に入りました。
カレンダー的には、はやての9歳の誕生日は麻帆良で新しい友達に祝ってもらう予定です。
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