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戦国異伝供書

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第百二十話 三州奪還その十三

「今は危うくなることもない」
「それではですな」
「そうした家は迎え入れ」
「当家で働いてもらう」
「そうしてもらいますな」
「うむ、そしてじゃ」
 そのうえでというのだ。
「当家は力を高める、だがやはりな」
「当家は三国ですな」
「薩摩、大隅、日向の」
「その三つの国は取り戻しました」
「それならばですな」
「最早ですな」
「これでじゃ」
 今の状況でというのだ。
「よい、肥後の国人が加わっても」
「肥後は当家の国か」
「そうなるとですな」
「どうにもですな」
「わしは思えぬ、しかし入るならな」
 肥後の国人達がというのだ。
「それならばじゃ」
「拒まず」
「受け入れる」
「そうもしますな」
「うむ、そしてな」
 それでというのだ。
「働いてもらう」
「今話された通りに」
「そうしてもらいますか」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「それならばな、しかしな」
「しかし?」
「しかしといいますと」
「今は強いて降る様に言うことはな」
 肥後の国人達にというのだ。
「せぬ、そこまで手は拡げぬ」
「三国の政ですな」
「それに専念しますな」
「折角全て取り戻しましたし」
「それならば」
「三国をしかと治めてな」
 そしてというのだ。
「もう二度と乱れぬ為にな」
「今は、ですな」
「三国をしかと治める」
「そのことに力を注がれますな」
「薩摩、大隅、日向をな」
 この三国をというのだ。
「それに力を注ぐ、そして大友家が攻めてくるなら」
 それならというのだ。
「備えればならぬし」
「肥後まで手は拡げず」
「そしてですな」
「そのうえで、ですな」
「三国の政に力を注がれますか」
「そういうことじゃ、三国を確かに治めねば」
 それをしなければというのだ。
「今言った通りじゃ」
「折角手に入れた三国がまた乱れる」
「我等の手から離れる」
「そうなるからですな」
「ここは、ですな」
「しかと治めることに力を注ぐのじゃ」
 肥後にまで手を拡げずにというのだ。
「よいな」
「わかり申した」
「それではです」
「その様にしましょう」
「我等は」
「そういうことでな、それと特に大友家はな」
 義久はこの家をのことをさらに話した。
「よいな」
「はい、くれぐれもですな」
「目を離さぬ」
「常にしかと見て」
「一挙手一投足をですな」
「見るのじゃ、伊東家があちらに走ったなら」
 それならというのだ。 
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