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オズの木挽きの馬

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第六幕その九

「食べものも飲みものも宝石もね」
「貴女もいらないのね」
「私自身が最高に奇麗なのよ」
「だからなの」
「しかもガラスの身体を持っている猫なんて私だけね」
「オズの国でもね」
「そんな私がどうして何かを欲しがるの?」
 オズの国でも唯一の存在でしかもとても奇麗なのにというのです。
「そうでしょ」
「貴女はそういう考えだからなの」
「何かを欲しいと思わないし」
 それにというのです。
「誰かに何かをしてもね」
「貴女もよく誰かを助けるわね」
「オズの国の法律にあるでしょ」
「何かあれば助けるね」
「困った人はね、それに私は自分がしたいことをしているから」
 それだけだからだというのです。
「だからね」
「お礼もいいのね」
「自分がしたいことをしてね」
 それでというのです。
「何でお礼がいるのよ」
「そういうことね」
「そうよ、実際にね」
 それ故にというのです。
「私はお礼も何かしてもらうこともね」
「必要ないのね」
「そう考えているわ、あとね」
「あと?」
「褒める言葉ならどんどん聞くわ」
 こちらはというのです。
「喜んでね」
「それはいいのね」
「こんなに奇麗でオズの国で唯一のガラスの身体を持つ猫だから」
 それ故にというのです。
「もうね」
「幾ら褒めてもいいのね」
「そうよ、ただけなしてもね」
 褒めることとは逆にというのです。
「私は聞かないだけだから」
「いいのね」
「下らない言葉を聞く趣味はないわ」
 これがガラスの猫の考えです。
「だからよ」
「それで聞かないのね」
「そうよ、だから幾ら言ってもね」
 それでもというのです。
「いいのよ」
「そうなのね」
「そう、別にね」
「まあ悪いことを言う人っていないけれどね」
 木挽きの馬も言ってきました。
「オズの国だと」
「そうした人いないからね」
「君を悪く言う人もいないよ」
「最初からね」
「うん、けれど君はいつも身体奇麗にしているね」
 このことを言うのでした。
「そうだね」
「それは当然よ」
 当たり前のことだというのでした。
「私は猫だからね」
「猫はいつも自分の身体を奇麗にしているから」
「自分の身体を舐めてね」
 そのうえでというのです。
「そうしているわね」
「それで君もだね」
「いつも身体を舐めてなのよ」
「奇麗にしているんだね」
「それも他の猫よりも念入りにね」
「しているんだね」
「この身体だから」
 ガラスの身体だからだというのです。 
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