歪んだ世界の中で
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第四話 努力をしていきその三
困った顔になりだ。そして千春に言うのだった。
「実はね。僕水着持ってないから」
「水着ならプールで借りられるよ」
「それにさ。太ってるし」
「太ってるのなら余計に泳ごう」
「痩せるから?」
「そう、泳ぐのはいい運動だから」
それでだとだ。千春は希望に笑顔で話す。
「だからね。プールに行って一緒に泳ごう?」
「僕の太ってるの見ても何とも思わないの?」
「うん、思わないよ」
ここでもだ。屈託のない明るい笑顔で応える千春だった。
「何度も言うけれど希望は希望だから」
「だからなんだ」
「じゃあプールでいいよね」
希望の左の手首をだ。右手で掴んできてだった。
そのうえでだ。彼にまた言ったのだった。
「そこで」
「この近くのプールかな」
「そう、そこだよ」
「ええと。この近くのプールっていったら」
希望は何処か見当をつけた。そこはだ。
「八条プールだよね」
「そこにしよう」
八条グループが経営しているかなり大きなプールだ。それこそ幾つものプールがありアトラクションも充実しっている。千春は希望をそこに誘ったのだ。
その誘いを受けてだ。希望もだった。
ようやくといった感じで頷きだ。こう千春に言った。
「それじゃあ行こうか」
「今からね」
こうしてだった。二人でだ。その八条プールに向かったのだった。
希望はレンタルで黒いトランクスタイプの水着を借りて着替えてだ。プールに出た。するとだ。
プールにはもう千春がいた。彼女の姿は。
白いワンピースの水着だった。露出は少ない。
しかしその小柄ですらりとした肢体をよく見せていた。千春は胸はない。
それに身体全体が貧弱に見える。しかしそこに幼い美しさがありだ。それを白い水着で覆っていたのだ。その彼女を見てだ。希望は言ったのだった。
「ええと。その水着にしたんだ」
「そうなの。似合ってるかな」
「うん、似合ってるよ」
微笑んでだ。希望は実際に感じたことを本人に述べた。
「千春ちゃんって本当に白が」
「似合うのね」
「とてもね」
実際にそうだと答える希望だった。
「色が白いからかな。それに髪も黒だし」
黒のロングへアは束ねていない。そのままだった。
「余計にそう見えるのかな」
「千春緑が一番好きだけれど」
「けれどなんだ」
「緑は夏には着ないの」
「暑いから?」
「うん。白の方が涼しいから」
光を反射するだ。その白がだというのだ。
「それでなの」
「そうなんだ。それでなんだ」
「森の中でもね」
話が変わった。街でもプールでもなくだ。
緑の森についてだ。彼女は話してきたのだった。
「白いお花が一杯あると涼しくなるよ」
「それで今もなんだ」
「そう、白い水着なの」
にこりとした笑顔でだ。千春は希望に話した。
「それを着てるの」
「成程ね。それで白が好きなんだね」
「それでその白が似合ってるのね」
「うん、とても似合ってるよ」
にこりと笑って話す希望だった。
「それじゃあ今から」
「泳ごう」
「うん。ただその前に」
「その前に?」
「準備体操をしないとね」
泳ぐ前、もっと言えば身体を動かす前にだ。それは欠かせないというのだ。
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