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戦国異伝供書

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第百十七話 政宗の決意その十

「そしてな」
「戦いますな」
「兵糧がなくては話にならぬ」
 それこそというのだ。
「だからな」
「集めますな」
「そうする、若しなければ」 
 その時はというと。
「話にならぬわ」
「ですな、その時点で」
「だからな」
「兵糧は、ですな」
「集めてな」  
 そしてというのだ。
「戦うぞ」
「忘れはならぬ」
「断じてな、では全て集めて用意するぞ」
 政宗はこう言って戦の為に全てのものを集めさせた、すぐに二万の軍勢とその武具に兵糧が集められ。
 そしてだった、さらに。
 鉄砲も揃い馬もだった。まさに集められるだけのものが集まった。政宗はその状況を見て強い声で言った。
「うむ、これだけの軍勢はな」
「奥羽にはないですな」
「過去これだけの軍勢を揃えられたか」
「そうなりますと」
「ないですな」
「あの藤原氏もな」 
 繁栄を誇った奥州藤原氏もというのだ。
「ないであろう」
「左様ですな」
「あの鎌倉幕府に対した藤原氏ですら」
「ここまでの力はなかったですな」
「うむ、しかも我等は鉄砲も持っておる」
 これもというのだ。
「だからな」
「平泉のあの藤原氏よりも強い」
「それだけの力がありますな」
「まさに奥羽随一」
「そう言っていいですな」
「その力でじゃ」
 まさにというのだ。
「これよりじゃ」
「織田家と戦い」
「そしてですな」
「勝ちますな」
「何としても」
「後はわしの才覚でじゃ」
 これを使てというのだ。
「織田殿に勝つぞ」
「わかりました」
「それではです」
「これより戦いましょう」
「戦場に向かって」
「摺上原においてな」
 戦場の話もした。
「それを見せる」
「わかり申した、何故摺上原か」
「そちらで雌雄を決するのですか」
「それは何故でしょうか」
「何故あの地なのですか」
「うむ、あの地は日橋の川がある、あの川を守りに使える」
 だからだというのだ。
「それでじゃ」
「あの地においてですか」
「織田家と戦う」
「その様にしますか」
「猪苗代の城も使いな」
 この城もというのだ。
「そしてじゃ」
「あの川を挟み」
「奥羽まで来た織田家の軍勢と戦う」
「疲れ切っている軍勢と」
「そうすれば勝てますか」
「左様、兵は互角であるが」
 それでもというのだ。
「幾ら精兵とはいえ疲れ切っておる」
「その兵と戦うなら」
「流石にですな」
「織田家といえども」
「最早関東まで制していても」
「そうそう勝てぬ、川を挟んで鉄砲を使えば」
 そうして戦えばというのだ。 
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