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戦国異伝供書

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第百十七話 政宗の決意その七

「それから九州の島津家なりと結んでな」
「東西からですか」
「織田家を攻める」
「そうお考えですか」
「うむ」
 そうだというのだ。
「そう考えておる」
「では、ですか」
「まずは織田家が来れば退ける」
「そうしますか」
「織田家は関東は制する」
 この地域はというのだ。
「完全にな、しかしそこまででじゃ」
「かなり力を使っていますな」
「本願寺、毛利家、武田家、上杉家を降し」
「山陽と山陰、甲信、北陸を手に入れ」
「そして関東もとなると」
「北条家も降しますと」
「最早じゃ」
 それこそというのだ。
「限界じゃ」
「それ以上は動けぬ」
「当家を攻めるのも大軍では無理なのもその為ですな」
「力を使い過ぎている」
「だからですな」
「その前に領内を巡ってじゃ」
 摂津の本願寺、石山にいる彼等を降す前にというのだ。
「一向一揆を倒していったな」
「でしたな」
「同時に比叡山や高野山とも揉めましたし」
「一向一揆を多く破りました」
「実に多くの戦を経て動き回りました」
「そして武田家と上杉家とも戦っておる」
 この両家とも、というのだ。
「とにかく暫く派手に戦い続けた」
「だからですか」
「もう力の限界ですか」
「そうなっていますか」
「奥羽に来るなら最後の力じゃ」
 今織田家が動けるだけのというのだ。
「まさにな」
「それを退けますと」
「織田家は暫く動けぬ」
「関東は制しても」
「それでもですか」
「後は数年力を養い」
 そしてというのだ。
「そのうえで手に入れた多くの領地の政じゃ」
「それに専念しますか」
「それで、ですか」
「あの家は数年は動かない」
「そうなりますか」
「その間我等は奥羽を制し」
 その数年の間にというのだ。
「政もしてな」
「力を養う」
「そうしますか」
「我等は」
「鉄砲も多く造ってな、そしてじゃ」
 そのうえでというのだ。
「さらにな」
「九州の家と結ぶ」
「島津家等と」
「そうしますか」
「そうする、今九州では三つの家が強いな」
 政宗はその三つの家の名も出した。
「大友、龍造寺、島津とな」
「特に島津ですな」
「殿が言われるには」
「あの家ですな」
「あの家は間違いなく伸びる、そしてじゃ」
 そのうえでというのだ。
「数年のうちに九州をな」
「制する」
「そうなりますか」
「あの家が」
「そうなる」
 まさにというのだ。 
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