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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第九十三話 孔明、司馬尉を警戒するのことその一

                                  第九十三話  孔明、司馬尉を警戒するのこと
 戦いが終わりだ。まずはだった。
 群雄達は朝廷においてそれぞれの官位に任じられた。まずは」
「わたくしが左丞相ですのね」
「不服だというのかしら」
 曹操がその袁紹に問う。二人は今朝廷を出てそこから町に出ようとしている。大路を馬で並んで進んでいるのだ。
「それでは」
「そして貴女が右丞相で」
「ええ、そうよ」
 二人で左右の丞相となったのである。
「あらたに設けられたそれにね」
「普通に考えれば栄達ですわね」
「そうね。妾の娘に宦官の家の娘がそこまでなるのは」
 考えなくともだ。それはその通りだった。
「有り得ないわよね
「それを考えますと素直に喜ぶべきですわね」
「夏蘭や冬蘭達も将軍になれたし」
 当然袁紹の配下の者達もだ。
「桂花達も高官にね」
「そうですわね。孫策さん達は」
「あの娘と美麗も三公になって」
「大尉に司徒に」
 二人もそれぞれ栄達したのである。
「そうしたところもよかったですけれど」
「言いたいことはわかってるわ」
 ここでだ。曹操はその顔を少し忌々しげなものにさせて言った。
「あの娘よね」
「ええ、司馬尉ですわ」
 彼女がだ。どうしたかというのだ。
「急に出て来てそれで」
「まさか。司空になるなんてね」
「思いも寄りませんでしたわ」
「貴女、聞いてるかしら」
 ここで曹操は袁紹に問うた。
「あの娘は先の戦乱の間何処にいたのか」
「いえ、全く」
 聞いていないとだ。袁紹も答える。
「行方を完全にくらましていましたわ」
「そうよ。私もね」
 曹操もだというのだ。
「何処にいたのか全然知らないわ」
「貴女もですのね」
「つまりこの戦乱では何もしていないのよ」
「けれど戦乱が終われば」
 即座にだったのだ。
「都にいてそれで全ての権限を掌握していて」
「宦官達を追放してね」
「あの場に居座っていますわね」
「いけ好かないわね」
 曹操の眉が曇った。
「あの娘にお株を奪われた感じで」
「ええ。大体何処で何をしていたのか」
「それも気になるしね」
「全く。まだオロチだの何なのはいるというのに」
「嫌な話ね」
 二人はそれぞれ国政を司る立場にまで栄達したがそれでもだ。そのことには喜べずにだ。司馬尉のことを考えだ。不機嫌な顔になっていた。
 その司馬尉のことはだ。孔明もだった。この戦乱の最大の功労者であり皇室ということもあり摂政に任じられた劉備にだ。こう話していた。
「あの方ですが」
「司馬尉ちゃん?」
「どうもおかしいです」
 こうだ。劉備に怪訝な顔で話すのである。
「急に出て来られて帝をお救いして」
「都の安全を確保してよね」
「はい、それで私達を迎えて」
 司馬慰はそうしたのだ。これだけなら彼女の功績である。
 しかしその功績についてだ。孔明は疑問符を付けて話すのだった。
「今では三公の一人です」
「それがおかしいのね」
「あの方は今まで何処で何をしておられたのか」
「この戦乱の間いなかったわよね」
「それで終わると急にです」
 出て来たというのだ。
「こんなおかしな話はありません」
「一体何処にいたのかしら」
「そのことですけれど」
 今度は鳳統が出て来てだ。劉備に話すのだった。
 
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