戦国異伝供書
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第百十六話 摺上原の合戦その十一
「敗れる」
「そうなるからですな」
「若し城攻めになっても」
「それでもですな」
「油断せずにじゃ」
例え相手がどれだけ弱っていてもというのだ。
「攻めるぞ」
「わかり申した」
「それではです」
「例え城攻めになってもです」
「戦いましょうぞ」
「その様にする」
こう言ってだった。
政宗は軍勢を進ませた、そうして。
黒川城の前に来た、すると。
城はほぼもぬけの空でしかもだった。
「ふむ、やはりな」
「芦名家の主殿は去られましたな」
「ご実家の方に」
「佐竹家の方に」
「そうされましたな」
「わしの読み通りじゃ、ではじゃ」
それならというのだ。
「我等はな」
「黒川城に入り」
「会津の地を手中に収め」
「そうしてですな」
「まずは米沢に帰られますな」
「そうする、そしてこの城をじゃ」
黒川城をというのだ。
「さらに拡げてな」
「よい城にされますか」
「今いじょうに」
「そうお考えですか」
「うむ」
まさにというのだ。
「そして本城にもな」
「されますか」
「この城を」
「そしてですか」
「これからは」
「この城に住むこともな」
このこともというのだ。
「考えておる」
「米沢からですか」
「会津に移られますか」
「そうされますか」
「ここはよき城が出来てじゃ」
そしてというのだ。
「奥羽から関東を治めるにもよい地じゃ」
「だからですか」
「その様にお考えですか」
「殿としては」
「左様じゃ」
こう言うのだった。
「今はな」
「そこまでお考えとは」
「流石は殿です」
「ではですな」
「これよりは」
「そうして考えてな」
そしてというのだ。
「ことを進めていくぞ」
「わかり申した」
「それではです」
「その様に」
「していく、ではまずは会津を手中に収める」
この地をというのだ。
「よいな」
「それでは」
「この城からですな」
「会津の国人達に使者を送り」
「従う様に言いますな」
「従わぬ者には兵を出してな」
そのうえでというのだ。
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