戦国異伝供書
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第百十六話 摺上原の合戦その七
政宗はその中で風を見ていた、今は芦名家にとって追い風だった。
しかし変わると信じていた、そして実際にだった。
戦がはじまり二刻が過ぎた、ここで。
遂に風が変わった、その動きは。
東から西、伊達家にとって追い風となった。ここで政宗は叫んだ。
「時じゃ!」
「攻めますか!」
「今より」
「そうしますか」
「撃て!」
こう命じた。
「鉄砲を全て使え!」
「わかり申した!」
「ではこれより撃ちます!」
「一斉に!」
「爺、鉄砲隊は任せた!」
茂庭に対して告げた。
「思う存分撃て!」
「その様に!」
その茂庭も応えた。
「させて頂きますぞ!」
「時宗丸は鉄砲騎馬隊を率いよ!」
次は成実に告げた。
「そして敵を攻めよ!」
「はい!」
その成実も応えた。
「これより」
「小十郎は長槍隊じゃ」
最も数の多い彼等をというのだ。
「それで鉄砲隊が撃ちじゃ」
「弾を込め次に撃つまでですな」
「守れ、よいな」
「畏まりました」
片倉は己の主に応えた。
「その様に」
「ではな、小次郎は弓矢じゃ」
彼にはそちらを任せた。
「矢を風に乗せてじゃ」
「そうしてですな」
「放たせよ」
こう指示を出した。
「よいな」
「それでは」
「わしはここで全体の采配を見る」
そうして執るというのだ。
「その様にする」
「わかり申した」
「それではです」
「これよりですな」
「その様にして攻めますな」
「勝機が来た」
まさにというのだ。
「この風こそがそれじゃ」
「だからですな」
「鉄砲を一斉に放ち」
そしてというのだ。
「それで多くの敵を倒し音で驚かせ」
「戦の勢いを手に入れますか」
「そこにさらに鉄砲騎馬隊を突っ込ませ」
成実が率いる彼等もというのだ。
「弓矢も使い」
「それがしが率いて」
「槍じゃ、本陣の兵も進ませるぞ」
戦にというのだ。
「ではよいな」
「さすれば」
「全ての兵で攻めよ!」
政宗は馬に乗り自ら兵を進ませた、そうしてだった。
彼の言う通りまずは茂庭が率いる鉄砲隊が撃った、轟音と共に数多くの芦名家の兵が倒れてだった。
音に驚き芦名家の兵達の動きが止まったところに。
成実が率いる鉄砲騎馬隊が突っ込んだ、鉄砲を撃った後すぐに刀を抜いて攻める。それで芦名家の軍勢は押されだし。
そこに弓矢と槍でも攻められ芦名家の軍勢は一瞬のうちに崩れた、そうして兵達は我先に逃げだしてだった。
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