恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第九十二話 劉備、于吉を欺くのことその五
その気をみなぎらせたまま。彼女はさらに言った。
「貴様をここで倒す!」
「ならば来い。相手をしてやろう」
「言われずともだ!」
「俺は陰謀だけではないということを教えてやろう」
言いながらだ。左慈も構えた。彼の気もその全身を包んだ。
甘寧は黄色、左慈は青色のだ。それぞれの気をみなぎらせてだった。
そのうえでだ。彼等は互いの拳を交えるのだった。
刀馬はだ。今は一人ではなかった。
戦場を駆け巡りながらだ。己の隣にいる男に声をかけた。
「因果なものだな」
「全くだな」
その男もだ。彼に言い返すのだった。
「貴様と共に戦うとはな」
「一つ言っておこう」
刀馬は男に言った。
「これは本意ではない」
「俺もだ」
「だが。今はだ」
「共に戦うか」
「わかっているな」
刀馬は横目で男を見て問うた。
「ここにいる」
「ああ。この戦場にな」
「思えば最初から胡散臭い男だった」
そうだったとだ。刀馬は過去を振り返りながら言うのだった。
「得体の知れぬものを漂わせていた」
「では何故だ」
男は刀馬に問うのだった。
「何故あいつ共にいた」
「知れたこと。貴様を斬る為だ」
「俺をか」
「その絶対の零によってな」
「御前が今まで目指していたものでだな」
「命に言ったそうだな」
刀馬の紅い剣が煌く。そうしてだった。
白装束の男達を斬り伏せる。剣の動きが実に速い。
そしてそれはだ。男もだった。
蒼い剣が唸りだ。やはり周りの敵を斬り倒すのだった。
そうしてて進みながらだ。刀馬はその男蒼志狼に言うのだった。
「俺の零の氷河が溶けた時にだ」
「そのことか」
「俺の大河は動きだすと」
「そうだ。確かに言った」
その通りだとだ。蒼志狼も話す。
「そしてそれはだ」
「今か」
「貴様は今零を目指すか」
「笑止。俺は最早零を見てはおらん」
「では何を見ている」
「絶対だ」
それだというのだ。
「絶対だが零ではない」
「そうか。それを目指しているのだな」
「貴様は無限だな」
「如何にも。その通りだ」
蒼志狼は己の剣を振るいつつ刀馬に答えた。
「俺が目指すものはそれだ」
「では無限が正しいか絶対が正しいか」
「それを確めるか」
「そうだな。その為にもな」
「今はあの男を見つけ出し」
「斬るとするか」
ここでだ。刀馬はこうも言った。
「あいつは俺を利用した」
「そうだな。最初からそれが目的だったな」
「そして命もだ」
彼女の名前もだ。ここで出すのだった。
「命も利用した。だからこそ余計にだ」
「許せぬか」
「断じてだ。では斬る」
「見つけ出してな」
「あいつを斬るのは俺だ」
その鋭い紅い目を光らせての言葉である。
「そして貴様を斬るのもだ」
「御前だっていうんだな」
「ここで死ぬことは許さん」
「言われなくても死ぬつもりはないがな」
「だが言っておく。絶対にだ」
ここでもだ。絶対だというのだった。
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