恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第九十一話 ゲーニッツ、暴れ回るのことその四
「出来れば懲らしめたいのだ」
「糞っ、出て来ていきなりこう言われるのか」
「これが俺達の運命か」
「しかし悪人なのは確かだ」
関羽もこのことを言う。
「それはわかる」
「悪事を一杯してきたのだ」
「それはその通りだ」
彼等の主であるギース自身が認めることだった。
「私は頂点に立つまでに様々なことをしてきた」
「そうだな。それは俺も聞いている」
ロックも言う。
「息子としてな」
「そうだったな。貴殿の父だったな」
「こいつがなのだ」
「そうさ。とはいっても実際に話したことは全くないんだよ」
そうした父子なのだ。
「こいつが俺の縁者なのも知らなかった」
「私は知っていた」
ロックの後ろにいて彼の人差し指での指し示しに応えたのはカインだ。
「それもよくな」
「俺があんたの甥にあたることもだな」
「そうだ。よくだ」
「因果な話だ」
ロックは少しバツの悪い顔になって言った。
「俺の周りはそうした話ばかりだ」
「それが君の運命なのだ」
カインはそのロックに静かに告げる。
「だがそれでも君は彼と共に行くか」
「ああ、テリーとな」
彼が選んだ選択はそちらだった。
「一緒に行かせてもらう」
「ならそうするといい。私はだ」
「あんたはどうするんだ?」
「私は私でやることがある」
こうだ。彼は遠くを見る目でロックに話す。
「それをさせてもらう」
「私もだ」
そしてだ。それがギースもだった。全身にオーラを纏い話すのだった。
「頂点に立った。だがその頂点はだ」
「権力ではなかったのだな」
「それがわかってきた」
クラウザーに、何よりも憎んできた腹違いの兄弟への言葉だった。
「無論今の権力を手放すつもりはないが」
「だが真の頂点を目指すか」
「そうする」
これがギースの今の考えだった。
「私はな」
「拳。真の力での頂点をだな」
「それを目指す」
これがだ。ギースが真に目指すものだった。彼もそのことに気付いたのだ。
「是非共な」
「やはり。同じなのだな」
クラウザーはギースの言葉を聞いてだ。彼もだというのだった。
「私もだ。目指すものはだ」
「頂点か」
「それだ」
まさにだ。それだというのである。彼もまた。
「ではだ。やがてはだ」
「再び拳を交えるか」
「その時が来ればな」
「私も。わかってきた」
次はカインだった。彼も同じだった。
「私の理想がだ」
「理想か」
「そうだ。私の理想は何か」
ロックに対しての言葉である。
「それは力が支配する。餓狼の世界を創ることではなく」
「別のものだっていうんだな」
「それがわかった」
そうだというのである。
「具体的にはそれだとはまだ言葉には出せない」
「ある程度わかってきただけだな」
「それがこの世界でわかった」
この世界に来てだ。カインも変わったのである。
「後はそれが何かをグラントと共に探す」
「そうするか」
「そうさせてもらう。さて、話はこれ位にしてだ」
「御前達を成敗するのだ」
まだホッパーとリッパーに言う張飛だった。
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