ドリトル先生と牛女
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第十二幕その五
「牛女さんはお顔を見るとやっぱり和牛だね」
「ホルスタインじゃないね」
「それはわかるよ」
「お顔の模様が違うから」
「それでね」
「よくわかったよ、それとね」
さらに言うのでした。
「やっぱりあの人は件と関係があるね」
「あの牛の身体で人の頭の」
「あの妖怪さんとだね」
「関係があるんだね」
「丁度逆だし」
「確かな証拠はないけれど」
それでもというのです。
「その逆だね」
「そうそう、件と牛女さんはね」
「見事な位ね」
「そうなってるね」
「そうなると」
「関係があると思うのが当然だね」
「だから昔の日本の偉い人達も」
この人達もというのです。
「牛女さんが予言をすると思ってね」
「それでよね」
「牛女さんを匿っていた」
「そうだったんだね」
「そうだと思うよ、けれど今のところ」
先生は考えるお顔で言いました。
「牛女さんは予言はしないね」
「というかあの人予言するの?」
「その件みたいに」
「それはどうなの?」
「するの?」
「それがわからないんだ」
どうにもというのです。
「僕にもね」
「そうなの」
「先生にもわからないの」
「そのことは」
「うん、件と関係があると思うけれど」
それでもというのです。
「確かな証拠もないしね」
「それでなのね」
「先生もどうとも言えない」
「牛女さんが予言をするかどうか」
「そのことは」
「件は生まれてすぐに予言をするんだ」
先生はこのこともお話しました。
「それで予言をしたら死ぬんだ」
「もう生まれてすぐに予言をして」
「それで死ぬの」
「そうなるの」
「牛女さんは生まれてすぐに予言をしなかったから匿われていたと思うし」
それでというのです。
「今もしていないから」
「じゃあ予言はしないの」
「牛女さんの場合は」
「そうなんだ」
「そうかな、牛女さんは牛女さんという妖怪で」
それでというのです。
「件と関係があってもね」
「また違うんだね」
「予言はしないかも知れないんだ」
「件と違って」
「そうじゃないかな、あとね」
先生は皆にさらにお話しました。
「用件とかくだんの件とか言うね、日本では」
「うん、言うね」
「実際にね」
「結構使う言葉よね」
「そうよね」
「この『件』という文字は『くだん』とも読むんだ」
こうお話しました。
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