恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第九十話 孔明、秘策を授けるのことその四
「この世界はやはり」
「ええ、均衡が脅かされているわ」
「均衡を破壊しようという連中にね」
「ではあれなのか」
孫権はここまで聞いて述べた。
「あの白装束の者達は」
「ええ、並行世界の均衡を脅かす者達よ」
「私達監視者と対立する立場にいるのよ」
「そうか。話はわかった」
孫権もここまで聞いて述べた。
「私達の世界のあらゆる異変はあの者達が黒幕だったのか」
「ええ。あちらの世界のあらゆる怪しげな勢力と手を組んでね」
「そうして彼等をこちらの世界に導いてね」
「それで。この世界を破壊しようとしているのよ」
「勿論その後であちらの世界もね」
つまりだ。二つの世界を破壊しようとしているのだ。
そのことを聞いてだ。誰もが言うのだった。
「洒落になってないな」
「そうだよな」
「これは」
「そう、一つの世界だけの問題じゃないの」
「あらゆる世界にとっての問題なのよ」
また話す怪物達だった。
「だからこそあたし達はこの世界に来てね」
「今ここにいるのよ」
「話はわかりました」
劉備が応える。
「では私達に」
「協力させてもらうわ」
「喜んでね」
二人はまたこのことを答えた。
「というよりか是非共」
「協力させて欲しいのよ」
「この世界の為にだな」
関羽が二人に尋ねた。
「そうだな」
「ええ、そうよ」
「その通りよ」
彼等にしてもそうだと返すのだった。
「あたし達の役目以上にね」
「世界もそこに住んでいる人達も守りたいのよ」
職務以上のものをだ。抱いているというのである。
「だから。本当にね」
「御願いするわ」
「わかったのだ」
強い顔で頷く張飛だった。
「では力を貸して欲しいのだ」
「御願いします」
劉備も彼等に言う。
「是非共」
「そしてだ」
ここでもう一人来た。彼は。
華陀だった。彼は真剣そのものの顔で一同に話すのだった。
「連中は太平要術の書も使っている」
「あの書ね」
「そう、あれだ」
こう曹操にも話す。
「久しいな。皆元気で何よりだ」
「そうですね。華陀さんも」
劉備がその華陀に応える。挨拶も為される。
その挨拶の後でだ。華陀はさらに話した。
「あの書は人の負の感情を集めそれを糧として力を蓄えるものだ」
「そしてその書の力でも」
「この世界を」
「そうだ。奴等は何段も手段を用意しているんだ」
華陀もだ。そのことをはっきりと把握していた。だからこその言葉だ。
「この世界を滅亡させる為にな」
「オロチ、アンブロジア、常世」
「そして太平要術の書」
「本当に幾つもだな」
「何段も用意してか」
「そうしているんだな」
「用意周到なんてものじゃないな」
皆華陀の話を聞いて言う。敵のその備えの見事さをだ。
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