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ドリトル先生と牛女

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第九幕その七

「僕の場合はです」
「歯がないからだね」
「磨く必要はないです、ただお口の中は」
「奇麗にしているね」
「いつも丁寧に洗っています」
 そうしているというのです。
「専用のブラシを使って」
「歯磨き粉もだね」
「そうしています、さもないとよくないですから」
「お口の中は歯がなくてもいつも奇麗にしないとね」
「駄目ですからね」
「だからだね」
「僕も毎日お口の中を洗っています」
 こう先生にお話します。
「そうしています」
「それはいいことだね」
「はい、ただ」
「ただ?」
「前から西瓜が好きなんですが」 
 この甘いお野菜がというのです。
「それでなんです」
「何かあるのかな」
「はい、西瓜も食べ過ぎると歯によくないって」
「言う人がいるんだね」
「友達のキジムナー君達に言われました」
「そうだったんだ」
「甘いですからやっぱり」
 先生に言うのでした。
「歯によくないですね。僕は歯がなくても」
「糖分は確かに問題だけれど」
 それでもとです、先生は河童に答えました。
「西瓜は殆ど水分で実は糖分もあまり多くないからね」
「そんなにはですか」
「スポーツドリンクみたいなものだから」
 それでというのです。
「特にね」
「気にしなくていいですか」
「そうなんだ」
「そういえば西瓜は胡瓜の仲間ですね」
「匂いでわかるね」
「はい、だから僕も好きなんです」
 河童と言えば胡瓜です、兎に角胡瓜が大好きなのが河童という妖怪です。それなら胡瓜の中まである西瓜もなのです。
「西瓜が」
「そうだね、胡瓜も水分が多いね」
「固いですが」
「それでね、西瓜はもっとでね」
「スポーツドリンクみたいなものですね」
「だからね」 
 それ故にというのです。
「別にね」
「気をつける程じゃないですか」
「果物よりずっと糖分は少ないよ」
「実はお野菜ですし」
「そのこともあってね」 
「そうですか」
「うん、ただ西瓜はいいね」
 先生はその西瓜のお話もしました。
「本当に」
「そうですよね」
「あの優しい甘さと水気がね」
「最高ですよね」
「僕も大好きだよ」
 先生もです。
「お野菜や果物は好きなものが多いけれど」
「西瓜はですね」
「大好きでね」
 それでというのです。
「よく食べるよ」
「そうなんですね」
「夏は特にね」
「夏の西瓜は最高ですね」
「本当にね、ただね」
「ただ?」
「いや、最近黄色い西瓜は食べていないなってね」
 先生は気付いた様に言いました。 
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