吸血鬼の真祖と魔王候補の転生者
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第7話 理性と本能
前書き
前回のあらすじ
魔法の解説・修行の開始
※※注意※※
今回、少々アブノーマルな表現が行われます。
苦手な方はスルーをお願いいたします。
「・・・知らない天井・・・はお約束かしら」
ふと、目が覚めた。
視線の先に広がるのは、旅の途中に訪れた宿屋の天井。
視線を少しずらせば、窓から差し込むのは月が放つ蒼き光。
月以外の全てが眠る、そんな深夜。
蒼き光と相まって、部屋を包むのは静寂・・・のはずだった。
「ふふっ・・・まだ残っているわね」
そんな静寂を打ち壊すのは、汗と女の、否、雌そのものの匂いが混ざり合った、淫靡な香り。
鼻から吸い込まれたその香りは、目覚めたばかりの脳髄を溶かし、先ほどまでの行為を思い出させ、体を火照させる。
その元凶の片割れに視線を向ける。
私の腕を枕にし、裸の身体を抱きつかせているのはエヴァンジェリン・マクダウェル。私の愛しき義妹。
美しき裸体は出会ったころよりも成長し、女らしさを醸しはじめてきた。
少女から女性へと成長する合間の、ある種アンバランス、インモラルな美しさ。
幾分大人びた表情も、今はすやすやと穏やかな寝顔。
先ほどまでその表情を、優しく、荒々しく、滅茶苦茶に翻弄する快感に歪め、汗と嬌声を撒き散らし崩していたのが嘘のよう。
思い出しただけで、体の奥が官能の火でじりじりと炙られるのを感じる。
今の私は笑っている。
瞳を、口元を淫蕩に歪ませ微笑むさまは、他者の夢を貪り精を吸い取る、淫欲を司る夢魔そのものかもしれない。
・・・エヴァと出会いもう5年になる。
たった5年で、色々な意味で大人にしてしまった自分に少々あきれる。
かといって、自らの本能を止められるとも思わないし、止めようとも思わない。
同姓の、年下の、年端もいかない、義理とはいえ義妹を、貪る自分。
・・・レズ・ロリ・シスコン・近親相姦。
・・・・・・・・・・もう魔王ね。
そんな事を考えながら、手はいつの間にかエヴァの頬を撫で、思考は時を遡る。
「義姉様、待って」
エヴァと出会って3年、今私は森の中で、女2人に欲望を刺激された下衆な賊と言う名のゴミを『お掃除』しているところだ。
ついこの間エヴァの13歳の誕生日を迎えた私達は上機嫌で旅を続けていた。
そんなときに無粋な客の来訪で、少々手際が乱暴だったかもしれない。
最後の1人(脚を斬られて逃げられない)を片付けようとした私を、義妹が止める。
どうしたのかと振り返れば、その深紅の瞳が真っ直ぐに私を射ぬく。
それだけで、私は理解した。・・・・・・理解してしまった。
「・・・決めたの?」
「うん」
「後悔は?」
「ないよ」
「そう・・・」
短い言葉を交わすと、私は血を払った正宗を短刀に戻し脇によける。
同時に、以前賊から奪った長剣を抜き放ち、エヴァが賊の前に出る。
「ま、まっ・・・」
そうして目の前に立った瞬間、命乞いをしようとした賊の首を斬りおとした。
体に馴染ませた動作で、斬りおとした直後に間合いを広げ、次に備える。
首が落ち、血が噴き出して数秒、体も崩れおちる。
そこでようやくエヴァも血を払い、剣を納める。
私はそんなエヴァを後ろから抱きしめ、囁く。
「慣れてはダメ。忘れてもダメ。・・・でも抱え込んでもダメ。わかる?」
「・・・(コクッ)」
体を震わせながら、それでも声を漏らさず頷く義妹を、私は抱きしめることしかできなかった。
エヴァの手が、私の腕を握りしめる。
これでいい。
私はエヴァと共に歩む。ならば彼女の決断や覚悟も受け入れる。
この所、私が殺しをするたびに深く考え込んでいるのは知っていた。
私個人としては、もうしばらく子供でいてもいいのでは、と思っていた。
しかしそれが義姉としての傲慢や押しつけならば、そしてエヴァ自身が選ぶのならば、それに否はない。
必要なのはこうして、共に支え合い歩んでいく事。
だから今はこうしてそっと泣かせ、見て見ぬふりをしてやればいい。
そう思いながら、抱きしめ続けた。
「義姉様、私を抱いてください」
そう告げられた私の目の前には、いつものおそろいの格好ではなく、初めて会った時着ていたのに似た、黒のワンピースドレスに身を包んだエヴァが居た。所々あしらわれたフリルや飾りがより可愛らしさを引き立たせる。
今日はエヴァの14歳の誕生日。
立ち寄った街の宿屋に泊り、そこの料理に加え持ちこんだ食材でいつもより豪華な夕食を楽しんだ。
珍しくワインも開けて、2人で飲みながら楽しく話していた。
ワインを数本あけて、夜も深まり、そろそろお開きかと会話が途切れた合間を縫ってエヴァが言い放ったのだ。
その時の私の感情は、間違いなく歓喜だった。
禁忌の関係?危ない性癖?だからどうしたというの。
貞操観念や倫理その他諸々が厳しかった前世ですら、色欲に関して本能に忠実に生きていた私が今更足踏みをする訳が無い。
まして、まったく予想して無かった訳でもない。
話は半年ほど遡る。
エヴァの13歳の誕生日。初めての殺し。それから半年。
その日、少し疲れたとエヴァは先に宿に向かった。
私は町を回ってから宿に向かう。
薄々気づいていた私は、宿に向かう瞬間から気や魔力と言った気配を消して向かった。
宿に入ると聴覚を強化し、足音を消しながら部屋に向かう。
幸い今日の客は私達だけ。廊下に居ても不振に思われることはない。
そうしながら部屋の前につき、扉の横の壁に体を預ける。
「はっ・・・ん・くぅ・・・あぁ・・・んん!」
静かな宿屋ですら漏れ聞こえるかどうかという小さい、しかし気で強化した聴覚ならはっきり聞き取れる吐息と布ずれ、ぴちゃぴちゃと響く水音。
部屋の中で何が行われているか予想がつき、それが現実だとわかった時、義姉としては少々ほろ苦く、それでも義妹の成長を嬉しく思っていた。
もとより、性などに興味を覚え出す年頃だ。
まして彼女の手は血に濡れている。
古来より兵と呼ばれるものが女性などに暴行・強姦などの問題を発生させるのは、戦場と言う非日常・異常性が生存本能を刺激することで起こる。種を残そうとする本能が、性欲などとなって表れる。
色を好むから英雄なのではなく、多くの死に塗れた英雄だからこそ、精神のバランスを保つためにも色を好むのだ。
エヴァもまた、13歳という若さで死に塗れている。
とすれば興味がある事も相まって、手を出すのも無理からぬこと。
それで健全な精神状態が保てるのだから、なんら問題はない。
元々性にオープンな私はそんな事を考えていた。
「しるっ・・ん・・・ヴぃあぁ・・・・ねえさまっ」
その声を聞くまでは。
エヴァのその声を聞いた時、私は頭をハンマーで殴られる衝撃、と言うのを初めて感じた。
あの義妹が、私を妄想の元にして、自らを慰めている。
背筋をゾクゾクと電流が走る。体は火照り、興奮と欲情に彩られる。
その瞬間理解する。そして自分に枷を付ける。
いずれ今の、義理の姉妹というだけの関係は崩れ、新たな関係を築く時が来る。
それまでは、私の方から手を出してはいけない。なにより彼女のために。
そう戒めながら、両手は興奮に張った胸に伸びる。
ブラウスの上から触れた瞬間、声をなんとか押し殺し、乱暴にもみし抱く事を止めることはできなかった。
私とて、肉体年齢は22歳のまま。肉体に引っ張られるのか、神様の所で100年経っても、年寄り思考になる事はなかった。当然欲望に関わる部分も年相応ってこと。
エヴァと会ってから3年半、自分で慰めた事も何回もある。
それでも、これだけの快感を得たことは無かった。
義妹をネタに自らを慰める義姉・・・浅ましい女ね。
頭の中で冷静な私が、私を罵倒する。
現実の私は、唇をぺろりと舐めて、妖艶に微笑み言い放つ。
「うらやましいでしょ」
頭の中の私と言う常識は消えさり、後は義妹の嬌声をBGMに自らを慰めることに集中するだけだ。
そんなことがあってから半年。
14歳の誕生日を迎えたエヴァの言葉と言うわけだ。
だから私は立ちあがり、エヴァを抱き寄せ、無言で口づける。
エヴァも答える。
今更2人に、確認の言葉など要らない。
愛し愛され、相思相愛。それだけでいい。
最初は軽く、触れ合うようなキス。
やがて徐々に深く。貪るように。
舌と舌が絡み合い、ぴちゃぴちゃと音を立てる。
音は耳から2人の脳すら誘惑し始め、さらなる興奮を誘う。
エヴァを抱きしめたままベッドに向かい、そっと押し倒す。
互いに服を脱がし合い、さらけ出された裸。
エヴァの美しい、新雪の様な体の隅々に、私の証を刻んでいった。
・・・あれから1年。今日はエヴァの15歳の誕生日。
つい先ほどまで激しく交わっていた今日の主役はすやすやと夢の中。
そんな彼女を腕で抱きしめるのは、その主役を徹底的に責め抜いた私。
・・・この1年、はっきりいって堕落の一言に尽きるわ。
暇さえあれば互いに求めあった。
宿だけでなく、外の野営でも構わず交わってたわね。
お蔭で認識阻害や防音と言った基本魔法の技術も上がったもの。
特に、下衆な賊や魔法使い共を追い散らし(殺し)た後は激しい。
1日中していたことも、一度や二度じゃないわ。
おまけに私の性癖の影響でアブノーマルなプレイもしちゃうし。
またエヴァもそれを受け入れちゃったという・・・。
そんな事を考えながら、頬の手はいつの間にかエヴァの首元に。
さわさわと猫を撫でるように愛撫する手。・・・その手に時折力が入りそうになるのを感じる。
「・・・いいですよ」
自分の悪癖に苦笑しようとしていたら、目の前で眠っていたエヴァが突然喋り出した。
「義姉様の好きにしていいんです。それが私の幸せなんですから」
目をゆっくり開き、深紅の瞳を向けながら、彼女は微笑みそう告げる。
いつも私が言うような言葉を添えて。
その言葉に、どくどくと血の流れる音すら感じながら、首に当てた手の力を強めてしまう。
私自らも認める、悪癖ぎりぎりの困った性癖。というか人によっては悪癖そのものね。
破壊衝動にも似たそれは、深く愛した故に、壊れるまで愛したい。そんな狂気の衝動。
別に本当に殺したい訳でも壊したい訳でもない。ましてヤンデレとかでもない。ただ愛したいだけ。
興奮した精神が、サディストの性癖をさらに暴走させたもの・・・と私はとらえている。
前世ですら、一番長い、中学からの付き合いの女性1人を残し、隠してきた衝動。
「ふふっ、義姉様の眼、赤くなりましたよ?興奮してくださってるんですね」
エヴァの両手が私の頬を愛おしげに撫でる。
彼女の言ったとおり、私の両目は魔力を流して魔眼を発動しなくても、ある程度の興奮状態に入ると、普段のサファイアブルーからエヴァと同じく深紅の瞳に変わる。
「またさっきみたいに、気が狂うまで寸止めします?それとも頭が真っ白になって焼き切れるまで逝かせてくれますか?あぁ、お尻もいいですよ」
そうやって、いくらか普段よりも早口で、しかしはっきりと告げ、私を煽ってくる。
この1年で、すっかり私に染められ始めたエヴァ。
私自身、それを止めるつもりもない。
まだ幼い?判断がつかない?状況を利用して刷り込んだ?そんな戯言は全くの無意味。
私達は出会い、愛し合った。それだけ。
理性も倫理もかなぐり捨てて、私達のしたいようにする。
エヴァには名実共に私の生涯のパートナーになってもらう。
そんな彼女が煽ってくる。受け入れてくれている。
時折こうして、口で主導権を握ろうとしてくる。
だから私はそれに乗るの。
手に力を込めて、彼女の呼吸を阻害する。
息の苦しくなった彼女は顔を赤らめ、唇から涎を垂らしはじめる。
でもその瞳だけは、とろんと蕩けているの。
・・・これでまだ処女なのだから、自分の鬼畜魔改造ぶりに驚く。
そういえば、魔法で肉体を一部変形させるものがあったはず。
それを利用すれば念願のあのシチュを作りだす事も・・・そうすれば『私自身』でエヴァの処女を・・・
そんな思考を飛ばしながら、それすらも次の瞬間には放棄して私はエヴァの耳元で告げる。
「全部よ」
「!!!」
私が告げた瞬間、体をひくひくと痙攣させるエヴァ。
私の一言でこれからの自分を予想して、達したのね。
まったく、自分の調教ぶりに呆れるわ。
・・・けどやめない。やめられる訳が無い。
そんな事を思いながら、私はエヴァを抱き寄せ、キスをした。
後書き
皆様新年あけましておめでとうございます。
今年も本作をよろしくお願いいたします。
さて、ここまでお読みいただきありがとうございます。
新年はじめから何を飛ばしているんだと怒られそうですが、話の構成上回避はできなかったもので。
重ねて言っておきますが、全ては愛ゆえにですのであしからず。
それではまた次回、お会いしましょう。
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