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ドリトル先生と牛女

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第五幕その五

「当然のことだよ」
「お口の中の雑菌がなくなって」
「それで雑菌に脅かされることがなくなったから」
「それで健康になるんだよね」
「そういうことだね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「お口の中はね」
「奇麗にだね」
「誰でも」
「そうあるべきだね」
「そうだよ、清潔第一であることは」 
 このことはというのです。
「お口の中も同じだよ」
「歯磨き粉があればそれを使う」
「出来るだけ奇麗にする」
「それが大事ね」
「うん、昔はお塩で磨いていたけれど」
 それを歯磨き粉にしていたのです。
「お塩も消毒になるし」
「いいんだよね」
「日本の時代劇でもそうして歯を磨いていたかな」
「木枯し紋次郎だった?」
「あの時代劇でも」
「それでもいいよ、ただね」
 ここで先生はどうかというお顔になって言いました。
「一つ気になることはね」
「気になること?」
「っていうと?」
「何かあったの?」
「何でもかんでも買ってはいけないとか言っていた雑誌だけれど」
 その雑誌で書いてあったことだというのです。
「歯磨き粉を使わないで歯を磨けとかね」
「付け過ぎないといいんじゃないの?」
「要するに」
「それだけじゃないの?」
「何でも過ぎるとよくないから」
「それだけじゃないかしら」
「何か適当な理由をつけてね」
 お医者さんでもある先生から見ればそう見えるものでした。
「主張していたけれど」
「それはだね」
「間違いだね」
「歯磨きは使った方がいい」
「そうなのね」
「あればね、あの雑誌は何でも買ってはいけないって言っていたけれど」
 このことはといいますと。
「企業は嫌いでね、それが根幹にあって」
「企業が嫌いなの」
「そうなの」
「それがまずあるの」
「極端な自然主義で科学とか文明が嫌いで」
 それでというのです。
「化学調味料とか添加物が嫌いでね」
「そうしたものが入っているとなんだ」
「物凄く嫌うの」
「そうした傾向があるんだね」
「そうなんだ、それで言っていて科学的に検証したら」
 そうしたらどうかといいますと。
「とんでもない間違いばかりなんだ」
「じゃあその買ってはいけないもなんだ」
「あと歯磨き粉のことも」
「信じたらいけないのね」
「あの雑誌は他にもおかしなことしか言わないから」
 その内容のことも言うのでした。
「読者欄からコラムまでね」
「つまり全部だね」
「雑誌の主張の隅から隅までおかしい」
「そうした雑誌なの」
「だから買ってはいけないし読んでもいけないよ」
 その雑誌こそがというのです。
「僕はそう思うよ」
「そんな雑誌も日本にはあるのね」
「非科学的で文明も嫌いな」
「そんな雑誌が」
「日本にはおかしな雑誌やタブロイド紙が多いけれど」
 それでもというのです。 
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