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ドリトル先生と牛女

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第三幕その二

「お肉は食べるかも知れないけれど」
「人は襲ったりしないですね」
「そうみたいだよ」
 こう言うのでした。
「あの人は」
「そうですね」
「だからね」
 それでというのです。
「人の身体でね」
「それで、ですか」
「別にね」
 これといってというのです。
「僕が言っても襲われないし」
「牛女の身体もですね」
「別にね」
「人間のものとですね」
「頭以外は変わらないと思うよ」
「そうですか」
「牛は胃が四つあるけれど」
 牛の身体の特徴の一つです。
「それでもね」
「牛女の胃は一つですね」
「そうだと思うよ」
「何か妖怪の身体って」
 王子は腕を組み考えるお顔になって言いました。
「考えてみると色々あるね」
「僕もそう思うよ」
「そうだよね」
「その妖怪の身体についてね」
 先生は王子に答えてお話しました。
「水木しげる先生が本で書いているよ」
「ああ、あの妖怪漫画の人だね」
「そう、あの人はね」
「妖怪の専門家みたいな人だったね」
「もう妖怪のことなら何でもだけれど」
 それでもというのです。
「そうしたこともなんだ」
「妖怪の身体のことも知っていたんだ」
「どうも研究して考証して」
 そうしてというのです。
「わかっていたみたいだよ」
「そんなことまでなんだ」
「何処に住んでいてどうした暮らしをしているか」
「それぞれの妖怪のかな」
「そうだよ、本当にね」
 実際にというのです。
「あの人は妖怪のことについては誰よりもね」
「知っている人だったんだね」
「そして妖怪を愛していた」
 そうしたというのです。
「凄い人だったんだよ」
「まさに妖怪博士だね」
「そうだね、今はね」
 先生は王子のお話を聞いて言いました。
「そうなっていてね」
「妖怪達と一緒にいるかな」
「そうかも知れないね」 
 こう言うのでした。
「あの人は」
「人間から妖怪になったんだね」
「大好きなね」
「あの人の作品は僕も読んで観てますけれど」
 トミーも言ってきました。
「妖怪がどれだけ魅力的か」
「そのことを描いているよね」
「そして心から妖怪を愛している」
「そのことがわかるね」
「はい」
 本当にというのです。
「あの人の作品を読んで観ていますと」
「あそこまで妖怪を知っていて愛した人はいなくて」
「妖怪のことに詳しくて」
「そんな人だから」
「今はですね」
「妖怪になっていて」
 そうしてというのです。 
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