ドリトル先生と牛女
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第三幕その一
第三幕 赤い車に乗って
トミーと王子は先生にお家で六甲に行くことになったことをお家の居間で聞くとすぐに二人共目を丸くさせました。
「口裂け女に誘われてですか」
「それでなんだ」
「今度六甲に行かれるんですか」
「そうなったんだね」
「うん、それで今度の日曜日にね」
先生は皆にお話しました。
「行くんだ」
「凄いね、牛女と会うなんて」
王子は驚いたまま言いました。
「いるとは聞いていたけれどね」
「六甲にだね」
「本当にいてね」
そしてというのです。
「会いに行くなんて」
「うん、ただね」
「ただ?」
「どうして牛女に会って欲しいか」
「口裂け女が言ってきたか」
「今はそのことが気になるね」
「病気じゃないですか?」
トミーはこう先生に言いました。
「それで、です」
「診て欲しいんだね」
「そうじゃないですか?」
「それでなんだね」
「先生はお医者さんですからね」
だからだというのです。
「僕はそう思いましたけれど」
「やっぱりそうかな」
「はい、ただ」
「ただ?」
「牛女ってどんな身体の構造なのか」
「そのこともだね」
「ふと考えました」
こう先生にお話しました。
「僕は」
「そうだね、頭が牛で身体が人間だとね」
「どんな身体になるんでしょうか」
「ギリシア神話のミノタウロスと同じだよね」
王子も言ってきました。
「牛女って」
「うん、そうだね」
「日本の妖怪の件が頭が人で身体は牛で」
「それでだね」
「そうなっているけれど」
「僕が思うにね」
先生は王子に自分の考えをお話しました。
「頭は牛でもそれ以外はね」
「人間のものだね」
「頭蓋骨以外の骨格や内臓はね」
「そうなんだね」
「ミノタウロスもお肉食べていたね」
「人間のね」
「あれは歯は何故かライオンのもので」
牛の頭でもです。
「そのせいだったみたいだけれど」
「それで肉食だったんだね」
「牛の頭でもね」
牛は草食です、言うまでもなく。
「そうだったんだ」
「そうだよね」
「そしてね」
それでというのです。
「牛女は人を襲うって話はないし」
「何かトラックに体当たりするとか」
「あれは噂でね」
トミーにすぐに返しました。
「実はとても穏やかな性格らしいから」
「そうしたこともしないですか」
「人も襲わないしね」
それでというのです。
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