不死身の男
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第二章
「戦いそしてだ」
「弾がなくなれば」
「その時はですね」
「刀を抜いて突撃し」
「米兵を一人でも多く倒してですね」
「そして死ね、死んでだ」
船坂は部下達にこうも言った。
「護国の鬼となるぞ」
「そして靖国で会いましょう」
「是非」
「ここが死に場所ですから」
「そうするぞ」
こう言って誓い合ってだった、そのうえで。
船坂は果敢に戦い部隊の擲弾筒や臼砲を使って戦った、その攻撃にアメリカ軍の者達は眉を顰めさせて話した。
「何か恐ろしい部隊がいるな」
「そうだな、やけに攻撃が凄い」
「そうした部隊があるな」
「敵の指揮官は誰だ」
「分隊の様だから下士官か」
「日本軍の下士官は質がいいが」
それでもというのだ。
「特に凄い奴みたいだな」
「一体誰だ」
「どんな奴だ」
「こちらは数で押しているが」
「そいつを何とかしないとな」
「今のうちにな」
こうした話をしてだった、アメリカ軍は船坂のことを名前を知らないが気付きだしてそうして倒そうとしていた。
その中で戦局はアメリカ軍の物量の前に日本軍は劣勢に立ってだった。遂にゲリラ戦に入った。
それは船坂と彼の部隊も同じで島の北西の洞窟に入ってだった、ゲリラ戦に移ったが。
「ここまできたらな」
「もう覚悟は決めている」
「アメリカ軍の連中を一人でも多く倒してやる」
「そうして少しでも時間を稼いでやる」
「目にもの見せてくれる」
「死ぬまで戦ってな」
皆こう言ってまさに護国の鬼となるつもりだった、それは船坂も同じで。
死ぬつもりであった、そして果敢に戦ってだった。
左の太腿を負傷し動けなくなった、それでだった。
アメリカ軍の攻撃、激しい銃火の中に数時間放置された。それでようやく軍医が彼のところにやって来たが。
彼を心配している彼の部下達に首を横に振って言った。
「もう」
「手遅れですか」
「左様ですか」
「今生きているのが不思議だ」
それ程までの傷だというのだ。
「最早」
「では」
「もう隊長殿は」
「これを」
この言葉と共に差し出したのは。
手榴弾だった、それを出して言うのだった。
「使う様に」
「わかりました、では」
「分隊長殿は」
「その様に」
「見事な戦いだった」
軍医はこうも言った。
「必ず軍神になろう、靖国にもな」
「行きますね」
「そう思うと」
「悔やむことはないですね」
「全くな」
軍医は彼の部下達に安心させる言葉を残してそうしてその後で他の場所に向かった。残った部下達もだった。
船坂に覚悟を決める様に言った。
「お見事でした」
「ではです」
「お使い下さい」
「その様に」
こう言った、だが。
船坂は足に包帯を巻いた、その包帯は。
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