最低な飼い主の末路
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第二章
真美は明美に猫を引き渡した、そしてだった。
猫は明美の家で飼われることになった、だがここで。
明美は真美にこう話した。
「タマって名前付けてね」
「そういえばお隣さんから名前聞いてなかったわ」
「それでもね」
「タマにしたの、名前」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「お昼はお店に連れて行って」
「それでなの」
「そしてね」
それでというのだ。
「家族でね」
「可愛がってくれてるの」
「ええ、いい娘ね」
明美は真美に笑って話した。
「本当に」
「私も少し預かっていたけれど」
タマがいい娘と言われると真美にも心当たりがあって述べた。
「そうね」
「いい娘よね」
「大人しくて賢くてね」
「そうした娘だからね」
「お店の中でもなのね」
「楽しくやってるわ」
「それは何よりね」
真美は明美のその言葉に微笑んで応えた。
「あの娘が幸せなら、ただ」
「ただ?」
「あんないい娘っていうか生きものが可愛くなくなったから捨てるって」
「酷い人よね」
「正直言って最低よ」
真美は眉を顰めさせて述べた。
「本当にね」
「そうよね」
「あんな人もう二度と会いたくないわ」
「そうよね」
「人間として最低だから」
怒った顔で言った、そして。
真美はタマがいる明美の店に行ったりもした、するとタマは店に入った真美に対してカウンターのところで挨拶をしてきた。
「ニャア~~」
「タマ、久し振りね」
「ニャンニャン」
「私のこと覚えてるのね」
「そうみたいね」
明美はタマの態度を見て笑顔で述べた。
「この娘もね」
「賢い娘だからね」
「それでね」
「だからなのね」
「親しく挨拶してくれてるのよ」
「そういうことね」
「今じゃお店の看板猫よ」
明美は笑ってこうも言った。
「お客さんからも大人気よ」
「このルックスと愛嬌ならね」
「ええ、最近ネットでも注目されてるらしいし」
「そうなの」
「マスコミから取材の話も来たわ」
「それは何よりね」
真美はこの時は笑顔で応えて店のコーヒーを飲んだ、そのコーヒーも美味しかった。そして店での時間を満足して過ごした。
マスコミは取材に来てCMの話まで来て実際にCMに出たのを観たまではよかった、だがそれでもだった。
後日真美は明美のその話を聞いて眉を顰めさせた。
「あの人来たの」
「ええ、黒髪を脇まで伸ばしてきつい顔の人ね、お化粧も濃い」
「諸井弓月さんっていうけれど」
「来たのよ、うちにね」
「そうだったの」
「自分の猫だから返せって」
「いや、捨てたでしょ」
真美はこの時も眉を顰めさせて言った、自分の部屋に来て話す明美に。
「それで言うの」
「ネットやマスコミで喫茶店の看板猫ってことで注目されてね」
「CMにも出たから」
「人気があってお金にもなるから」
それでというのだ。
「うちに来てね」
「返せって言ってきたの。それでどうしたの?」
真美は明美に怒った顔で尋ねた。
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