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曇天に哭く修羅

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第四部
  準決勝第一試合 6

 
前書き

_〆(。。) 

 
翔が向子に【焔魔(えんま)】を振るう。

しかし今度の一撃は先程のように周囲を巻き込んで吹き飛ばすことは無かった。

その代わり翔の身長と同じくらいの太さが有る円筒形のビームが拳から発射。


(焔魔のロングレンジはさっきみたいなスピードとパワーの物理的なものか、単なるエネルギー放出しかないと思ったんだけどねぇ)


向子は翔が腕を振る度に放たれる太いビームを躱しながら観察していた。


「避けられるのは予想通りだよ」


如何に攻撃範囲が大きめのビームだろうと素の動きが速い上に空間能力で移動補正のサポートを受ける向子に攻撃を当てるのは難しい。


「その辺を考えた機能も有る」


悲しいかな、近接格闘を得意とし、それのみで殆どの敵を倒して来た翔は解っていた。

少なくとも島崎向子は現時点の彼がクロスレンジだけで勝てる相手ではない。

もし自信が有るなら翔はミドルレンジ以上の特殊能力は得なかっただろうから。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「おいおい。何だいその能力」


向子が遠距離で防御と回避に徹していると、彼女の周りでは丸い光の円が出たり消えたりしながら向子にビームを放ってくる。

翔は腕を振ってこそいるものの、腕に装備した焔魔からはビームが出ていない。

だが腕の振りに合わせて自動で向子の近くに円形の陣が現れてビームを出すのだ。


「円の出る場所は任意でも決められるが今は自動で捕捉する発動速度を重視」


多少の命中精度を犠牲にして狙っているが、そうでもしないと当たらない。

翔は自身の動きを幾つかの能力を使って高速化しながら攻撃も強化している。

それでも当たらないのだから。

しかし向子も翔に近付けない。


「アタシが近付くとアタシが弱くなって向こうが強くなるからなあ」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「あの人が慣れる前に決める」


翔は円陣を任意と自動の両方で展開していき、向子の動きを封じるように配置。


(この丸い円は空間に作用するみたいだ。だから私の空間能力が使いにくい。そんな状態で全包囲攻撃を仕掛けてくるのか)


円を縦一列に重ねてビームを放つ場合には円を通り過ぎる毎にビームの速度・威力・規模が上がっていくことは確認済みだ。

この状況なら良いだろう。


制御解除(リベライル)第四解除(フィアーズ)・【天地界条(ヴァロータ)】」


向子は第四解除で解禁された

【空間操作/マネジメント】

【空間汚染/ヴァスメント】

【空間崩壊/ディケイス】

の3つを同時に発動。


向子を目掛けていた全ての巨大なビームが別方向に折れて外れ、空間に崩壊が汚染。

翔の円陣ごと崩れていく。


「これで良し」


向子は【空間跳躍(ジャンピング)】で移動すると翔の真横に現れて腕を振り、首の後ろを掴む。

そのまま【空間振動/シェイキング】と【空間歪曲/グラインド】を行使。

翔は昏倒して失神。

魔晄外装も焔魔も消えた。


「死線を潜るような戦いは御免だけど、翔くんくらいの相手なら良いかもね」
 
 

 
後書き
後は最後の話だけです。
_〆(。。) 
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