仮想空間の歌う少年
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12ー私の弾丸で
前書き
一人称がシノンに代わります。
スノー君ファンの皆様もう少しお待ちを!
それでもあなたは飛び込むの?
キリトに言われた通りに東京ドームシティへと向かうと、既にキリトが居てユイちゃんと何やら話をしていた。その表情はとても険しかった。
「随分な気合いの入れようね?」
「…シノン。」
私は先程、キリトがみんなに一斉送信したメールを思い出した。内容は「オーディナル・スケールでゲームオーバーになるとSAOの記憶が奪われる可能性がある。」だった。
「みんなには危ないからボスと戦うなと言っておいて自分と私は例外なのね。」
「すまん…。」
どうやらゲームオーバーになるとSAOの記憶がスキャンされてしまうこのゲーム。だったらSAOにいなかった私なら大丈夫と踏んだみたいだった。確かに私も佳がなぜああなった原因を調べたかったので利害が一致していた。
そしてもちろん、このオーディナル・スケールにその原因のヒントがある。
「まあ、いいわ。」
「本当にすまない。スキャンされない確証もないのに。それに…。」
「佳をあそこまでボロボロにしたのは許せない。それじゃあダメかしら。」
「…分かった。
俺はスノーのようになれないけどよろしく頼む。」
そう言って手のひらを差し出してくるキリト。私はその手のひらを思いっきりハイタッチする。
「了解!」
「頼んだぜ。『音の死神』の相棒!」
するとユイちゃんが私達の間に飛んできて、アナウンスをする。
「お2人とも、用意を。
バトルが始まります!」
私達はそれを聞いて顔を見合わせる。そして仮想現実を広げる魔法の言葉を言い放つ。
「オーディナル・スケール起動!」
その言葉を言い放つと視界が変わり、まるで異世界のような雰囲気に変わる。
私は心の中で佳の姿を思い浮かべる。
僕達が強くなればいいんだよ?
佳は前にそう言った。だけどせっかく手に入れた強さを佳は奪われた。あの2年間は私には分からない。けどそれは佳にとって大切な2年間だった事は違いない。だから今度は私が佳を…。
そう考えていると前方にさっそくボスモンスターが出現した。まるで大きなイノシシの獣人のような姿だ。
キリトはそれを見て驚く。
「あれは18層ボスモンスター、ザ・ダイアータクス!?
今日は13層のはずじゃ!?」
「ボスモンスターが都内各所で出現しています!その数10体!それに応じてボスモンスターの出現場所がシャッフルされてます!」
ユイちゃんがそう説明する。私ははあ、とため息を吐いて。
「随分と大盤振る舞いね。」
そして私は隣に立つキリトに向かって。
「強敵なんでしょ?よそ見しないでよ。」
「ああ。」
そう言ってボスモンスターに向けてスナイパーライフルの武器で狙いを定める。まずは1発。
放った弾丸は見事にヘッドショットし、ボスモンスターの体制が崩れる。
「狙い撃ち♪てね。」
「…スノーに毒されてるな。」
キリトがそれを聞いてげんなりとするがすぐに真面目な顔で。
「すぐに遠距離モードに切り替わるぞ。気をつけろ!」
「了解!」
するとそのボスモンスターは自らに繋がれてる鎖を引っ張ると壁が壊れ、まるでハンマーの様になる。なるほど遠距離モードとはこういうことね。と自分で納得しつつ。少し距離を取る。
しかし、そこに突っ込む人影が。キリトだ。
「はあああああああああああああああああああああああああああああ!」
そう叫ぶとボスモンスターの鎖を捌きつつ、剣戟を加えていく。
そう言えば…。
かつて佳が言っていた事を思い出す。アスナのためならリズムが単調になるからそこをカバーするのが大変だったと。
まさに今の感じがそれだ。私は思いっきり叫ぶ。
「攻めすぎよ!キリト!」
しかし私の声が聞こえないのか。地獄のような鎖の猛攻を何とか捌いているがこのままではジリ貧なのは確か。
…まって。
「一か八か…!」
私は狙いを定める。狙いは高速で動き回る鎖。良くGGOでやっていたスノーの銃弾を銃弾で当てる技のイメージをする。
「ふぅーーー。」
大きく深呼吸して。引き金を引く。
佳。力を貸して。
放った銃弾はボスモンスターの方へと亜音速で向かっていき……。
鎖に当たる。すると鎖は切れ、さっきまでのリーチが無くなる。
「もう1発……。おまけよ!」
そう言ってもう一度、ヘッドショットを狙い、銃弾を放つ。動きがさっきより緩慢だ。もちろんヘッドショットを決め、ボスモンスターが片膝をつく。
その隙を見逃さないのがキリトだ、そのままあっという間に剣戟を決めていく。そして立ち上がる前に。
「キリト!」
「は!」
そうしてもう一度、今度はボスモンスターの顔に突きを突きつけ……。
ボスモンスターのHPゲージが無くなっていた。
後書き
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シノン「随分と戦闘が淡白ね?」
仕方ないね。僕は今疲れてるから。
次回もよろしくお願いします。
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