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ドリトル先生と琵琶湖の鯰

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第四幕その八

「欧州じゃよくそう言われるけれど」
「それはだね」
「その実はだね」
「狼は人を襲わない」
「だから家畜にもなって」
「それで犬にもなったのよね」
「そうそう、僕のご先祖は狼だよ」
 ジップも言ってきました。
「そのはじまりはね」
「僕は猪でね」
 ガブガブも言いました。
「それぞれルーツがあるんだよね」
「私だって鴨だったし」
 ダブダブもそうでした。
「最初はそうだったのよね」
「僕だって最初はもっと野性的だったね」
 ホワイティも自分のことを言います。
「ご先祖様は」
「馬だって最初は野性だったね」
 老馬も自分のことをお話します。
「それが家畜になったんだよね」
「それで狼は人を襲わないから」
 だからだとです、ポリネシアは語りました。
「犬になったから」
「狼が人を襲うっていうのは間違いだね」
「そうね」
 チープサイドの家族もお話します。
「このことはね」
「先生がよく言ってるけれど」
「欧州じゃ狼は人を襲うっていうけれど」
 トートーも言います。
「それは違っているってことね」
「牧場の家畜を襲ったりするから怖がられて嫌われていて」
 こう言ったのはチーチーでした。
「悪魔みたいに思われていたんだね」
「欧州の狼の絵とか凄い獰猛で邪悪そうだしね」
「もう凄いね」
 このことはオシツオサレツが言いました。
「今にも襲い掛かってきそうな」
「実際に人や家畜を襲っていたりするし」
「そうだね、けれどそれは牧場があるからで」
 そこにいる家畜達を襲うからだというのです。
「日本ではそういうものがなかったからだよ」
「狼は嫌われていなくて」
「逆に大事に思われていたんだ」
「そうなのね」
「そうだよ、だからね」
 先生はさらにお話しました。
「日本では非常に有り難いと思われていて」
「それでだね」
「その狼がいなくなって」
「日本の山の生態系が乱れた」
「そうなんだね」
「そうだよ、そのこともね」
 どうにもというのです。
「問題なんだ」
「ううん、川も山もなんだ」
「もっと言えば湖も」
「これは深刻ね」
「どっちのこともね」
「河川や湖も深刻だけれど」
 今目の前にある琵琶湖もというのです。
「それ以上かもね、山のことは」
「日本の獣害凄いしね」
「お金にしたらかなりの額よね」
「鹿に猪、猿に狸って」
「あと熊も出るそうだし」
「日本の漁業と農業の深刻な問題で」
 それでというのです。
「少しずつでもね」
「解決していかないといけないのね」
「どちらのことも」
「何とかしないといけないのね」
「社会問題だよ、産業にも関わっているし」
 日本のそれだというのです。
「山は猟師さんがいてくれていても」
「数が少ないの?」
「そうなの?」
「猟師さんは」
「うん、高齢化も問題だし」
 先生はどうにもという顔でお話しました。 
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