テイルズオブザワールド レディアントマイソロジー3 ―そして、僕の伝説―
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第三十九話
「――『霊峰アブソール』に…?」
「――えぇ、リタ達の調べによるとそこにあるオイルツリーがツリガネトンボ草の進化種の一つなんだって」
――ホールにて、カノンノはアンジュからの説明を聞いていた。絶滅してしまった封印次元を作る材料であるツリガネトンボ草とウズマキフスベ。その対象として、その材料二つの進化種をからドクメントを入手出来る事が分かり…その材料の一つ、ツリガネトンボ草の進化種である『オイルツリー』が霊峰アブソールにある、という事らしい。
それで、今そのオイルツリーのドクメントを取りに行くメンバーを決めていた。
「うーん…私も行ってみようかな。皆の役になりたいし…」
「分かったわ。これでメンバーは…ヴェイグ、スパーダ、ジュード、メリア…それにカノンノで決定ね。本当ならそんなに入らない任務なんだけど、場所が場所だから要注意しててね」
「うん、分かった。…そう言えばさっき、ヴェイグが不安そうな表情でホールの前をうろうろしてたんだけど…」
カノンノが思い出したように苦笑いを浮かべてそう言うと、アンジュは溜め息一つと共に、カノンノと同じように苦笑を浮かべた。
「あぁ…実はクレアが食材が足りなくなってきたから街に一人で買いに行ったんだけど…それが不安らしくてね。衛司とアルヴィンの事があったからヴェイグも不安らしいんだけど…流石に街中だからサレは早々姿を出せないだろうから大丈夫、ってクレアが言ってね。それがまだ不安なんでしょう」
「なるほど……」
アンジュの説明を聞いて苦笑いを浮かべているカノンノだが、衛司の名前に僅かに反応し、小さく首を横に振るとアンジュと話した後、部屋に準備へと向かった。
きっと、衛司は大丈夫だ…と信じながら。
―――――――――――――
「――何…だ……これ…?」
「――…ひどい…」
――霊峰アブソールに到着し、アブソールに詳しいセルシウスから教わったルートを通っていたカノンノ達。
だがその途中……突如目に広がった光景に…カノンノ達は足が止まった。
目の前に広がった光景……それは……本来雪で白い筈である大地が真っ赤に染まったものと…それを作り出したであろう、無惨と言える程ボロボロにされた魔物の群れの死骸であった。
「…この切り傷は……でも…こんなのって…」
「……どうしたの…ジュード……?」
「これ…多分人がやった後…だと思うんだ。傷の入り方の形が…剣の形に近いから」
魔物の死骸を見ながら呟いていたジュードにメリアが問うと、ジュードは少し考えながらそう言葉を出し、皆が驚いた表情を浮かべる。
「オイオイ…こんな惨状を人がやったって言うのかよ?…どんだけ異常な人間だよ」
「…少なくとも、危険な事に変わらないよ。…どうする?一旦引き返して、アンジュに報告する…?」
魔物の死骸を見ながら思わずそんな言葉を出したスパーダに、ジュードは考えるような仕草を見せてそう言葉を出し、皆が考えだす。
…その時だった。
「……!!」
「…?どうしたの、ヴェイグ」
「…今、風に乗って声が聞こえた気が…」
突然、何かに反応したように周りを見回しだしたヴェイグにカノンノが首を傾げて問い掛けると、ヴェイグはそう応えた。
「声…?空耳じゃねぇのか…?」
「いや…だが……」
『キャアァアァァァァっ!!』
『『『!?』』』
スパーダの言葉にヴェイグが首を横に振って応えようとした瞬間、響き渡った女性の…聞き覚えのある悲鳴に全員が反応する。
「…い、今のって…っ!」
「……クレアの…声…」
「そんな…クレアさんは街に買い出しに行ってる筈じゃ…」
「クレア……クレアアァアァァァっ!!」
「ぁ、オイ、ヴェイグっ!」
響き渡った突然のクレアの声に皆が驚く中、スパーダが止める間もなくヴェイグが声の聞こえた方へと走り出した。
「ど、どうしよう……っ」
「とにかく、ヴェイグを追うぞっ!」
スパーダの言葉に全員が頷くと、クレアの声が聞こえた道を走り出した。
―――――――――――――
――クレアの声が聞こえた奥。そこに辿り着き、見えたのは……
「――クレア!」
「――ヴェイグ…」
「――そんな……どうして…っ!?」
「――………っ」
「――ようこそ、アドリビトムの諸君。そして久しぶり、ヴェイグ」
「――……サレ…それに…アルヴィン!」
――目的のオイルツリーの前に不気味に笑みを浮かべて立つサレと……クレアを抑えつけ銃口を突きつけているアルヴィンであった。
「…皆…ごめんなさい。街でアルヴィンさんの姿を見つけて…追い掛けたらこうなって…」
「そんな……どうしてアルヴィンが…」
「……それは――「まぁだ分からないかな?アルヴィン君は始めから…こっち側だったんだよ」――なっ…テメェ」
皆の問いに苦々しい表情でアルヴィンが応えようとするも、それより先にサレが応え、思わずアルヴィンはサレを睨む。
「そんな……っ」
「……サレ…アルヴィン…衛司はどこ…?」
サレの言葉に、全員が驚愕の表情を浮かべる中、メリアは皆より一歩前に踏み出し、静かに問い掛ける。
その様子に、サレは不気味に笑みを浮かべたまま口を開く。
「衛司君かい…?安心しなよ……嫌でもすぐに会えるから、さ」
「……っ……まさか…」
「サレ…サレエェエェェェっ!!」
武器である剣を構え、無気味な笑みを浮かべたままそう応えたサレに、全員が声をあげ、メリアは怒号と共に特攻する。
それにアルヴィンはクレアを離し後ろへ下げ、サレは不気味に笑みを浮かべたままでいる。
……そして…。
――ガキンっ!!
――それはサレとアルヴィン『以外』のものによって防がれた。
「……え…?」
「……嘘…」
――防いだ人物の姿…それは……
「そん……な……」
「サレ……貴様…っ!」
――皆が見覚えのある服装と、見覚えのある顔…。
しかしながら…身体の至る所からラザリスと似た結晶を出し、右手が結晶の剣とまさに『同化』してしまっている…
「…だから言っただろ。『嫌でもすぐ会えるから』って」
「サレ…テメエェェェェェっ!!」
――その姿の正体は…
「……衛……司……?」
「そんな……そんなの……っ!」
――変わり果てた……『乾 衛司』であった。
「――オォオォォォォォッ!!」
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