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仮想空間の歌う少年

作者:ケンケン4
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9

 
前書き
100話目再び!
懐かしのシーン!
それでも問題ないぜ?という方はどうぞ! 

 
「物憂げに映る未来をみたふたりは一緒に笑っていた…♪ 」

僕はいつも通り、大きな樹の上にギターを持って弾きながら静かに歌う。
あの後見事、ユウキ達がフロアボスを倒して石碑に名前を刻む事が出来たらしい。それは良かった。
良かったけど…。

「その手を離したのは誰ですか…僕でしょうか貴女でしょうか♪」

僕はユウキ達スリーピング・ナイツが解散した事をいつアスナに言うか迷っていた。…そしてスリーピング・ナイツは本当はどの様なギルドなのか。おそらく前者は直ぐに分かるだろう。だけど後者は…。
僕はその事を紛らわす様に歌う。今日の設定はまん丸お月さまだった。そんな中大きな樹に近づく一つの影。

「何故貴女は信じないのですか♪それとも信じられたいのですか♪」
「スノー…。」

僕は樹の下にいるアスナを歌いつつ笑いながら睨みつけた。アスナはまるで無表情で僕に縋る様な目で見てくる。
僕は笑いながら足をバタバタさせて。

「口を開かなければ分からない♪思ってるだけでは伝わらない♪」
「…。」

ちょうど歌っていた歌詞が今の状況にあった歌詞だった。
そうするとアスナは一回下を向いて俯くと、意を決したように…あの鋼鉄の城にいた時の様な凛々しい表情で僕に問い掛けた。

「スノー!ユウキとリアルで合わせて!」
「言うと思ったよ…。」

僕は歌い終わるとギターをストレージにしまいふわっと樹の下に舞い降りる。

「でもコンコン…ユウキはアスナに会いたくないかもしれないよ?
…その様子じゃコンコン何も事情を説明せずにスリーピング・ナイツを解散させたみたいだしね。」
「それは…。」

僕ははあ、とため息をついてアスナを見つめる。そして道化師の様に大げさに手をヒラヒラさせて思った事をそのままに喋る。

「いい?アスナがいくら会いたくてもあっちには何か会いたくない事情があるのかもしれない。
…それなのに会いに行くのかい?」
「私は…。」

そうしてまたアスナは俯いてしまったので僕はまた一つため息をついて断ろうとした。

「なら…」
「私は知りたいの…!」
「…!」

するとふるえながら僕を見るアスナがいた。それを見ておちゃらけた態度を無くす。

「私は知りたいの…!あんな楽しかったあの場所をなぜ無くしたのか!その理由を!
これは私の我が儘かも知れないけど!」
「我が儘だね。それはアスナの我が儘だ。」

僕はそれを聞いてバッサリと切り捨てる。するとアスナが絶望した顔で見てくるので。僕は頭を掻きながら。

「…だけど。気持ちはよく分かったよ。
…言うだけ言って見るよ。」
「…!」
「ただし。コンコンが『会いたくない。』って言ったら諦めて。
…いい?」

僕は真面目な顔でアスナを見ると頷いてくれた。
僕はそれを見て笑う。

「はい!交渉成立!それじゃあ…
明日は月曜日か…。明日の放課後にオッケーなら電話するから。」
「わかったわ。」

僕は『奇跡の音符』を使いプーカ領に向かう。
ログアウトしてコンコンに会うためだ。

「羽ばたく蝶のように…♪」

すると僕の周りに音符が溢れ出し、音符が無くなるころにはスノーの姿はアスナの前から消えていた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

僕はログアウトすると詩乃の部屋に行く。まだ日曜日の午後3時。いるはずだ。

「しーの!」
「どうしたの?佳?」

僕はニコッと笑って詩乃に。

「ちょっと今からデートしない?
…少し話しながら。」
「え…?」

僕が途中から真面目な顔になったからだろう。詩乃が心配そうに僕を見つめるが。直ぐに。

「わかったわ。…ちょっと支度するわね。」

僕は詩乃が支度するのを自分の部屋で待っている間に父さんに電話する。携帯から院長室の電話にかける。

「もしもし…僕。
…コンコンに会いたいんだけどいいかな…?…うん。うん。…後詩乃も。…うん。わかってる。…それじゃあ。」

電話を終え、ふうと一息付くと。

「病院に行くの?」

見るといつの間にかに詩乃が準備万全にPコートをきて僕の部屋にいた。

「うん…。詩乃には会ってみて欲しいんだ…。
コンコンにね。」

僕は暗い顔なのだろう。顔が強張るのを感じる。すると詩乃がスタスタと近寄って来ると僕にギュッと抱きついてきた。

「詩乃…?」
「大丈夫…待ってたわよ。佳から説明してくれるのを。
…道中ゆっくり説明して。どんな事があっても佳の事嫌いにならないから。」
「うん…。」

僕は詩乃がそう言うのを聞いて少しニコッとして。僕もぎゅっと抱きしめ返して。感謝の言葉を口にする。

「ありがとう。…僕を信じてくれて。
それじゃあまずは外に出ようか?」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「あの事件から僕は一部記憶を無くしていたの知ってるよね?」
「ええ。」

僕達はゆっくり、電車に乗る。時間も時間なのであまり人は乗っていなかった。ドアに寄り掛かりながら話をする。

「僕はその頃、雪宮病院の精神科に行っていたんだ。…まあ、理由は記憶喪失の事なんだけどね。その後は僕、よく待合室で他の患者さんとお話するのが日課だったんだ。その時にコンコンに会ったんだ。…と。」

すると途中駅で人がたくさん入って来たので詩乃を引き寄せる。
すると自然に詩乃を抱きしめる体勢になる。

「んと…とりあえず話すのは雪宮病院まで歩きながら。」
「そ、そうね。」

もちろん一気に満員電車になったので動きが取れず抱きしめる体勢のままだ。

「…。」
「…。」

顔を少し赤くしながらそのままの体勢の僕達を乗せた電車は雪宮病院の最寄り駅に向かって行った。 
 

 
後書き
昔の俺すげえな…。よくこんな甘ったるい話書けてたな。
と考えてるケンケンさんです!
スノー「…」
あ、そうかこの時期はスノーくん大変な時期か。
まあ、彼にはこの期間をのりこえて貰いましょう!
次回もよろしくお願いします。 
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