ドリトル先生と琵琶湖の鯰
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第一幕その七
「そう思うと滋賀県も面白いわね」
「歴史から見てもそうだね」
「時代劇の撮影に使われていたことは聞いていたわ」
ポリネシアはこちらのお話をしました。
「けれどそんなこともあったのね」
「いや、歴史から見ても面白い県なんだね」
トートーの目はくるくると興味深そうに動いています。
「行くのがさらに楽しみになったよ」
「さて、皆で行ったら」
どうかとです、ダブダブは言いました。
「どんな素敵な旅になるのかしら」
「僕もそう思うよ、安土にも佐和山にも彦根にも行きたいし」
それにというのです。
「あと小谷城の跡も行きたいね」
「ああ、浅井長政さんだね」
「信長さんと争って敗れた」
「お市さんのご主人」
「あの人のお城にも」
「そうなんだ、それで都跡にも行って」
そしてというのです。
「学びたいね、そして琵琶湖もね」
「調べたいんだね」
「あの湖の生きもののことも」
「今回はそれが最大の目的の一つだし」
「それでだね」
「そうだよ、そして調べた生きものを水族館に持って行く」
そうすることもお話するのでした。
「楽しみだよ」
「そうだよね」
「じゃあね」
「皆でね」
「あらゆることを楽しもう」
「そうしようね」
「さて、じゃあ出発の時までに」
トミーは先生達に笑顔で応えました。
「準備をしないと駄目ですね」
「そうだね、ただね」
先生はトミーに応えて言いました。
「日本の何処かに行く準備もね」
「慣れましたね」
「もう色々なところに行ってるからね」
それでというのです。
「慣れてきたよ」
「そうなったんですね、先生も」
「これまで京都、奈良、和歌山、松山、北海道、沖縄、長野って行ってきたね」
「そう思うと色々行っていますね」
「イギリスにいた時も色々なところに行ったしね」
「月にも行きましたし」
「そうした経験があるから」
だからだというのです。
「もう旅への出発の準備はね」
「慣れていますね」
「僕もそう思うよ、ただ」
先生はここで皆を見回して言いました。
「僕はそう思っていてもだね」
「そうだよ、先生頼りないから」
「こと日常生活のことはからっきしだから」
「僕達が一緒にいるから」
「旅行の準備も任せてね」
「忘れもののない様にするから」
「宜しく頼むよ。僕はこのことは皆から言われるからね」
とかく日常生活のことではというのです。
「全く駄目だって」
「僕から見てもそうですしね」
トミーも言うことでした。
「先生は日常生活のことは」
「出来ていないんだね」
「かなり頼りないです」
そうだというのです。
「本当に」
「やっぱりそうなんだね」
「はい、ただ」
「ただ?」
「そこが先生の魅力でもあります」
トミーは先生に笑ってこうも言いました。
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