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ドリトル先生と琵琶湖の鯰

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第一幕その六

「王子にも声をかけるけれど」
「王子もですね」
「どうなるかな」
「わからないでしょうね」
「まだね、けれど二人も一緒に来てくれたら」
 それならとです、先生はまた笑顔になってお話しました。
「僕は嬉しいね」
「一緒に学問と旅行が出来るからですね」
「そうだよ」
 まさにその通りだというのです。
「本当にね」
「心からね、ただね」
「ただ?」
「滋賀県に行くのははじめてだから」
 それでとです、先生は考えるお顔であらためてお話しました。
「楽しみだね」
「琵琶湖が有名でね」
「大学で牛のことも話したけれど」
「他にもだよね」
「色々あるよね」
「歴史もあるよ、あそこに豊臣秀吉さんがいたこともあるし」 
 先生は動物の皆にお話しました。
「織田信長さんも安土城を築いたよ」
「あっ、あの凄く奇麗なお城ね」
「テレビでもやっていたわね」
「青い瓦に金箔も朱塗りを使って」
「物凄く奇麗なお城ね」
「あのお城もあったし石田三成さんのお城もあったし」
 こうお話するのでした。
「都もあったんだよ」
「えっ、都って」
「首都よね」
「滋賀県に日本の首都があったの」
「そうだったの」
「そうだよ、飛鳥時代に都を移転させた時代があったんだ」 
 そうだったとです、先生は皆にお話しました。
「明日香から移したんだ」
「そんなことがあったんだ」
「日本の都がその頃結構変わってたとは聞いてたけれど」
「大阪にあった時もあったのは聞いてたけれど」
「難波ね」
「あそこにね」
「橿原にもあったしね、それで奈良に定まって」
 そしてというのです。
「平城京になってね」
「そこからも移ったりして」
「京都に落ち着いたんだよね」
「それで明治維新までずっと首都は京都だった」
「平安京だったね」
「そうなったんだ、日本は飛鳥時代から平安時代までね」
 まさにというのです。
「首都が何度も変わってるんだ」
「そのことは先生から聞いていたけれど」
 それでもとです、チーチーは言いました。
「滋賀県にもあったんだ」
「いや、それは知らなかったね」
 ガブガブも少し驚いています。
「ずっと奈良県にあったと思っていたよ」
「大阪にあったことは知っていても」 
 ジップはこちらのお話をしました。
「滋賀県にもだったんだね」
「明日香村から離れて」
 そしてとです、ホワイティも言います。
「そこに移っていた時期があったんだね」
「いや、それは意外だったよ」
 老馬もお話します。
「本当にね」
「日本の歴史は長いけれど」
「首都も色々移転して」
 オシツオサレツも二つの頭で考えて言います。
「それでだね」
「その中で滋賀県にもあった時期があるんだ」
「戦国時代とか江戸時代のことは知ってたけれど」
「飛鳥時代からの歴史があるのね」
 チープサイドの家族の口調はしみじみとしたものでした。 
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