仮想空間の歌う少年
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前書き
もう1回もう1回と歌いながら。
それでもあなたは飛び込むの?
「いろいろありがとう…。すっきりしたわ。」
そう言って明日奈はゆっくりとココアを飲む。
そうしている間に僕と詩乃は大量に作ったチンジャオロースとサラダなどをテーブルの上に運ぶ。
「まだ明日奈夕食食べてないでしょ?一緒に食べよう?」
「ありがとう…。」
僕がそうやって笑って言うと明日奈も笑って返してくれた。医療に携わっていると分かるのだがやっぱり笑顔は大切だ。
「それじゃあ…皆さんご一緒に!」
食べ物が並び終わり、席に座ると僕は手と手を合わせる。すると2人も手を合わせて。
「「「いただきます!」」」
9時頃からのちょっと遅めの夕食会?が始まった。…とにかく作り過ぎが幸いしたね。
「ねえ?佳君。」
大量に作り過ぎたチンジャオロースを食べていると明日奈が質問をしてきた。
「スリーピング・ナイツのユウキとリアルで知り合いなの?」
「なんで?」
僕は微笑みながら明日奈に聞き返す。すると明日奈は僕の顔をジッと見てくる。その凛々しい目に本当の事を言いそうになるが。
「いや、なんとなく。そんな気がするから…。」
「ふーん。ま、それよりも。どうするの?」
僕は微笑みを崩さず、尚且つ話を逸らしながら明日奈に今後について聞く。
「…。とりあえず今日は帰るわ。」
「なーんだ!帰るの?詩乃の部屋ぐらいいつでも使っていいのに…。」
「なんか言った?」
すると恐ろしい顔をした詩乃が僕の肩をグッと掴んで来たので僕は震えながら。
「なんでもありません…。」
「よろしい。
…それはともかく。佳の言う通り泊まっていっていいんだよ?」
「ありがとうシノのん。でも大丈夫。」
そう言って明日奈は笑って僕達の申し出を拒んだ。そうすると部屋にある時計をチラッと見て。
「…そろそろ帰らなきゃ…。2人共ありがとう。」
「本当に良いの?」
そうすると明日奈は立ち上がりながらニコッと笑って。
「キリト君以外にも助けてくれる人達がいるから…!」
「そう…。」
僕達はそこまで言われたら黙るしかない。
そうして僕達は明日奈を家の近くまで送って帰り、この日はお開きになる…はずだった。
しかしそうならなかったのは自分の部屋に戻ってからのキリトからのメールだった。
『スノーお前に聞きたい事がある。0時に…絶剣の賭けデュエルをする場所に来い。』
僕はそのメールを見た時。嫌な予感がした。最近キリトとまともに喋っておらずしかも場所が場所だ。
…僕とコンコンの秘密に気付いている?
本当は行きたくないのだが…。
「でも、行かないと行けないよな…。」
行かないと行かないでいろいろ面倒だ。僕はそれを考えて机の上に置かれたアミュスフィアを見るそしてそのまま僕はアミュスフィアを被り。そのままベッドの上で魔法の呪文を唱える。
「リンク…スタート。」
不安そうに言っても仮想空間に連れていく。
…嫌な魔法だ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
僕は1時間前に待ち合わせ場所に行き、コンコンの様に木の枝に座る。…今日は紅い月が見えていた。
ーーーねえ?君の名前は?ーーー
ーーー雪宮君ね!ならユキって呼ぼうかな?ーーー
ーーー今まで病院って今まで嫌だったんだけどユキと話せるから…苦しくないよ!ーーー
ーーーまた、会えるよね?ユキ。ーーー
ーーー僕は嬉しいよ…。またユキに会えて。病気の姿じゃなくて、元気な姿で会えてーーー
そしていつもの…雷鎚ミョルニルを大鎌モードにして背中にかける。そして歌を歌う。今の気持ちがこもった曲を。
「自分の不器用さが嫌い…。君の見るすべてのミライにも…。何度でも君に会いたいのに…♪」
「…相変わらずだな?」
はっとして下を見るといつの間にかにキリトが木の下から見上げていた。
「さて?なんだろうね?」
「絶剣の事だろ?」
キリトは真面目な顔で僕を睨んでくる。僕はそれを茶化す様に笑いの仮面を被る。
「絶剣?ああ、コンコンの事?僕の好きなのはシノンだよ?」
「そうだな。お前の好きな…大切な人はシノンだ。だが今、守りたい者は絶剣…ユウキだろ?」
「⁉︎」
キリトは僕が驚くのを見て。確信に変わったらしい。それを見て。
「やっぱりな。お前の父さんが言っていた。…ただ核心はお前に聞けと言っていた。」
「ふーん。父さんが。
…だから最近僕を避けて…いや、調べていたんだね?」
そう、最近。やけにキリトが話して来なかった理由。それが僕とコンコンの事を調べていた…という事か。するとキリトは睨んだまま。
「なあ、教えてくれ!スノー!
…ユウキは一体何者なんだ!」
僕はそれを見てはあ、とため息をつき。空に浮かぶ紅い月を見上げる。そしてそのままキリトに語りかける。
「それは聞くまでもなく…君は知ってるんでしょ?」
「ああ。ユウキはメディキュボイドの被験者だろ?」
メディキュッボイド…それは医療などの苦痛などから取り除くためにつくられたVR技術を応用した医療。
…そう。ユウキはその被験者として2年以上仮想空間の住人として生きている。
僕はそれを聞き。木の枝の上に座っているのだが足をバタつかせニヤッとする。
「正解。
だからコンコンは強いんだよ?…この世界で君に勝つくらいね。」
僕は内心、気付いていた。キリトが知りたい事はそれじゃないと。
本当に知りたいのはーーー
そのままキリトは口を開く。
「ああ。だが俺が知りたいのは
お前とユウキの関係だ!」
それをキリトが言うと風が吹き木の枝や葉っぱを揺らす。そしてそのまま沈黙が支配する。
キリトが睨みつける中、僕はふっ、と笑い。
「知りたい?なら…。」
僕は大鎌を片手に持ち、紅い月をバックに木の枝からゆっくりと降り立つ。
…それはまるで見るものを絶望させる死神が地上に舞い降りた恐怖感があった。
「僕に勝ってみてよ?…黒の剣士。」
「…。」
するとキリトは二本の剣を取り出す。一つは黒いリズの会心の作の片手剣。もう一つはエクスキャリバー。
僕はその姿勢をみて口元を吊り上げる。そしてデュエル申請のウィンドウが出て、デュエル開始のカウントダウンがなる。
僕は口元を吊り上げたまま。
「…本気で潰すよ。キリト。」
「やってみろよ。スノー。」
カウントダウンが0になると…二刀流の剣士と音の死神は同時に敵に向かい駆け出した。
後書き
ミスチルのHANABIって良いですよね。
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