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剣の世界の銃使い

作者:疾輝
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過去との再会

 
前書き
若干オリ話、というかレイトの過去の話に入ります。
といっても、今回は話しませんけど。
では、どうぞ! 

 
「またかよ・・・・」

決闘騒ぎも終わり、今日は一日ホームに籠ってゆっくり休むかと思い、同じく出かけていなかったシリカとだらだらと雑談していたのだが。
送り主はアスナさん。KOBとはよく狩りの手伝いをしているけど、こんなに頻繁に呼ばれることはなかったのだけれど。攻略の手伝いだったら断らせてもらおうか、疲れてるし。

---今すぐ来て---

「これだけですか?」

「なんだこれ・・・」

「さぁ・・・?」

シリカが横からのぞいてきたので、可視モードにしてメッセージを開いたのだが、中身はこれだけ。いつもの攻略の手伝い要請なら、もっと内容がわかりやすく的確な文章で来るはず。

「ドッキリって感じでも無いしなぁ」

「なんか、書きなぐって直ぐに送信した感じですね」

となると、真面目に考えた方がいいか。普段着から、防具へと装備を変える。とはいえ、守備力はあんま変わらんのだけどね・・・。

「私も行きますか?」

「いや、俺一人で大丈夫だろ。どうしても必要になったら呼ぶけど、極力しないから。何時までかかるか分からんし、昼飯は先に食べててくれ」

「はーい、いってらっしゃい」

「いってきますっと」

シリカの見送りを受け、ホームから出て転移門へ向かう。フレンド登録してあるので、今のアスナさんの居場所は分かったのだが、最前線ではなく、KOB本部があるグランザムの方だった。
グランザムからKOB本部まではそう遠くもなく、直ぐにアスナさんの姿を視認できた。

「あ、レイトくん!こっちこっち!」

「何ですか、いきなり呼びつけて・・・」

本部の前にいたアスナさんは俺を手招きすると、何やら操作していたウインドウを可視モードにして見せてきた。

「マップ・・・?どこの、というより誰のですか?」

呼びつけた内容も言わずに、いきなり見せられたのはマップデータ。誰かをモニターしているのか、常に地図の中心にひとつのプレイヤー反応があった。その周りには3つ。どれもグリーンではあるのだが?

「この層のマップで、キリトくんをモニターしてるんだけど」

そういえば、キリトがKOBに入ったんだったか。話を聞いてみると、二人で攻略をしようと思っていたら、KOBの幹部の一人のゴドフリーに、規律だとかなんだとかいちゃもんつけられて、キリトは連れて行かれたんだとか。
それは分かった。
で、なんで呼ばれた?

「それだけなら良かったんだけど・・・今、四人で行動してるでしょ。その中にクラディールがいるのよ・・・」

クラディール?さすがに俺はKOB全員の名前は覚えてないんだが・・・・・。ん?なんか最近目にしたような。クラディール、クラディール・・・。

「あー・・・・っと、エギルの店で会った時に護衛してた一人で、その翌日にクロノとデュエルしてた人でしたっけ・・・?」

「そう!それで・・・」

クラディールはアスナ崇拝教(俺が勝手に名づけた)の一人だったし、二人が一緒にいるのを快く思ってないんだろうな。店で会った時もただ話してるだけで、言いがかりつけてきたしなぁ。でもデュエルでは圧倒的に負けたのだし、潔く引いてくれないものかねぇ。
俺が呼ばれた理由がだんだん読めてきた。

「つまり、クロノが心配で、でも自分が行くと示しがつかないから、ギルドの人じゃなくて、尚且つ暇な奴が必要だった、と。そういうことですね?」

「あ、あはははは。暇とまでは言ってないんだけど」

あれ、俺これ断っても問題無いんじゃないか?いきなりメッセージ飛んでくるから、何事かと思ったら、ただの心配症で、ストーカーまがいの事をしろとは。

「はぁ・・・・。副団長権限でなんとかならなかったんですか」

「言ったんだけど、あのゴドフリーだから・・・」

ああ、脳筋ってことか。よく居るんだよな、理屈云々聞かない人。自分の見聞きしたものしか信じないのも悪くはないが、それも行き過ぎると困る。

「俺にも予定あったんですけどね・・・・。これ、迷宮区の方向ですよね」

今日は一日シリカと、ごろごろイチャイチャしてようと思ったのに。
位置を確認するために、もう一度アスナさんのマップを覗き込んだ瞬間、周りにあったプレイヤーアイコンが一個消えた。

「「!!!」」

アスナさんとほぼ同時に走り出す。見た時には周りには敵はいなかった、つまりPK・・・・。

「先行きます!俺が先行して動き止めるんで、回復の方お願いします!」

「お願い!」

敏捷値では俺に追いつける人はそうそういない。アスナさんを後ろに残して、全力で走る。自分でもマップを開きキリトの位置を見つけるが、かなり奥まで進んでいて、俺の全力でも数分はかかる・・!
走りながら、狙撃銃の方を出して装備を整えていると、

「クソッ・・・!!」

また一つアイコンが消える。キリトじゃない奴だが、だからと言って殺されていいわけじゃない。まだか、まだ見えないのか・・・!!

「あれか!!」

やっと視界に補足する。ここまで近づければ、狙撃可能。スキル変更までしてる余裕はない、すぐに構えて、クラディールを狙う。
狙いは腕、または武器なのだが、動いてるせいで狙いが定まらない。下手に足とか狙ってキリトの方に被弾したんじゃどうしようもない。
落ち着け、落ち着け・・・・人の命がかかってるんだ・・・・。俺は、もう二度とあの光景を繰り返さないために、ここまで強くなってきたんじゃないのかよ・・!

「今っ!」

自分の力量を信じ、引き金を引く。嫌に自分の放った弾丸が遅く感じる。あとはもう俺がどうこうできることはない。当たるのを信じるだけだ・・。
ぎゃりいいんと金属音が鳴り響き、クラディールの手から武器が弾き飛ばされる。よかった、命中した・・・・。
ほっ、と安心していると、横を一筋の閃光が抜き去って行く。クラディールは武器を弾かれて仰け反っているし、あの速度なら十分キリトのところまで間に合う。一応安心しつつも、俺もすぐに後を追う。

「アスナさん、そろそろストップ」

俺が追いついた頃には、もうクラディールのHPはほとんど削り取られていた。

「こいつの始末は俺がやっとくので、アスナさんはクロノの方行ってやって下さい」

「あ・・・お願い、レイト君」

そのまま殺しそうな勢いだったアスナさんを止めて、キリトの方へ送る。その後、念のため麻痺毒の短剣で刺して、KOBに連絡して引き取りに来てもらうことにする。

「で?大体の理由は分かるからいいけど、どうやって攻略組を二人も、それも無傷で殺したんだ?」

人が来るまで、若干時間あるし少し尋問まがいのことでも、と思ってしまったのが、いけなかったのだろう。この後、あんなことになるなんて。
クラディールは一度こっちの睨んできたものの、もう諦めたのか、意外と簡単に話してくれた。

「あー?ただ単に食事に麻痺入れただけだよ、結晶は馬鹿が事前に集めてくれてたからなぁ」

「食事に麻痺?料理スキル高けりゃ、できないこともないが・・・それとは別なやり口だろ?どこで聞いたんだ?」

やり方は色々あるだろう。それの対抗策も。だが、問題はそれをどこで知ったか。その点にある。またどっかのオレンジギルドとかだったら・・・。

「へへへ・・・、聞いて驚け、俺にこの手を教えてくれたのはなぁ、あの史上最悪のPKギルド、ラフィン・コフィンだぜ?」

なん・・・だと・・・・?

「と言っても、俺が入ったのは攻略組に潰されたあとだけどな。少数のやつらが生き残って、また始めたんだと・・・っと、どうした?」

今、コイツはなんて言った・・・・?
いまこいつはなんていった?
イマコイツハナンテイッタ?

なんで、なんで、なんでなんでなんで!
もう二度と聞かないと思っていたのに、どうして、なんで!?
脳裏に思い浮かぶはあの光景。あの瞬間。そして、あの彼女の笑み・・・・。
記憶の奥底に焼き付き、決して離れることのないトラウマが呼び戻され・・・

《だーめ、これはわたしの・・・やくめだよ・・・?レイ君がやっちゃいけない・・・》

あの言葉。
無意識に自分の意識の中で封印していたものが解かれていく。
悔恨、憎悪、絶望、消失、落胆・・・
それら負の感情が体を駆け巡り、蹂躙していく。
このままだと・・・・

「う・・・・・・・あああああああああああああああああああああああああああ!!!」

そこで意識が途切れた
 
 

 
後書き
レナ「うわーお、先輩、どうしちゃったんでしょう?」

疾輝「君は知っているでしょうに・・てかなんで居るの?」

レナ「先輩が出れないんで、代わりにってことです!」

疾輝「はぁ、まあ次の話は君視点になると思うから」

レナ「そうなんですか!?やった!!」

疾輝「レイトがこんな状況だしね」

レナ「ではでは、次回の私の活躍を乞うご期待!」

疾輝「いや、活躍はしないと思うけど・・」 
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