レーヴァティン
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第百六十七話 近江に入りその十
「安土にいる間な、そして彦根でもな」
「灯りの数を倍にするのね」
「そうすれば十万の軍勢が二十万に見える」
灯りの数からそう思うというのだ。
「だからだ」
「ここはなのね」
「そうしていく、ではいいな」
「じゃあね」
「戦は出来るだけしない」
その前に降らせる、その考えを実行に移していった。
英雄は兎角東海と甲信の国人達を戦わずして降らせる様に腐心していた、そしてその考えと努力は箕を結び。
降る国人達は日増しに増えていき彦根に入った時にはだった。二国は。
「そうか、寺社も含めてか」
「全てでありますよ
峰夫が英雄に笑って話した。
「降ったであります」
「大名の様な勢力もだな」
「そうなったであります」
万石の勢力を持つ者達もというのだ。
「そうなったであります、そして信濃や三河の国人達も」
「降ってきているか」
「そうなっているであります」
「まさか一戦も交えず、両国にも入らないうちに全て手に入るとはな」
美濃と尾張、この二国がというのだ。
「考えていなかったが」
「それでもでありますな」
「幸先がいいな」
英雄は表情を変えず述べた。
「これは」
「実にでありますな」
「そうだ、ならだ」
「このまま美濃と尾張に入り」
「三河と信濃にな」
それにというのだ。
「飛騨をな」
「完全に手中に収めるでありますな」
「そうする、それと美濃は治める軸は稲葉山だ」
「あの寺でありますか」
「あの寺はそのままでいいが」
それでもとだ、峰夫にさらに話した。
「その麓に大きな城を築くか」
「あの寺は退くと言っているでありますが」
「稲葉山からか」
「平らな場所に」
「幕府に気遣ってか」
「冒険をしていた時にあの寺に入ったことから縁がありましたな」
「あの寺では色々と学ばせてもらった」
英雄はその時のことを思い出しつつ答えた。
「何かとな」
「そうだったでありますな」
「だからだ」
それでというのだ。
「俺としてもあの寺には馴染みを感じる」
「そうでありますな」
「だからだ」
そえでというのだ。
「あの寺もこちらに来てくれてよかった」
「戦わずに済んで」
「それも兵を動かすと美濃の勢力で最初に幕府についてくれた」
「よかったでありますな」
「そして今はそう言っているか」
稲葉山を退くと、とだ。英雄は述べた。
「ならこちらも美濃でいい場所をな」
「提供して」
「そこに移ってもらう、では稲葉山とその麓にな」
「確かな城を築き」
「その城の名は岐阜城だ」
この城の名前をここで出した。
「そうする」
「岐阜城でありますか」
「そうだ」
この名前だというのだ。
「そうする、そして尾張だが」
「あちらもでありますな」
「既に清州城があるが」
「あの城よりもでありますか」
「清州城を付城にして本城を築きたい」
「清州の傍といいますと」
「城にいる国人には別の領地を与え」
そしてというのだ。
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