夏の甘い時
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第四章
「本当にね」
「違いますか」
「私服姿見たのはじめてだけれど」
それでもというのだ。
「何かね」
「普段とですか」
「違ってそれで、それに」
「それに?」
「香りがね」
身体から漂ってくるそれがというのだ。
「またね」
「そう言う先輩も」
今度は瑠璃から言ってきた。
「違いますよ」
「僕もなんだ」
「普段と」
「どんな感じかな」
「ラフでそれでいて清潔で」
そうした感じでというのだ。
「いつもの明るい感じに加えて」
「そうしたものもなんだ」
「入っていて」
それでというのだ。
「本当にです」
「普段となんだ」
「また違いますね、いいですね」
「いいかな」
「とても」
瑠璃は彰ににこりとして答えた。
「一緒にいて楽しいです」
「そうなんだ」
「それで私の香りっていいますと」
「シャンプーとボディーソープと」
「その香りですか」
「これはそうかな」
「実はお風呂入ってきました」
瑠璃は素直に話した。
「ここに来る前に」
「そうだったんだ」
「それで先輩も」
「そうだよ、僕もね」
「一緒ですね」
「ここに来るってなったら」
瑠璃と一緒に行くとなると、というのだ。
「やっぱりね」
「その前にですね」
「身体奇麗にしていたくてね」
「どうしてもそう思いますよね」
「そうだよね、じゃあ」
「はい、今から」
「色々なお店行こうか」
「最初はどのお店に行きますか?」
「瑠璃ちゃんの好きなお店に」
「それじゃあベビーカステラのお店に」
瑠璃は彰の言葉を受けてその店にと言った。
「そうしましょう」
「ベビーカステラなんだ」
「私あれ好きで」
それでというのだ。
「最初に行くのはです」
「そこなんだ」
「いつもそうしていまして」
それでというのだ。
「先輩がそう言われるなら」
「じゃあ最初はね」
彰も頷いた、そのうえで瑠璃に答えた。
「そこにね」
「行きますか」
「うん、そうしよう」
「それじゃあ」
瑠璃は彰の言葉に笑顔で頷いた、そうしてだった。
二人はベビーカステラの店から様々な出店を巡った、そして遊んで食べて飲んで心ゆくまで楽しんだ。
その後で花火を見た、打ち上げ花火達が夜空を飾っていく。瑠璃はその花火、次々に打ち上げられるそれ等を見て言った。
「やっぱりですね」
「花火はいいよね」
「はい、一年に一回はです」
「観ないとなんだ」
「私はどうもってなります」
「そこまで好きなんだ」
「今じゃ夏だけでなくて」
瑠璃は微笑んで話した。
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