ドラえもん のび太の転生ロックマンX(若干修正版)
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クレッセント・グリズリー
暴走トラック
一足先に目的地へ赴いたエックスは、暴走トラックの上を駆け上がりながらメカニロイドを破壊していく。この暴走トラックは、エニグマの補強パーツの一つ『オリハルコン』を所持する武器のブローカー クレッセント・グリズリーの武器密売の秘密倉庫へ向かっているのだという。
「オリハルコンは、エニグマの補強には絶対に必要だ・・・・何が何でも絶対に手に入れないと・・・・・・」
エックスは、急ぎ足で次のトラックへと移ろうとするがトラックの動力炉は光線を放つ機能及びミサイルを併せ持っていたために行く手を阻まれる。
「クッ・・・・・・邪魔なんだよ!!」
エックスは、焦りながらプラズマチャージショットで動力炉を破壊してトラックの暴走を止めるが今度は自爆機能が作動する。急いで爆発して崩壊するトラックから前のトラックへと飛び移る。
「ハア、ハア・・・・・・・」
『エックス、大丈夫?』
エックスの様子に心配になったのかエイリアが通信で声をかけてくる。
「えっ?あぁ・・・・・問題ないよ。」
『時間が限られているのはわかっているけどあなたが倒れたら元も子もないわ。』
「分かってる。ゼロとマーティたちは?」
『みんな、それぞれの場所へと行ったわ。』
「そうか。俺もオリハルコンを回収し次第急いで戻るよ。」
『無理しないでね、あなたにもしものことがあったら・・・・・・・』
エイリアの言葉を最後まで聞かないうちにエックスは通信を切る。トラックが前方のトラックに衝突する前に飛び降り、目の前にある山に直接穴を掘った簡素な造りの武器倉庫へと辿り着く。
「ここか・・・・・ここにオリハルコンが・・・・・」
エックスは、倉庫の中へと入りこむ。中はある程度防衛システムが取り付けられていたがプラズマチャージショットである程度一掃して進むことができた。
「ん?」
そのまま奥へ進もうとすると丁度真上にある穴からいつもと同じ感覚が感じられた。ダッシュジャンプして上って行くと見慣れたカプセルがあり、近づくとライトが姿を現した。
「ライト博士!?」
エックスは、こんなところにまで姿を現すのに驚くものの同時に新たなパワーアップパーツが受け取れると期待した。今回の事件に関しては彼も知っているはずだ。
『エックス、またしても大変なことになってしまったようじゃな・・・・・・レプリロイドにとってこのウィルスに汚染されたこの環境は正に地獄じゃ!!本来なら今までのようにパーツとチップを作成するのはウィルスに汚染されて本来の機能が発揮できない危険があってここでは渡すことができない・・・・・安全な場所でプログラムを解析し、パーツを作成するのじゃ。』
「なっ!?」
ライトの言葉を受けてエックスは思わず動揺する。
『エイリアと言ったかな?あの娘ならプログラムを解析出来るはず・・・・・・・・・・』
「何をのんきなことを言っているんですか!!」
『!?』
エックスの怒鳴り声にライトは思わず驚きの表情をする。
「今は時間が限られているんですよ!?何をプログラムの解析からなんて悠長なことを言っているんですか!!」
『エックス?』
「こうしている間にもユーラシアが地球に接近しているんです!少しでも早く必要なものを集めなくちゃならないって時に・・・・・そもそも俺があの時シグマさえ撃たなければ・・・・・・」
『・・・・・・エックス。』
エックスの精神が極めて不安定になっていると察したライトは複雑な表情を浮かべる。叫んだエックス本人ははっと我に返り、申し訳なさそうな顔をする。
「すみません、ライト博士。」
『・・・・・いいんじゃ。そもそもわしもお前にこれくらいの事しかできんのだからな。』
謝罪するエックスに対してライトは、優しく言葉をかける。
『・・・・じゃがエックス。だからと言って自分ばかりを責めてはいかん。誰だって間違えた選択はしてしまうのじゃ。そして、自分を責めることは自分だけでなく身近なものまで傷つけてしまうことがある。』
「博士・・・・・・」
『マーティも心配しているはずじゃ。無理は、くれぐれもしないでおくれ。』
「・・・・・はい。」
『このカプセルにはファルコンアーマーのフットパーツのデータプログラムがある。このフットパーツを装着すれば自由に天を翔け、全身を纏うエネルギーフィールドで敵の攻撃を防ぎ体当たり攻撃を仕掛ける「フリームーブ」が使用可能となる。じゃが、完全に使いこなすためには残りの3つのプログラムデータが必要じゃ。』
「わかりました。」
そう言うとエックスはカプセルの中からプログラムデータを受け取る。
『・・・・・・・エックス。何も起こらねば良いが・・・・・・・』
立ち去って行くエックスの後姿を見ながらライトは心配そうに言う。
武器倉庫 最深部
「・・・・・」
エックスは、武器倉庫の最深部へと到達する。
「クレッセント・グリズリー、いるんだろ?返事をしてくれ。」
エックスは静かに声をかけると上からツキノワグマ型レプリロイド クレッセント・グリズリーが降りてきた。
「こんな時に最後の客人かと思いきや・・・・お主はかの有名なイレギュラーハンター エックスではないか。まさか実際に会えるとは・・・・・なんとも光栄なことだ。」
グリズリーは、腕を振るいながら言う。
「それで一体俺に何の用だ?まあ、イレギュラーハンターが俺の前に現れる理由など1つしかないだろうがな。」
「お前のやっていることはほぼイレギュラー行為だ。・・・・・・だが、今回は戦いに来たわけじゃない。お前の所持するオリハルコンを譲ってほしいんだ。」
「オリハルコンだと?」
バスターを解除するエックスを見てグリズリーは、驚く。
「俺たちは、今地球に落下しようとしているユーラシアを破壊するべくギガ粒子砲『エニグマ』の補修・強化するためのパーツを集めている。オリハルコンで砲身とエンジンを強化すれば作戦の成功率も上がる。」
「・・・・・だが、見返りはなんだ?尤も俺は既にウィルスに侵された身、何を受け取ろうが変わりないが・・・」
エックスは一つのカプセルをグリズリーに見せる。
「この『アンチ・シグマウィルス・ワクチンプログラム』だ。これをインストールすれば、イレギュラー化せずに済む。それに後でそれに見合った金額は払う。」
「なるほど、流石は噂通りの凄腕ハンターだ。いいだろう、オリハルコンは好きなだけ持っていくといい。だが、一つ条件がある。」
「条件?」
グリズリーは、腕をドリルに変形させてエックスに攻撃を仕掛ける。
「何をするんだ!?」
「俺と戦ってほしい。元は戦いに明け暮れていたこの身、一度でもいいからお主と戦いたいと思っておったのだ。」
「自分が何を言っているのかわかっているのか!?今はそんなことをしている場合じゃ・・・・・・」
「それに俺はお主のことを戦士として尊敬している。故に見極めさせてほしいのだ。お主があのゼロすら凌ぐ実力があるかどうかを!」
「ゼロを!?どういうことだ!?」
「奴は危険だ!かつて、イレギュラーハンターだったシグマを素手で圧倒し、この俺も赤子扱いされて半殺しにされた・・・・・・・何とか命からがら生き延びたが、その時のことを思い出すたびこの顔の傷がうずくのだ!だからこそ見せてほしい、お主の無限の可能性を!!」
そう言うとグリズリーは、その巨体に見合わぬ軽やかなステップで跳躍し、豪腕から三筋の衝撃波「クレッセントショット」を繰り出す。
「くっ!フロストシールド!!」
エックスは短時間でチャージを行い、目の前の氷の壁を形成して防御する。
「ゼロが危険?ゼロは俺と一緒に今まで多くのイレギュラーを倒してきた。そのゼロが何故そんなことをすると言い切れるんだ!」
「確かに今はそうかもしれん・・・・・だが!今のが奴の本性ではあるという保証はどこにある!?もし、イレギュラーとしての奴に戻ればそれこそ取り返しのつかないことになるのだぞ!!」
グリズリーはドリルを回転させて天井へと潜り込む。
「くっ!サーチスネーク!!」
エックスは周囲にヘビメカを飛ばす。すると放したうちの一匹が止まる。
「そこか!!クラッシュボム!!」
クラッシュボムは天井に付着すると短時間で爆発する。
「うおっ!?」
同時に身を潜めていたグリズリーが落ちてきた。グリスリーは、起き上がるが高火力のクラッシュボムを直接受けたため、少しふらついた。
「フッ・・・・噂通りの腕前だ。だが、俺とてこのドリルと自分の体で多くの強者に挑み、そして、勝利した。そして、戦利品として獲物から物を奪い、売りさばく事で利益を得てきた。お主が負ければそれまで、戦利品としてそのワクチンを頂く!!」
グリズリーは、再び地中へと潜り込む。エックスは再び周囲にヘビメカを展開するが、今度は警戒しているのか中々動きを掴めない。
「・・・・・・奴は・・・・奴は一体どこに・・・・・・・・」
刻一刻と迫ってくる時間に焦りを感じエックスは、手あたり次第チャージショットを撃ちこむ。一瞬地面が盛り上がったところを撃ってみたが外れだった。
「かかったなアホが!」
グリズリーはエックスの後ろから姿を現し、鋭い爪を振り下ろす。エックスは急いで回避しようとするが背中をアーマーごと引き裂かれた。
「うわあああっ!?」
エックスは後ろに向いて咄嗟にシャドーブレードを飛ばすがグリズリーは素早く地中に身を隠す。
「うぅ・・・・・・どこにいるんだ!?」
エックスは周囲を見回しながら更に焦る。時間が刻一刻と迫りつつある。少しでも早くオリハルコンを回収して戻らねば・・・・・・
「こんなこと・・・・・・・こんなことしていられないのに・・・・・・・・」
エックスが独り言をブツブツ言いだすとまた背後からグリズリーが気配を消しながら現れた。
「二度も同じ過ちをするとは・・・・・血迷いおったか!」
グリズリーはとどめを刺すべく、エックスに爪を振り下ろす。振り下ろす直前、エックスはダッシュで回避し、バスターを最大までチャージしてグリズリーに向ける。
「どうしてわかってくれないんだぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!」
「うっ!?こ、これはっ!?」
凄まじいプラズマにグリズリーは両手で抑えようとする。
「ぬううう!?」
「うおおおおおおおおおおお!!!!」
エックスは、更にプラズマチャージショットをプラズマに向かって撃ち込む。するとプラズマは徐々に肥大し、グリズリーの手では抑えきれないほどにまで巨大化した。
「ぬおぉおおおおおお!!!」
武器倉庫であった山の一部が吹き飛び、大きな穴を作る。
「はあ・・・・はあ・・・・・・・・」
エックスは土砂の中をかき分けて出てくる。
「グ・・・・・グリズリー・・・・・・」
そこには、下半身と両腕が跡形もなく吹き飛ばされ機能停止寸前になっていたグリズリーが倒れていた。
「み・・・・・・見事だ・・・・・・・・」
グリズリーは、満足そうな笑みを浮かべてエックスを見る。
「約束通り・・・・・・オリハルコンはお主に譲ろう・・・・・・・少し離れた地下倉庫に隠してある・・・・・・好きなだけ持っていけ・・・・・・・・」
「そ、そんな・・・・・・・・」
それとは反対にエックスは、後悔した。
ここまでするつもりはなかった。
にもかかわらず、自分はまた一人、レプリロイドを破壊してしまった。
「さっき見せてくれた実力なら・・・・・恐らくゼロも倒せるだろう・・・・・・・俺の目に狂いはなかっ・・・・・・・た・・・・・・・・」
そう言うとグリズリーは静かに息を引き取る。エックスは、目から涙を流しながらグリズリーの残骸を見る。
「・・・・・いつ・・・・・いつ終わるんだよ!!いつ闘いが終わるんだよ―――――――っ!! いつになったら――――――っ!!」
泣き叫びながらエックスは一人叫ぶ。
「結局・・・・・・結局いつも同じことの繰り返しじゃないか!!戦っても・・・・・何度戦っても!!!」
エックスはそのまま膝をつく。
「俺は・・・・・・・・俺自身の存在は闘いを招いているのか?俺が・・・・・・・俺がいるから・・・・・・・・」
足をふらつかせながらもエックスは、オリハルコンの保管されている方へと向かって行く。
自分をさらに追い詰めていきながら・・・・・・・
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