レーヴァティン
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第百六十四話 幕臣その三
「そして潰して牛乳で味付けしてもな」
「いいのですか」
「そうだ」
マッシュポテトも紹介した。
「ソーセージやベーコンと共に炒めてもいい」
「燻製と」
「そうすれば美味い、だからな」
「そうした食い方をですか」
「広めていく、この浮島ではあまり知られていない食い方だが」
今話したものはというのだ。
「西の浮島では普通だからだ」
「それで、ですか」
「こうした食い方をな」
「この浮島でも定着させて」
「民の腹を満たさせる、腹が満ちればな」
「満足に働けますな」
「まずは餓えないことだ」
何といってもというのだ。
「そこから家や服も満ちるな」
「確かに。腹が満ちれば」
石渡もその通りだと頷く。
「余裕が出来てきて」
「家に服となるな」
「そちらも満ちていきます」
「だからだ」
「まずは食うことですか」
「これまで以上にそれを進める、そうしてだ」
そこからというのだ。
「全てがはじまる」
「家に服に」
「産業にな、衣食住足りてだ」
その三つがというのだ。
「礼節を知るというが」
「あらゆる産業もですか」
「そこからだ、餓えて何が産業だ」
まさに何もはじまらないというのだ。
「だからだ」
「その様にして」
「まずは食える様にする」
「民の全てを」
「少なくとも真面目に働いているとな」
その場合はというのだ。
「常にだ」
「満腹になれる」
「そうした国にしてこそだ」
「産業も育ちますか」
「そうだ、だから水田もな」
これもというのだ、何といってもこの浮島の農業の基本である。不動の地位を占めていると言っていい。
「これもだ」
「さらにですね」
吹石も言ってきた。
「増やしていきますね」
「そうしてだ」
「米もですか」
「民は誰もがな」
「好きなだけ食える様にしますか」
「馬鈴薯や薩摩芋も作らせるが」
それでもといういのだ。
「主食はな」
「やはり米ですか」
「この浮島ではこのことは変わらない」
それ故にというのだ。
「米はな」
「増やしていきますね」
「そしてだ」
「たらふく食える様にする」
「そうしていく、いいな」
「それでは」
「あと米から酒を造るが」
今度はこちらの話をした。
「酒は米からだけでなくな」
「麦や薩摩芋、葡萄からもですね」
「造らせる」
その様にしていくというのだ。
「これまでよりも遥かに多くな」
「酒も売れるので」
「あれだけ売れるものはそうそうない」
「そして売れれば売れるだけですね」
「銭が動くからな」
だからだというのだ。
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