おっちょこちょいのかよちゃん
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60 再びのあの世へ
前書き
《前回》
森の石松の昔、石松らは遂に親分である清水次郎長と再会する。次郎長は戦争を正義とする世界の人間との戦いに備える為に増員された一人であった。そんな中、石松達はテレーズという女性と会い、彼女は平和の世界の人間となった一方、母親が戦争の世界の人間となった事を憂い、フローレンスとイマヌエルに泣きついていた。石松達はそのテレーズの母・アントワネットと遭遇してしまうが、次郎長によって追い返すのだった!!
かよ子達は石松の話を聞き続けていた。
「それで、あの世にはこの世で生きていた人間達が送り込まれていったのだ。そんな中、あの世界の者達はこの世界の過激派の組織と手を組んでこの世にも干渉するようになった」
「それってあの日本赤軍って集団?」
「いかにも。それに伴いこの世にも奴らは現れた。フローレンスとイマヌエルもこの世が脅かされる事を懸念し、この世の人々にも助けを求めているのである」
「それで俺達が選ばれたのか」
「ああ、だが、人選には条件がある。それぞれの人間に不思議な能力を持っている事である。一つは異様な、あるいは何らかの危害が起きそうな時に胸騒ぎがしたり、体調に異変をきたす見聞の能力。二つは相手敵意を感じた時に攻撃を行い、また、自身が襲われそうになった時、自然とその身を守る武装の能力、そして三つは相手に自身の存在で威圧を与える威圧の能力。この三つのいずれか一つ以上の能力を有す者を戦う為の主力者として選んでおる」
「それで俺達にはその能力があるって事か・・・」
「左様」
「だから、私は何かが近づくと胸騒ぎがするんだ・・・」
「じゃあ、私が前にオリガと戦った時、オリガの相手の体をバラバラにする能力が私に効かなかったのはその能力のものなの?」
かよ子はオリガとの戦いで自分がなぜ彼女の能力で殺されなかったのか気になった。
「いかにも。山田かよ子の持つ能力は防御に特化された武装の能力である」
「そうだったんだ・・・」
「それで、日本赤軍がそっちの世界と無理矢理行き来させた時、俺達の所にお前が降りてきたんだな」
杉山は確かめた。
「その通りである」
戦争を正義とする世界との戦いが続く中、石松はしばし休息中であった。その時、急に大地が揺れた。
「な、この世で地震か!?」
石松達は驚いて飛び上がった。そしてしばらくして止んだ。
「だが、ここは地球でも何でもない。おかしくないか?」
その時、フローレンスの呼び出しが出た。
『皆様、緊急事態の発生が起きました。これからお伝えしなければなりません事がございます。本部へお願い致します』
「どうやら本部へ向かう必要があるな」
皆は本部へ出動した。以前と同様、集会所はイマヌエルの能力によって拡張されて見えるようになっていた。皆がほぼ集まった所でフローレンスは演説を始める。
「皆様、再びお集まり頂きましてありがとうございます。先ほど私が言いました緊急事態といいますのは私達と対立しています戦争を正義とします世界が我々が嘗ていた世界の組織と接触し、同盟関係を結びましたという事です」
皆はざわついた。一人の者が質問をする。
「その世界の組織とはなんだ?」
「それは、日本人の組織です」
「なぬ!?」
石松も、大政も、小政も、その他同志、そして彼らの親分の次郎長も大きく動揺した。
「ですが、日本人の組織ながらも、日本は戦争放棄をしておりまして、その組織は今はパレスチナに活動拠点を置きましてテロ行為を行っています。彼らの目的は彼らの祖国・日本を再び戦争への道に向かわせます事です」
(そんな・・・。その日本赤軍とやら、我が国を破滅に導くつもりか!!)
石松はその組織への憤りが一気に胸にこみあがって来た。
「その世界の人間はその日本を戦場とし始めています。私達もこの世界にある武器を対抗者達に支給しなければその日本を崩壊します」
「それで日本の神社という所の日本の神と協力して向こうの世界と繋げる道を作ってもらい、幾人はそちらに常駐してそこの人間と共闘してもらう。我々も最大限の協力をする」
「向こうの世界と・・・」
石松は是非とも生前の世界へと戻ってみたいという気持ちがあった。だが、本来の目的は向こうの人間達にこの世界の戦いの道具を渡して協力・共闘してもらう事である。興味本位での訪問など許されざる事であろう。
(できれば某が行きたいのであるが・・・。そして今のあの駿河の地をもう一度見たく、守りたい・・・!!)
「石松」
石松は親分に呼ばれる。
「お主、行ってみてはどうか?」
「え、宜しいのですか!?」
「勿論だ。お主はあの世で生きていた時、騙し討ちに遭って駿河の地に戻れなかったからな。戻ってみてあの地にいるのを楽しみながらそこの人間と共闘してみるのは如何であろうか?」
「は、はい、某も同じ事を考えておりました!是非とも行かせて下さい!そして、必ずや駿河を、いえ、日本を守ってみせます!!」
次郎長の情で石松の望みは叶った。そして、次郎長と石松はフローレンスとイマヌエルに名乗り出た。
「フローレンス、イマヌエル。某もその世に行っておきたい。我が国を守りたいのだ。そして平和であり続けたい・・・」
「石松・・・」
次郎長も前に出る。
「拙者も石松は大変信頼している。石松は生きて駿河の地に戻る事はできなかったのだから、その心残りもある。どうか彼の願いだった駿河への帰還も兼ねて派遣できないだろうか」
「そうだね、任侠に溢れた石松ならきっと大丈夫だろうね。それにフローレンスによって刀も強化されているし、いってやってもいいだろう」
「そうですね。それでは貴方がいました駿河、今ではその地帯は静岡や清水と呼ばれています所へ派遣致しましょう」
「ありがとう」
「向こうにあります神社の主と相談をしてきます。答えが出ますまで少々お待ちください」
フローレンスは去った。
「大丈夫だ。フローレンスが戻ってきたらこっちから呼ぶよ。もう帰って大丈夫だ」
「ありがとう。恩に着る・・・!!」
石松は感動の涙を流した。
そして石松の所にフローレンスが現れた。
「石松、只今三保という神社にあります御穂津姫と相談しました所、許可が得ました。行きましょう」
「おお、ありがとう!」
「石松、行ってこい!」
「必ず生きて帰って来いよ!!」
「おう!」
親分や仲間と別れた石松はフローレンスと共に行く。着いた所はとある洞窟のような場所だった。ここは石松でさえ訪れた事がない。
「ここは・・・?」
「この洞窟はあまり知られていません秘密の場所です。この奥に生前の世界へと通じています道があります」
洞窟の奥地に着く。一見何もないが、フローレンスは指を出した。その場所に地図が浮かび上がる。そしてフローレンスは日本のある部分を拡大させた。
「御穂神社へ!」
そしてその地図から大きな黒い穴が広がった。
「あの穴に入りなさい。その先は御穂神社へと繋がっています。その神社に祀られています御穂津姫がお待ちしていますのでその方にお会いしてください」
「承った!!」
「ご検討をお祈りします」
石松は穴に飛び込む。そして長い空間をゆく。
その出口は神社だった。
「ここが駿河の御穂神社・・・」
石松は懐かしく感じた。
「森の石松ですね」
誰かが石松を呼ぶ。
「お主はもしや御穂津姫であるか?」
「はい、貴方の事はフローレンスから聞いています。フローレンスからこの四つの石を預かっております。この石を四人の人にお渡しください。渡す対象の人物は普通の人とは異なる能力を宿す者が条件です。何かの気配によって胸騒ぎを覚える見聞の能力、何らかの攻撃を与え、自身を防御する武装の能力、そして相手を怯えさせる威圧の能力を持つ方です。見分け方は既にフローレンスによって能力者が近づくとその者が光るようにされてあります」
「ああ、では行って参る」
石松は探しに行った。そして、高台にある基地を見つけ、その基地の設立者は自身の親分の名を組織名とした事に感銘を受けた。そしてその者達には偶然にも能力を持つ者だったのである。
後書き
次回は・・・
「石松の願い」
石松の昔話は終わり、かよ子達は自分達が宿している能力を改めて確認する。そして基地を後にして家に帰ると共に、かよ子はある事実を受け止める・・・。
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