ロックマンZXO~破壊神のロックマン~
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第七十五話 宴会
前書き
隠しエンディングはどうもDASHを意識してますね
ハンターキャンプに帰還したアッシュ達はアルバートを倒した祝勝会を開いて大騒ぎである。
「ほら、グレイ!早く食べないと無くなるわよ!」
「ま、待ってよアッシュ…!」
肉やら野菜を頬張っているグレイを急かすアッシュ。
喉に詰まらせないと良いのだが。
「はい」
「プレリー」
ヴァンが振り返ると、プレリーが皿に料理を盛って持ってきてくれた。
気のせいか肉が少し多い気がするが。
「ありがとな、プレリー。」
「ううん…本当にお疲れ様ヴァン…お帰りなさい」
皿を受け取るヴァンにプレリーは安堵の表情を浮かべながら隣に座った。
アッシュとグレイはご馳走に群がるハンター達を千切っては投げ、千切っては投げを繰り返して戦争を繰り広げている。
ハンターキャンプでの宴会と言うこともあってパーティーのように華やかさはないものの、ヴァンもプレリーもこの賑やかさは嫌いではなかった。
「ようやく終わったな。でも運命のゲームが終わったところでイレギュラーがいなくなるわけじゃないけどな」
「そうね…」
料理を肴にしながら酒をグラスに注いで飲み始める二人。
「プレリーはイレギュラーから人々を守りながら何がしたい?したいことがあるなら付き合うぞ」
「……私…お姉ちゃんを探したい」
「そうか…なら付き合ってやるさ。」
「いいの?」
「ああ、俺の我が儘を許してくれたんだからな。今度は俺がプレリーに付き合う番だ」
「ありがとう…」
穏やかな会話をする二人の周りには大量の空になった酒瓶が置かれていた。
ヴァンはライブメタルと一体化したロックマンだからか酔わず、プレリーは遥か昔のレプリロイドだからなのか全く酔わない。
二人に対抗して飲んでいたハンター達の屍が散乱していた。
「うわあ、あんた達ってお酒強いのねー。ハンターって景気付けに酒盛りすることが多いから大半のハンターは酒に強いはずなのに」
「「酔わないから」」
二人のコメントを聞きながらグレイはその辺の小枝を拾ってハンターの屍をつついていた。
「でもさ…」
「ねえ、ジルウェ…どうしてアタシに何もしてくれないの?アタシって女として魅力ない?」
「あ、いやエール…そんなことはないぞ」
酒を飲んで酔っ払ったエールは涙目でジルウェを上目遣いで見つめた。
そして酔っ払った周囲が口笛を吹いたりして囃し立てる。
そのままジルウェに絡むエールにヴァンとアッシュは何となくそれぞれのパートナー(意味合いは違うが)の目を塞いだ。
「あの、ヴァン…見えないんだけど…?」
「アッシュ、僕も何も見えないんだけど…?」
「お前は見なくていい。刺激が強すぎる」
「子供は見なくていいの」
プレリーとグレイの言葉に答えながらヴァンとアッシュはジルウェとエールの絡みを見せたりはしなかった。
「話、聞いちゃったけど、ヴァンはガーディアンのみんなと行くのよね?」
「ああ、そろそろエールが爆発するだろうし、プレリーの傍にいてやりたい」
「ちょっと、ヴァン…」
プレリーの頬が赤いのは何となくアッシュにも分かった。
「あー、熱い熱い。お幸せに…また会えるといいね。ううん、会おうと思えばいつでも会える。だってこれはアタシ達の物語なんだから」
「そうだな」
ジルウェに抱き付くエールを生暖かい目で見つめながらヴァンとアッシュはそれぞれのパートナーの手を引いて静かな場所へと移動するのであった。
ヴァンは少しの食べ物と飲み物を持っていき、プロメテとパンドラの簡易な墓標に供える。
「少ししかないけど我慢しろよ。」
それだけ言い残してヴァンはプレリーを連れて二人の墓標を後にした。
場所はレギオンズ本部のある一室へと移動し、ガーディアンのメンバー、ハンター達、アッシュ達とヴァン達視点のミッションレポートを読み終えたトーマスはそれを置いた。
「…天と地を定め、新たな命を生み出す神となる…か」
「最後のミッションレポートか、アルバートめ、随分と大それた事を言ったもんだ」
数百年もの長い付き合いであったアルバートの発した言葉はどこまでも現実主義のミハイルには呆れの感情しか浮かばなかった。
「ミハイル…君は我らが新たな命を生み出すなど烏滸がましいと思うかね?」
「馬鹿な事を…トーマス、お前さんでもそんな妄想を抱く事があるのかね」
トーマスの言葉に呆れたと言わんばかりに溜め息を吐くミハイルだが、トーマスは気にせずに言葉を続ける。
「…かつて、あの戦争が終わった時。赤き英雄と共に奔走した少女が提示した人間とレプリロイドを平等にするための法律があるだろう。覚えているか?あれが決まったのはアルバートと、この私が賛成したからだ」
「な…何が言いたい…?」
ミハイルはトーマスから放たれる狂気に気付いて、後ろに後退する。
その際、後ろの機材にぶつかり、秘密裏に作っている蒼い物体…ライブメタルらしき物が若干反応した。
「…人間に機械の体を与え、レプリロイドに寿命を設定する…では…機械と入れ替わったオリジナルの人間の肉体はどこにあると思う?寿命を設定する前のオリジナルのレプリロイドのデータはどこにあると思う?
突如、四人のロックマンが出現し、トーマスとミハイルの間に立つ。
「トーマス…貴様…!」
「アルバートは間違っていた。だから私もハンター達とガーディアン達に力を貸した。だが…奴の言葉にも一つだけ正しかった事がある。この世界は、リセットしなければならない」
「トーマス!気でも狂ったか!正気に戻らんか!あの戦争と時から理想郷の在り方を嘆きながら誰よりも人間とレプリロイドの共存を望んでいたお前さんが…!」
「私は正気だ。私は正直後悔している。私が望んでいた共存はこんな歪んだ姿ではない…だからリセットし、本来あるべき姿へと戻す…それとも、新たな命を作り上げ、一から世界の歴史を始めるのだ。ミハイル、これが私の数百年もの時をかけて導き出した答えだ。あの時のアルバートではないが、否定をするのなら、止めてみたまえ。そう、最後の三賢人としてな」
「モデルVは消滅した。どうやってあの四人のロックマンと戦うつもりじゃ…」
「モデルV…あれを全てアルバートが回収出来たと思っているのかね?」
懐から取り出したのはモデルVの欠片。
禍々しい輝きを放つそれはミハイルにおぞましきを感じさせる。
「何故、お前さんがモデルVを…!」
「神を自称しようとアルバートも人間だ。全てのモデルVを回収するなど不可能。私は秘密裏にモデルVを回収し、少し手を加えただけだ。いずれウロボロスの力も私の手中に収まるだろう。私は君が最後の三賢人としてどのような答えを出すか楽しみにしていよう」
トーマスと四人のロックマンが転送の光に包まれてこの場を去る。
「…………残ったのは儂だけというわけか…どいつもこいつも妄想に取り憑かれおって」
数百年の時を過ごした腐れ縁の二人は堕ちてしまった。
トーマスはアルバートの敗北を知っているためにアルバートのような下手は打たないだろう。
そしてトーマス自身、生粋の科学者であったアルバートとは違い、武芸の達人でもある。
いくらあの四人でも苦戦は免れないであろう。
「使うしかないか…偽りの英雄の力を……そして…」
ある部屋に向かうと、そこには大型のカプセルがあり、その中に一人の女性が眠っていた。
その女性はプレリーの部屋に飾られていた少女にそっくりであった。
「許してくれ…トーマスはきっと動き出す。このライブメタルの適合者を探す時間がないんじゃ…すまん、Dr.シエル」
ミハイルが謝罪するが、意識がないシエルからの返事はなかった。
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