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ヘタリア大帝国

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TURN45 サフラン=ヴェーダその六

 彼は一旦仮宮に戻った。するとだった。
 ビジーが来た。それでこうフランスに言ってきた。
「シャルロット様にはお話して頂けたでしょうか」
「ああ、降伏のことだよな」
「そのことについては」
「いいって言ってくれたよ。しかしな」
「しかしとは?」
「負けること前提の話だよな」
 フランスは暗い顔でぼやく様にしてビジーに言った。
「何なんだよ、負けること前提って」
「ですがそれでもです」
「戦力的にはどうしてもな」
「はい、我が軍ではどう考えても太平洋軍には勝てません」
 これが現実だった。ビジーは軍人であるが故に現実を見据えそのうえでこの結論を出したのである、敗れるという結論を。
「ですから」
「降伏するしかないか」
「無駄に損害を出すだけです」
「で、俺は今度こそ捕虜になるんだな」
「残念ですが」
「俺この戦争何なんだよ」
 フランスはこうもぼやいた。
「負けてばっかりだよな」
「申し訳ありません。我々が不甲斐ないばかりに」
「いや、負けてるのが俺だからな」
 だからだというのだ。
「マジノ線以降な」
「あの戦いですか」
「本当にしてやられたな」
 フランスは苦々しい顔でビジーに述べた。
「急にな。要塞が次々に爆発させられてな」
「あれは奇妙でしたね」
「本当に魔女だったのかね」
 フランスは非科学的と知りながらもあえて言った。
「あれは」
「わかりません。ドクツの新兵器だったのでしょうか」
「だとしたら何だ?しかも日本軍もな」
「ドクツからエルミー=デーニッツっていう提督が来ていたな」
「はい、技術畑出身の」
「何か俺との戦いで功績を挙げてな」
 そしてだとだ。フランスは首を捻りながら話す。
「勲章貰ったらしいがな」
「あの戦いに参戦していたのでしょうか」
「それで武勲を挙げてだよな」
「功績を認められたからこそでしょうが」
「どういう功績なんだ?」
 フランスは首を捻る。
「一体な」
「わかりませんね。そういえばエイリス軍も姿が見えない敵に攻撃を受けているらしいが」
「日本軍にも魔女がいるのかね」
「若しくはあのデーニッツという提督に何かがあるのでしょうか」
「あの娘な。写真を見たけれどな」
 エルミーも提督でありそれなりの地位だ。各国に顔を知られてはいるのだ。
「可愛いよな」
「祖国殿、またですか」
「またじゃねえよ。俺は奇麗なものは何でも認めるだろ」
「だからだというのですか」
「そうだよ。あの娘が可愛いのは事実だろ」
「確かに。写真を見る限りは」
「ドクツ人にしてはやけに小柄でな」
 それがエルミーのチャームポイントだった。
「切り揃えた髪に賢そうな目に童顔で」
「他には」
「眼鏡に。小柄な身体に相応しい幼いスタイルもいいよな」
「祖国殿はロリコンだったのですか?」
 ビジーは言いにくいことをあえて言った。
「先日摂政殿下にはスタイルがいいと仰っていましたが」
「だから俺は奇麗だったら何でもいいんだよ」
 ロリも成熟もだというのだ。
「そういう考えなんだよ」
「守備範囲は広いと」
「芸術だって料理だってそうだよ」
 そうした話にもなる。
 
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