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ヘタリア大帝国

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TURN45 サフラン=ヴェーダその一

                      TURN45  サフラン=ヴェーダ
 インドが解放、独立したと聞いてだ。シュウ皇帝は重慶の仮宮に置かれている玉座の上からこう中国に言った。
「よい話だな」
「エイリスが衰えるという点では」
「これ以上いいことはない。太平洋は欧州の連中のものではない」
 太平洋の人間らしい言葉だった。実に。
「ああして排除されることは何よりだ」
「これでエイリスは世界帝国でいられなくなったある」
 中国は鋭い顔になり皇帝にこうも話した。
「確かにいいことあるな」
「うむ。そしてだ」
 皇帝はまた言った。
「日本はインドからどう動く」
「アラビアを攻略しそれから」
「スエズか?」
「マダガスカルに行く様ある」
 そちらだというのだ。
「インド洋の完全掌握を考えている様ある」
「インド洋をか」
「そのうえで」
「ガメリカに決戦を挑むつもりだな」
「既にガメリカは準備を整えているある」
 中国はさらに言った。
「ハワイに大艦隊が集結しているある」
「度々日本に攻勢を仕掛けている様だが」
「それなりに効果はあげているあるが」
 だがそれでもだった。ガメリカの攻勢は。
「あまり激しくはないある」
「あくまで本番はか」
「日本がハワイに攻め込んで」
 それからだというのだ。
「返り討ちにしてからある」
「それから一気に日本本土を目指すのだな」
「それがガメリカの戦略ある」
「成程な。一旦撃退してから反撃に移るか」
 皇帝は中国の話を聞いて考える顔になって述べた。
「ガメリカも考えているな」
「ガメリカも絶対に勝つつもりある」
「そうだな。それではだ」
 ガメリカの戦略を中国の口から聞いたうえでだ。皇帝は中国にあらためて言った。
「祖国子よ」
「ガメリカが日本をハワイで撃退した時にあるな」
「その時に一気にこの重慶から南京に攻め込め」
「わかっているある。それでは」
「妹子と一緒にな」
 彼女のことを言うのも忘れない。
「攻め込みそしてだ」
「勝つある」
「全土を奪還せよ。満州までもな」
 満州は皇帝家の故郷だ。皇帝にしても絶対に奪還しなければならない場所だった。
「よいな」
「ではその様に」
「さて。もう少しの辛抱だな」
 皇帝の今度の口調は待ちくたびれた感じだった。
「この重慶から北京に戻れるな」
「本当にもう少しあるよ」
「待たせてもらおう」
 こうした話をしながらだった。中帝国も反撃の機会を伺っていた。中国は皇帝の前を退出してから妹のところに行った。妹は自分の部屋でお茶を飲んでいた。
「兄さんどうしたあるか?」
「日本がインドを解放したことは聞いているあるな」
「うん、知っているある」
 中国妹は中華風の紅い椅子に座って茶を飲みながら兄の言葉に答えた。
「いいことあるよ。これでエイリスは世界帝国ではなくなるある」
「それ自体はいいことあるが」
「インドが太平洋軍に入るあるな」
 ここで中国妹の顔が曇った。
「そのことはまずいあるな」
「インドの国力はエイリスを世界帝国にしていた程ある」
 中国もよくわかっていた。インドの底力は。
「そのインドが日本についたある」
「ガメリカや我が国にも対抗できるあるか」
「そうなるあるな。インドは桁外れある」
 中国から見てもだった。それは。
「万歳爺も口には出されないあるが」
「警戒しているあるな」
「勝てはしないまでも」
 中国はその可能性はないと見ていた。しかし今語るそn表情は微妙なものだ。
 
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