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ヘタリア大帝国

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TURN44 インド独立その十三

「気にすることはないたいよ」
「そうか。それじゃあな」
「後は」
 ここでさらに言うインドだった。
「捕虜がいるたいが」
「はい、エイリス軍と東インド会社軍の」
 日本がすぐに答える。
「その方々のことですね」
「エイリス軍の捕虜は後で交渉で返還するたいな」
「そのつもりです」
「じゃあ東インド会社軍の捕虜はどうするたい?」
「解放するつもりですが」
 日本は東郷と話して決めた決定について述べた。
「それでは駄目でしょうか」
「そうたいな」
 インドは日本の話を聞いて少し考える顔になった。それからこう日本、そして東郷に対して述べたのだた。
「僕に任せてくれるたいか?」
「インドさんにですか」
「捕虜の中にはサフランとアグニもいるたいな」
「よく御存知ですね」
 日本はインドが二人の名前を出してきたので少し驚いた。
「はい、東インド会社で麒麟児と言われていた子供達だそうで」
「あの子達は孤児だったところをクリオネさんに拾われたたい」
「クリオネさんというと確か」
「そうたい、東インド会社の社長たい」
「辣腕家だそうですね」
「かなり抜けていておかしなところがあるにしても経営手腕はあるたい」 
 インドも随分なことを言う。
「あれで子供思いで困っている人を放っておけないたい」
「よい方なのでしょうか」
「悪人ではないたいな」
 植民地経営に携わる人間でもだ。インドはクリオネのことは嫌いではなかった。
「貴族連中よりもずっとよかったたい」
「そういう方ですか」
「インドでもそんなに嫌われていないたいよ。むしろ結構皆からからかわれていたかい」
 そうもなっていたというのだ。
「そうした人たい」
「ううむ。その人が育ててくれていた子供達ですね」
「アグニはクリオネさんを慕っているから無理かも知れないたいが」
 インドは彼に関してはいささか諦めていた。
 だがもう一人の少女サフランについてはこう言うのだった。
「サフランはいけるかも知れないたい。それでたい」
「サフランさんとお話をですか」
「していいたいか」
「はい、お願いします」
 日本はすぐにインドに答えた。
「それではサフランさんのお部屋まで」
「案内してくれるたいな」
「是非共」
 こうしてインドが直接サフランと会って話をすることになった。その二人には東郷と秋山、それに山下が同行する。インドは山下も見て言う。
「陸軍の人たいな」
「はい、そうです」
 秋山は生真面目な声でインドに答える。
「日本帝国陸軍長官山下利古里です」
「山下さんたいな」
「そうです。宜しくお願いします」
「真面目な人たいな」
 インドはすぐに山下のその性格を見抜いた。そのうえでの言葉だ。
「日本さんとそこが似てるたいな」
「祖国殿のことは尊敬しています」
 やはり生真面目な口調で答える山下だった。
「武人として。心から奉職させて頂いています」
「ううむ。日本さんはいい軍人さんが多いたいな」
「多いとは」
「山下さんだけでなく」
 次に東郷も見てだ。インドは話した。
「東郷さんだったたいな」
「宜しく頼む」
 東郷はインドに対してもいつもの飄々とした感じだった。
「先程も名乗ったが」
「東郷毅さんたいな」
「ああ、日本帝国海軍長官東郷毅だ」
 東郷は自分でも名乗った。
「これから一緒に楽しくやろう」
「日本帝国海軍参謀総長秋山真一郎です」
 秋山も名乗る。
「宜しくお願いします」
「やはりいい軍人が多いたい。日本さんの宝たいな」
「はい、私もそう思います」
 日本もまた東郷達を見ていた。そのうえでの話だった。
「今我が国が戦えているのもこの方々がいてこそです」
「人材は国の宝たいな」
「まさに」
「だから。大事にするたいよ」
「ずっと。私達が共にいる限り」
 日本も自分を支える彼を見ながら述べた。
「頼りにさせてもらいたいです」
「祖国殿、お任せ下さい」 
 山下がその日本の横で微笑んで述べる。
「必ずや祖国殿に幸福をもたらしますので」
「じゃあ俺はその幸福を守ろうか」
 東郷はそうすると言う。
「祖国さんのな」
「この人達がいれば大丈夫たいな」
 インドは暖かい目になっていた。その上での言葉だった。
「日本さんは相手が誰でも戦えるたい」
「私の最高の宝です」
 日本も言う。今彼はその絆を心から感じていた。


TURN44   完


                             2012・8・8 
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