ロックマンZXO~破壊神のロックマン~
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第七十三話 ロックマン・ウロボロス
前書き
ラスボス形態ってガレオンそっくりだなと思ったけど、ガレオンはもしかしたらアルバートが作ったのかもしれない。
アッシュとグレイはメカニロイドの猛攻をかわしながら本体へと攻撃を仕掛けていた。
グレイがモデルHに変身して能力のエネミーアナライジングでメカニロイドの弱点を分析し、耐久力の高い大型メカニロイドの破壊に向いているモデルFにアッシュが変身して、グレイに担いでもらいながらナックルバスターのショットを弱点のコアに連射する。
「不完全とは言え、流石は究極の力だ。君達と戦うことで私の力の素晴らしさを客観的に見ることが出来る」
「黙りなさいよ!」
「どこまでも馬鹿にして…!」
余裕綽々のアルバートの声にアッシュとグレイは憤りながらも攻撃を繰り返していく。
メカニロイドの姿となったアルバートの力は確かに凄まじい。
強力なビームに火柱、ブラックホール発生からのホワイトホールからの光弾、そして頭部の射出など多彩な攻撃を繰り出してくるが、いくら強大な力を持っていても弱点のコアは全く動かないため、初見では何回か喰らってしまったが、グレイが回避に徹して、アッシュが攻撃に専念することでほとんど一方的な戦闘となっている。
しかし、アルバートが全く余裕を崩さないために二人に苛立ちが募っていく。
「アッシュ、グレイ君。私は究極とは…進化の果てにある物とはなんなのか…私はそれが知りたかった。三賢人として、そして何より一人の科学者としてだ。進化の果てにある物……それは 虚しさと哀れみだ。人々はまたいつか争いを始めるだろう、数百年前から悲惨な戦いの歴史が続いても決して人々は争いを止めなかったのだから」
「勝手に決めつけないでよ!確かにアタシ達は立場とか目的の違いもあって争ったりする!けど、全てが争いを望む訳じゃない!ヘリオス達もやり方はあれだけど、世界のために戦ってたわ!あんたは何なの?上から目線で人を見下してるだけじゃない!!」
アルバートの言い分にアッシュが言い返すが、永い時を生きて自分の考えを固めたアルバートには欠片も響かない。
「私は君達よりも沢山の人々を見てきた。三賢人として、そして偽りの理想郷に所属していた人間としてね。かつて私に人間の機械化案とレプリロイドの寿命の設定案を提案してきた女や偽りの理想郷に縋っていた者達のように、平和だと正義だと綺麗事を並べ、そんな自分に酔いしれ、足掻き続ける。この世界は、虚しく、哀れな未来しか生まない事を私は悟ってしまった…」
「だから…自分が支配者になろうっていうのか…!」
「支配者?それこそ虚しいじゃないか」
メカニロイドとの融合を解除し、人としての姿を再び見せたアルバートは空を見上げながら言葉を続けた。
「君達には分からないだろうが、私には聞こえる…モデルVの生け贄達の怒り、憎しみ、悲しみ…世界中で人々の魂を喰らい、覚醒したモデルVは世界の意思そのものなのだ。モデルVは破滅を望んでいる……世界は自らの物語の終わりを望んでいる…ならば…終わらせよう!モデルVの…究極のロックマンとして!進化の果てが滅びだと言うのなら、それが定められた運命なのだよ!」
「そんなのあんたの思い込みだわ!あんたはモデルVの力に振り回されているだけなのよ!」
アルバートの言葉にアッシュが言い返すが、それをアルバートは鼻で笑う。
「フッ…平和に溺れ、変わる事を拒み、世界に滅びを選ばせたのはお前達だろう。私はね…新たな世界を作ろうと思うんだ。天と地を定め、新たな命を生み出し、行く末を見守ろうと思っている」
「馬鹿にすんのも大概にして!神様にでもなったつもり!?」
アッシュの言葉にアルバートはアッシュを見つめると、ゆっくりと口を開いた。
「神になったつもりではない。私は…神だ!」
エネルギーを纏った腕を出すと、布を脱ぎ捨てて浮上する。
硝子が割れるような音がしたかと思えば、外の景色が視界に入り、九つのビットが出現してアルバートの周囲に展開されてアルバートの姿が変わっていく。
どうやらロックオンしたようだ。
見た目は良く見るメカニロイドのガレオンに似ているが、放たれるプレッシャーが別物だと思わせる。
いや、良く考えればガレオンはアルバートが設計したメカニロイドであるために、似ているのは当然かもしれない。
「…君達が住む、この世界その物が失敗作だ。新たな世界を創る前に、この世界をリセットしなければならない。モデルVがもたらした、この究極の力を使ってだ。これは神である私が決めた事だ。滅びの運命は変えられない!」
「…いいえ…運命は…変えられる!アタシ達の運命はアタシ達が決める!」
「例え、この世界を創ったのがお前だとしても…僕達の運命は僕達が創る!お前を倒して…僕は自分の運命を取り戻すんだ!」
アッシュとグレイはロックマン・モデルAの姿に戻り、レーザーショットとバスターショットを構えた。
「それだ…その姿だ!虚しく、哀れで…虫酸が走る…!だから私はロックマンを生み出した!進化するために!神になりそこねた者達よ。お前達はロックマンですらない…最早、ただの人だ!」
「いいわよ、アタシはあんたみたいに神様になりたいとは思わない!ただ、今までのように凄いお宝を求めて冒険する!それがアタシの求める未来なんだから!」
アッシュとグレイがアルバートに向かっていく。
そして場所はヴァンとエールの場所に戻り、ヘリオス達はヴァンとエールの連携によって追い詰められていた。
「砕けろ!」
「ぐあっ!」
アルティメットセイバーを構え、ダブルジャンプからのチャージセイバーで空中のヘリオスを叩き落とし、拳にエネルギーを極限まで収束させ、地面に叩き込むと、曼荼羅手裏剣を展開しながら闇に紛れていたシャルナクの手裏剣を破壊し、エールがZXバスターのチャージバスターを当てた。
「当たれっ!」
「ダメージ…危険域…!」
チャージバスターの直撃を受け、膝を着いたシャルナク。
最も厄介なヘリオスとシャルナクを無力化し、次はアトラスとテティスに向かう。
「くっ!出てこい!」
「燃え尽きろ!」
テティスが氷龍を召喚し、アトラスがメガトンクラッシュの火炎弾を発射するがかわされてしまい、エールはZXセイバーを構えてヴァンと共に高速で移動する。
「は、速…」
あまりの速さにテティスとアトラスは反応出来ずに高速で動き回るヴァンとエールによってすれ違い様の滅多斬りを受けて戦闘不能となる。
「馬鹿な…!破壊神だけでなく、こんな奴にまで…!」
ヴァン、アッシュ、グレイに続いてエールにまで敗北したことで強者としてのプライドが完全にへし折れたアトラスが崩れ落ちる。
しかもヴァンとエールにはまだまだ余力があるように見えるのが、アトラスやヘリオス達のプライドを傷付ける。
「エール、昔と比べて速くなったな」
「そういうヴァンこそパワーが上がってるんじゃない?さて、モデルH達を返してもらうわよ。」
二人が前に出るとアトラス達は少しずつ後退する。
返す気がないと見たエールはヴァンと目を合わせると同時に頷いた。
「大人しく返さないなら力ずくで…」
次の瞬間、ウロボロス全体を凄まじい衝撃が襲う。
「これは…アルバートか…?ウロボロスの力を使ってるのか…」
モデルVと同質の力を感じるが、そのプレッシャーはモデルVの比ではない。
どうやらアッシュとグレイがアルバートを追い詰めたようだ。
このままではアッシュとグレイが危ない。
「エール、アッシュとグレイを助けに行こう」
「ええ、アタシもそう思っていたところよ。」
「待て!」
アトラス達に背を向けて奥に向かおうとする二人に、アトラスが呼び止める。
「何?」
呼び止められたエールは鬱陶しそうに四人のロックマンを見つめる。
それはアトラス達のプライドをより傷付けるのだが、エールもヴァンも急いでいるので、気にしている暇はない。
「何故アタシ達にとどめを刺さない!お前達も奴らも!アタシ達など倒す価値もないと言いたいのか!?」
「…俺達はお前達のように無駄な犠牲なんか出したくないだけだ。」
「アタシ達はあなた達と違って守りたいものがあるから戦ってるの、次会ったらモデルH達は絶対に返してもらうからね!!」
話している時間も惜しいと感じたのか、ヴァンとエールはこの場を後にした。
そして残されたアトラス達は緊張が解けたことで膝を着いた。
「大いなる屈辱…この私があのような愚者共に情けをかけられるとは…!」
「何故だ…!何故勝てない…!何故アタシは奴らに勝てないんだ…!」
「理解不能…理解…不能…」
「でも…諦めないよ…僕達は…僕達は…!」
何故勝てないのか理解出来ないまま、四人は傷付いた体を引き摺りながらこの場を去ろうとするのであった。
そして場所は決戦の場所に戻り、アッシュとグレイはボロボロになりながらも必死にアルバートに攻撃を当てていた。
しかし、アルバートの身を守るバリアによってアッシュ達の攻撃は尽く無力化されており、とうとう追い詰められてしまう。
「そろそろ、苦しいのではないかな?楽にしてやろう」
「ふざけないでよね…!まだアタシ達は負けてない!」
「簡単に諦めるなら、ここまで辿り着けてない!」
「やれやれ、どこまでも哀れだ。勝てないと分かっている相手に挑もうとする愚かな心!それが君達が失敗と言われる理由だと言うのに!!救世の刃を受けろ!!」
ビットがモデルOと同じ紅いエネルギーを纏うと合体し、巨大なセイバーとなって振り下ろされた。
「させるか!」
飛び出したヴァンが横からチャージセイバーを叩き込んで僅かにずらし、更にエールがチャージバスターを撃ってセイバーを大きくずらした。
「間に合ったようね!」
「ヴァン!エール!」
「ヘリオス達はどうしたのよ!?」
「あいつらは後でゆっくり探す。さて、今はこの鬱陶しい自称、究極のロックマンを片付けるぞ」
「っ…ええ!ありがと…」
頼りになる先輩ロックマンの登場にアッシュとグレイは再びレーザーとバスターを構えた。
「例えモデルOとモデルZXが加わろうと、究極の力の前では勝てん!」
「来るぞ!」
ビットを使って二発のレーザーを発射するアルバート。
恐らくこれはモデルXの能力だろう。
「高貴なる嵐だ!」
ビットを操作して竜巻を発生させる。
これは間違いなくモデルHの力だ。
「こいつ、モデルX達の能力を使えるの!?」
「プロメテ達から様々なロックマンのデータを取り込んだからかもしれない!」
エールの疑問にグレイが答えると、次はモデルPの能力を使ってきた。
「暗黒の刃だ!」
十字手裏剣が迫るが、四人は何とかかわしていく。
「なるほど、モデルOを含めた全てのロックマンの力を使えるのか」
「その通りだ。君達に勝ち目などない。大人しく滅びを受け入れることだ」
「誰が受け入れるもんですか!」
「その通りだな、いくら強力でも弱点が存在しないはずがない。まずは俺達の所に降りてきてもらおうか!裂光覇!!」
地面を殴り付けると光の柱が立ち昇り、アルバートをビットごと飲み込んでいく。
そして全てのビットがダメージを受けたことでバリアが解除され、アルバートは地に落ちた。
「何!?」
「なるほど、ビットが全てダメージを受けるとバリアが晴れなくなるのね!バリアがないならこっちのものよ!」
エールがセイバーを構えて突撃し、連続で斬りつける。
「ぬう!?」
今までの余裕がなくなり、エールに続いてアッシュやグレイも攻撃を加える。
「よくも好き勝手やってくれたわね!」
「喰らえアルバート!!」
リフレクトレーザーとチャージバスターをまともに受けたアルバートは吹き飛ばされながらも体勢を立て直して浮上するが、ヴァンはダブルジャンプでアルバートの眼前に迫っていた。
「もう一度落ちろ!!」
「がっ!!」
地面に叩き落とされたアルバート。
そして落下の勢いを加算したチャージセイバーを叩き込んだ。
「一気に叩き伏せるわよ!!」
エールが駆け出し、アッシュとグレイもそれに続く。
「ぬう…神となった私が…」
「何が神だ…お前みたいな神がいてたまるか…よくも今まで好き勝手やってくれたな…覚悟しろ…!」
世界を、人々の命を玩具にしてきたアルバートに怒り、アッシュ達はアルバートに持ち直す暇も与えない程に猛攻を加えた。
アルバートも途中で何度か持ち直して反撃してくるのだがヴァンとエールがアッシュとグレイを助け、回避は容易だった。
攻撃直後に手痛い反撃を受けては地面に叩き落とされて熾烈な攻撃を立て続けに受けてしまう。
「確かに力は凄いけど、凄いのは力だけであなた自身は大したことないわね」
「今まで研究か三賢人のことばかりで体を動かす機会なんてなかったんだろ」
歴戦のロックマンであるヴァンとエールからすれば、アルバートの使うウロボロスの力は確かに凄まじいものがあるが、使い手が実戦経験がないために完全にウロボロスのスペック頼りになっているために、二人からすれば“強い力を持っているだけ”にしか見えない。
データでは戦い方を理解しているのだろうが、データと実際にやるのとではわけが違う。
こんなチグハグな状態で良く神を名乗れたものだと思わず失笑してしまう。
「己…!」
高く浮上し、四人の攻撃射程外から攻撃してくるアルバート。
姑息だが、勝ち目が薄いとアルバートは理解してしまい、屈辱の表情を浮かべている。
「モデルHに変身すれば行けるけど…あそこまで攻撃が激しいと辿り着けないかも…」
「何とかあいつの動きを止められれば…!」
「落ち着いて、焦ればあいつの思う壺よ」
「今はチャンスを待つんだ」
今は回避に徹して攻撃をかわし続けるアッシュ達にアルバートの苛立ちが募る。
究極の力を得て舞い上がっていたのに、いくら四人がかりとはいえ押されていることに苛立っている。
「どこまでも不愉快な奴らめ…そろそろ滅びるがいい!!」
「お前がなぁ!!」
「滅びるのはあなたよ…!」
「!?」
聞き覚えのある声に振り返ると、狂気の笑みを浮かべたプロメテの鎌と、パンドラの雷撃と氷撃がアルバートに直撃した。
「貴…様ら…!」
「ハッ…ようやく、お前の底抜けの間抜け面を拝めた…!」
「あなたは…許さない…」
「この出来損ない共め!!」
プロメテとパンドラにダブルチャージバスターを放ち、直撃させるアルバート。
「くっ…ははは…お前の天下も終わりだ…アルバート…あいつらから目を背けるんじゃなかったな…」
プロメテの言葉通りにそれは致命的な隙となり、四人の接近を許してしまう。
「「「「終わりだ(よ)!!」」」」
アッシュとグレイはモデルZXへと変身し、ヴァンとエールを含めてチャージセイバーをアルバートに叩き込んだ。
「馬鹿な…!」
四人分のチャージセイバーを同時に受けたアルバートは大破しながら地面に激突したのであった。
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