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レーヴァティン

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第百六十一話 新兵器その四

「苦手と言われてもな」
「ピンと来ないのね」
「どうもな」
「というか柳川鍋ならわかるとよ」
 それはとだ、香織は糸蒟蒻を食べつつ話した。
「食べるにしても」
「泥鰌地獄となるとだな」
「実際にあるとは」
 香織は英雄に応えた。
「泥鰌そのままだと泥臭い感じがするとよ」
「何日か泥抜きをするにしてもだな」
「生きたままだと」
 どうしてもというのだ。
「そう思うたい」
「そうだな」
「それが気になるとよ」
「俺もだ、だがそれでも泥鰌自体は食べるか」
「柳川鍋は好きだよ」 
 桜子はまた英雄に答えた。
「そっちはね」
「そうか」
「ただ泥鰌地獄はね」
「そちらはか」
「駄目なのよ」
「そういうことだな」
「そうよ、まああたしもあれは一度食べただけよ」
 その泥鰌地獄はというのだ。
「実はね」
「そうか」
「それで一度食べてね」
「これは駄目となったか」
「そうなのよ」
「何とも言えんな」
 耕平はここまで聞いてこう言った。
「正直な」
「お前も泥鰌地獄は食べたことがないか」
「というか見たことすらな」
 その時点でというのだ。
「ないわ」
「やはりそうか」
「というかほんまにあるんかってな」
 その泥鰌地獄がというのだ。
「思ってたわ」
「やはりそうか」
「見たことがないからな」
 話は聞いているがというのだ。
「それが」
「それならだな」
「もうな」
 それこそというのだ。
「こう言うしかないわ」
「本当にあの料理は関西では見ないな」
「泥鰌自体殆ど食わんしな」
「泥鰌を自称していた政治家がいたが」 
 総理大臣にもなったが評判は悪かった、そして今ではその存在は黒歴史どころか殆ど忘れられてしまっている。
「その話を聞いてあちらでは食べるか」
「そう思った位やな」
「そうだった」
 その程度だったというのだ。
「どうもな」
「そうだな」
「同じ日本でも浮島でも食文化があり」 
 それでとだ、謙二も言ってきた。
「地域によって食べるものが違いますので」
「それでだな」
「泥鰌についても」
「食べる地域があってな」
「食べない地域もあります」
「そういうことだな」
「そうかと。拙僧もです」
 霜降り肉を食べつつ話す。
「泥鰌は食べたことがなく」
「泥鰌地獄もか」
「見たことがありません」
「やはり関西ではないな」
「はい」
 そうだというのだ。 
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