レーヴァティン
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第百六十一話 新兵器その三
「他の料理もな」
「何でもだな」
「鰻もだ」
この魚の料理もというのだ。
「やはりな」
「こちらのものだな」
「味が違うからな」
「あちらは一旦蒸すな」
「それよりもな」
「こちらの焼き方だな」
「それがいい」
まさにというのだ。
「本当にな」
「そうだな」
「まあね、食べ方はね」
どうかとだ、桜子は料理の地域の違いについて述べた。
「それぞれだね」
「どうしても住んでいる地域のものに親しみがあるな」
「慣れているだけにね」
「そうだな」
「あたしも起きた世界じゃ今は神戸にいるけれど」
「元々はだな」
「関東にいたからね」
だからだというのだ。
「やっぱりね」
「そちらの味の方がいいな」
「あたしとしてはね、けれどね」
「それでもか」
「あたしはこっちの味も好きだよ」
豆腐を食べつつ笑顔で話した。
「というかどっちも味もね」
「好きか」
「同じだけね」
「そうか」
「美味しかったらね」
それでというのだ。
「あたしはいいんだよ」
「地域にこだわりはないか」
「今はね」
「味の幅が広いか」
「そうなるね、ただね」
「ただというと」
「苦手な食べものもあるよ」
それはあるというのだ。
「やっぱりね」
「それは誰にもあるな」
「豆腐は好きだけれど」
それでもというのだ。
「泥鰌地獄は駄目なのよ」
「あの泥鰌を生きたままだし汁の中で煮る料理だな」
「お豆腐を間に入れてね」
「あれは駄目か」
「土壌はまだ食べられても」
それでもというのだ。
「あのお料理はね」
「あの料理は本当にあったのか」
「あるわよ」
桜子は英雄に即座に答えた。
「というか関西では泥鰌自体あまり食べないわね」
「そうだな、俺も泥鰌はな」
「食べたことないの」
「横須賀に行った時に一度あるが」
「それ位なの」
「関西で泥鰌を出している店はこの世界でも見たことがない」
起きた世界でもというのだ。
「俺はな」
「そう、こっちでも関西じゃ泥鰌殆ど食べないわね」
実際にとだ、桜子は酒を飲みつつ話した。
「それで泥鰌地獄もね」
「むしろ実在の料理だとはな」
「思っていなかったの」
「あるとは聞いていたが」
それでもというのだ。
「見たことはなかったからな」
「それでなのね」
「だからだ」
それでというのだ。
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