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ヘタリア大帝国

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TURN41 雨と盾その三

「雨を止めてからだ。全てはな」
「では。私がやらせてもらいます」
「ああ、頼むな」
 東郷はこう言ってだ。そのうえでまずは小魚を出させた。小魚達を見てだ。ネルソンもイギリスも命を下すのだった。
「では対空用意」
「小魚が来るぞ、いいな」
「わかりました」
 フェムも二人に続く。そのうえで対空戦の用意をしようとした。だが。
 小魚の数は多かった。エイリス軍のガメリカ軍や日本軍のそれと比べてかなり落ちる対空能力ではそれに対することはできなかった。それでだった。
 まずはフェムの艦隊が集中攻撃を受ける。フェムは乗艦の艦橋において驚きの声をあげた。
「ふえ!?敵の数が多い」
「くそっ、奴等まずはフェム提督の艦隊に攻撃を仕掛けるのかよ」
 それを見てだ。イギリスが忌々しげな声を挙げた。
「狙ってやがるな」
「そうですね。この状況は」
「ネルソンさん、頼めるか」
 イギリスはすぐに彼に言った。
「ここはな」
「はい、私がフェムさんをフォローして」
「レディーファーストだ。いいか?」
「女性を護るのも騎士の務めです」
 生真面目だがユーモアも交えてだ。ネルソンはイギリスに騎士の礼をしてからそのうえで応えた。
「そうさせてもらいます」
「頼むな。それじゃあな」
「では」
 こうしてだった。ネルソンは。
 己の艦隊を動かしフェムのフォローに回ろうとする。だが、だった。
 彼の前には海亀を配している南雲艦隊が来た。それでそのフォローを阻む。ネルソンはその海亀を見て苦い目になった。
「くっ、これは」
「海亀は確かそうですね」
「バリアになっていますね」
「ですからビーム攻撃を加えても」
「それでもですね」
「そうだ。あまり効果がない」
 ネルソンは己の部下達に対して答えた。
「我々の攻撃を受けても」
「持ち堪えますね」
「一撃を受けても確実に」
「考えたものだ。しかも」
 ネルソンはさらに言う。
「フェム提督にはさらに」
「はい、攻めらています」
「そうなっています」
「まずい。雨で双方の攻撃力が半減している」
 このことがネックになっていた。何故なら。
「この艦隊の攻撃も半減している」
「それであのバリア艦隊を撃つと」
「ダメージを受けませんね」
「そしてフェム提督はその間に」
 ネルソンの艦隊の攻撃が南雲艦隊に防がれている間にだというのだ。
「倒されてしまう」
「我々の主な攻撃であるビームはバリアと雨に防がれ」
「それが終わった時にフェム提督の艦隊は壊滅させられる」
「それによって雨が止められ」
「後は」
「彼等のターンだ」
 まさにだ。その時がだというのだ。
「エイリス軍はミサイル、特に鉄鋼弾の装備は弱い」
「それに対して太平洋軍は鉄鋼弾については定評がありますね」
「それもかなり」
「まともな攻撃を受ければ艦隊が消し飛ぶ」
 それ程までだ。太平洋軍、その主軸である日本軍の鉄鋼弾攻撃は強力なのだ。
「酸素魚雷というらしいが」
「恐ろしい射程に威力ですね」
「あれは」
「まずい。敵に裏をかかれた」
 まさにだ。虚を衝かれていた。
「既に他の艦隊も攻撃を受けている」
「そうですね。この状況は」
「まずはやられてしまいました」
「ここは何としてもフェム提督を護らなければ」
 戦術からだけでなくだ。ネルソンは騎士道精神からもこの決断を下した。
 
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