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猫の母子

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第三章

「お前の家で飼ってもらうかも知れないぞ」
「じゃあ今から」
「聞いて来い」
 こう言ってだった。 
 大地は千鶴を行かせた、こうして千鶴は家に帰り。
 次の日大地に学校でこう言った。
「飼っていいって」
「おばさん言ったんだな」
「お父さんもお祖父ちゃんもお祖母ちゃんもお姉ちゃんもね」
「だったら大丈夫だな」
「ええ、それであの子どうだったの?」
 子猫のことが心配で尋ねた。
「それで」
「お医者さんが言うにはお腹空いてただけでな」
「大丈夫だったの」
「ミルク沢山飲んだら元気になったよ」
「それはよかったわね」
「ああ、だからな」 
 それでというのだ。
「安心してくれよ」
「それじゃあ」
「それで俺キャットフードとマタタビ持って来たから」
「それでお母さん猫捕まえるの」
「そうするからな」
 こう千鶴に話した。
「そっちはちゃんとするな」
「そうするのね」
「絶対にな」
「それで飼うのね」
「もうお母さんがキャットフードとか用意してくれたんだよ」
「早いわね、うちは今日からかしら」
「そっちも早くしておけよ」
 こう千鶴に話してだった。
 大地は放課後倉庫の方に行った、千鶴はその彼を見送ってだった。
 家に帰るともう母がキャットフードやトイレそれに首輪の用意をしていた、そうして自分に生き写しの娘に言った。
「もう全部用意したから」
「だからなの」
「何時来てもいいわよ」
 猫がというのだ。
「本当にね」
「お母さん随分乗り気ね」
「凄くね」
 娘ににこにことして言う、そして娘から子猫のことを聞くとだった。
 その足で病院に行って子猫を引き取った、子猫はその母が雄だったことからトムと名付けた。そうして。
 次の日学校で大地から千鶴に言った。
「捕まえたよ、母猫」
「そうしたの」
「それで家に連れて帰ったよ」
「それじゃあ」
「もう家にいるよ」
 その母猫がというのだ。
「それで早速家族と仲良くしているよ」
「それはよかったわね」
 千鶴は大地のその話を聞いて笑顔で応えた。
「捕まえられて」
「もうこれで保健所に行くこともないしな」
「よかったわね」
「ああ、ただな」
「ただ?」
「あの母猫他に子供三匹いたらしいんだよ」
 大地は千鶴にこのことを話した。
「猫を捕まえて家に帰る時に学校の用務員さんに会ってな」
「それでなの」
「三匹は教頭先生が引き取ってな」
 それでというのだ。
「育てているらしいな」
「教頭先生って」 
 千鶴は自分達の通っている学校の教頭先生を思い出した、もう髪の毛は見事なバーコード頭で眼鏡をかけている吊り目で出っ歯の背中が曲がった先生だ。いつも冗談を言っているがその冗談が全くおみ白くない。着ているスーツはよれよれで小柄で背中がやや曲がった随分と風采の冴えない人である。 
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