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ロックマンZXO~破壊神のロックマン~

作者:setuna
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第五十二話 墜落現場へ向かうために

 
前書き
漫画版では肉まん推しが凄い 

 
クロノフォスを一撃で倒してしまったヴァンにアッシュとグレイは唖然としてしまう。

「ば、化け物だ…」

自分達が苦戦したタイムボムをものともせずにクロノフォスを倒してしまったヴァンにモデルAは引き気味だ。

「何がだ。あいつは何をしようとしてたんだ?」

「あいつはさっき、敵の動きを遅くする能力を使ったのよ。アタシ達が苦戦したのはそれのせい。」

「ヴァンには効かなかったみたいだけど」

アッシュとグレイも驚きやら呆れやらが混じった複雑な表情を浮かべている。

「そうだったのか…そんなことよりアトラスとテティスに逃げられたか…くそ」

「もし、アタシ達がアトラス達を捕まえたら取り返してあげるわよ。ただし、その時はきっちり報酬は頂くけどね」

「それはガーディアンに請求してくれ。別行動中の俺に言われても困る」

「了解、モデルH達四個で四百万ゼニー…ウハウハよーっ!!」

「四百万ゼニー?」

「レギオンズじゃ、ライブメタルは一個百万ゼニーの賞金をかけてるんだって」

「ガーディアンって組織、アッシュから金を絞り取られるんじゃないか?」

目がゼニーになってはしゃいでいるアッシュを他所にヴァンとグレイとモデルAが会話する。

四百万ゼニーと聞いてガーディアンに支払える額なんだろうかと疑問に思ったヴァンだったが、取り敢えずこのままヘリオス達に奪われたままよりはマシだ。

「それじゃあ、俺は引き続きアトラス達を追う…じゃあな」

「うん、助けてくれてありがとうヴァン」

グレイは助けてくれた先輩ロックマンに礼を言うとヴァンも笑みを浮かべてこのエリアを今度こそ後にした。

「四百万ゼニーあったら、ご馳走に、バカンス…うふふふ…」

「グレイ…アッシュを引き摺って行こうぜ…」

「うん…」

強欲な仲間を引き摺ってグレイは何とかこのエリアを後にしたのであった。

しばらくして正気に帰ったアッシュはグレイと共に先を進んだが、荷物の整理をしていた時に食料が心許なくなってきたことに気付いて渋面を浮かべていたが…。

「仕方ない、墜落現場までまだまだかかるし、一旦ハンターキャンプに戻りましょう」

「え?ここまで来たのに?来た道を戻るくらいならこのまま…」

グレイの言葉にアッシュは笑みを浮かべて隣の装置を指差す。

「大丈夫よ、この装置はワープポイントと言って…これが置いてあるエリアにはトランスサーバーから何時でも行けるのよ。これはエネルギー切れで動かなくなってるみたいだけど、充分なEクリスタルを補充すれば再起動出来るの」

早速Eクリスタルを入れてワープポイントを起動させて極寒エリアに戻ってトランスサーバーに乗り込むとハンターキャンプに転送された。

ローズパークとクロノフォスも賞金首のイレギュラーだったようで、トランスサーバーから賞金が送られてきた。

「うーん、まあまあね…よし、買い物は明日にして今日は休みましょうか…さあて、何を食べようかしら?」

「アッシュ…あれ何?」

「あれ?」

グレイが指差した先には熱々の湯気を発している中華まんであった。

「ああ、あれは中華まんよ」

「中華まん?」

アッシュの答えに疑問符を浮かべるグレイにアッシュは簡単に説明する。

「熱々のふわふわの生地の中に肉やら甘い餡子が入った食べ物よ。因みにあれは肉まんと餡まんね……食べたい?」

「え?あ、いや…そういうわけじゃ…」

「良いの良いの、食べたいって顔に出てるわよ?食材買って作るのも良いけど、たまにはこういう簡単なご飯も良いってね。アタシは肉まんにー餡まんにーピザまんー…あ、カレーまんもある。全種類買おっと!!」

「アッシュー太るぞー?へぶうっ!?」

アッシュの鉄拳が炸裂し、何らかのスクラップ(恐らくメカニロイド)にめり込んだモデルA。

グレイはドン引き、周囲もドン引きである。 

そしてアッシュは紙袋を受け取ってグレイに全種類の中華まんを渡すと早速カレーまんにかぶりついた。

「んー、久しぶりに食べるけど美味しいわ。グレイも食べなさいよ」

「う、うん…」

スクラップにめり込んだモデルAの心配をしつつも肉まんにかぶりつくと目を見開いた。

「…美味しい!」

「でしょー?」

二人は中華まんを全て平らげると満足そうにお腹を擦った。

「御馳走様」

「やっぱり中華まんは美味しいわ。アタシはピザまんが好きだけどグレイは?」

「僕は肉まんかな?」

「男って肉まん好きよねー」

他愛もない話をしながらグレイはふと、あることを思い出した。

「肉まんも美味しいけど、僕はアッシュが作ってくれたスープが一番好きかな?」

「へ?あんな簡単なスープが?」

それはタワーを抜けて極寒のエリアに向かう前の野宿で作ったスープ。

それは安く買った野菜を使ったコンソメスープで、野菜くずで出汁を取ったそれこそ誰にでも作れるような簡単なスープ。

「うん、アッシュからすれば簡単なのかもしれないけど、僕は誰かが作った物を初めて食べたんだ。だから、あれが一番印象に残ってるんだ。また食べたいな」

「……あんなので良かったらいくらでも作ってあげるわよ。さあて、買い物して準備を終えたらぐっすり寝て明日は墜落現場に向かうわよ!だからあんたもゆっくり休んどきなさいよ」

「うん」

そして買い出しを終えた二人はハンターキャンプの部屋を借りて眠りにつくのであった。

墜落現場で違法ハンター達に大きな災難が降りかかることなど露知らずに。

そして一方、極寒エリアでテティスと別れたアトラスは傷ついた体をモデルFの回復機能で癒していた。

アトラスの表情は傷付いているにも関わらずに冷静であった。

約二年間もの特訓で得た力が通用しなかったことにはショックを受けたものの、再び叩きのめされたことで逆に冷静になれたのだ。

「やはりモデルF単体では奴には及ばんか」

アトラスの言葉は間違っていない。

モデルFの力を馬鹿にするわけではないが、破壊神と呼ばれる力は伊達ではなく、モデルF単体の力ではやはり遠く及ばない。

アトラスは知らないが、以前の所有者であったエールも全てのライブメタルの力と人々のエネルギーを使ったオーバードライブを発動したことでようやく勝てたのだ。

モデルFと心を通わせていないアトラスではエールのようにはなれないであろうし、そもそもあれは他のライブメタルと比べて高い拡張性を誇るモデルXの適合者であるエールだからこそ出来た芸当だ。

ライブメタルを道具として扱うアトラス達には不可能であり、アトラスは何とかモデルFの力を高める方法を模索するのであった。

一方のテティスはアトラスと別れた後に何とか極寒のエリアを抜け出し、何もない遺跡付近にまで来ていた。

「あ…これヤバいかも…」

意識が朦朧として倒れかけた時、自分を誰かが支えてくれた。

「完全なる誤算…ここにお前がいるとは…何があったと言うのだ?テティス」

「ヘリオス……」

ヘリオスからしてみれば本当に偶然だった。

シャルナクと別れて新たなモデルVを探していたのだが、てっきり海のあるエリアにいると思っていたテティスがこのような何もない遺跡にいたのは本当に意外だったようだ。

「はは…モデルOのロックマンを見つけてアトラスとリベンジしようと思ったんだけど…まだまだ敵わなかったようでさ…返り討ちにされちゃったんだ」

「…完全なる理解…そうか、お前も私と同様成長したようだが、奴には敵わなかったか…無事で何よりだ」

ヘリオスの表情はアッシュ達に向けていたものとは違い、穏やかでテティスの身を案じる物であった。

思想が正反対のアトラスや感情のブレがある者を見下す傾向があるヘリオスだが、テティスに対しては穏やかな表情と口調を見せる。

テティスは他のロックマンよりも感情のブレが少なく、そして彼の抱く理想にヘリオス自身も感じる物があったからだ。

母なる海を救いたいと言う理想。

初めて敵として相対した時に語ったテティスの純粋な願い、そして海を汚そうとする愚者を葬るためならば手を汚すことも辞さない覚悟にヘリオスは珍しく他者を認めた。

「ありがとう、でも僕は諦めるつもりは全然ないけどね。彼を倒して僕は王となり、自分勝手な人々から海を…この世界を救うために」

「…美しき覚悟…一つ提案がある。テティス…乗ってみる気はないか?」

「提案?」

ヘリオスの提案にテティスは首を傾げるものの頷いた。

少しでも強くなれるのならヘリオスの提案に乗ってみようと考えたのだ。

テティスの手を掴んでヘリオスは自身が保管してあるモデルVの在処に連れて行くのであった。 
 

 
後書き
一応原作よりは強い四天王ロックマン。

ヘリオスの策は二人のオプション攻撃に関係してます。 
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