英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~
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第84話
~黒の工房本拠地・Bルート~
「「――――――」」
「っと!」
「遅い!」
「無駄だ!」
「喰らうかよっ!」
人形達は最前列にいるクロウとサラ、ミュラー、アガットに攻撃を仕掛けたが4人はそれぞれ回避した
「水よ、貫け――――――アクアスパイラル!!」
「フッ、逃がさないよ――――――アースショット!!」
4人が攻撃を回避するとマキアスが敵の防御も貫く回転する水の弾丸を、オリヴァルト皇子は大地の力が込められている事で命中時に凄まじい衝撃を受ける魔導弾をそれぞれ放って敵達にダメージを与えると共に態勢を崩し
「崩したぞ!」
「逃がさん―――斬!!」
「今だ!」
「もらった――――ハァァァァァァァ……ッ!終わりだっ!!」
敵の態勢が崩れるとそれぞれと戦術リンクを結んでいるユーシスは極度に濃縮された魔力の剣で一刀両断するクラフト―――アークブレイドで、ミュラーは超高速な剣舞で敵を惑わし切り伏せるクラフト―――ブレードダンサーで追撃した。
「そこだっ!!」
「裁きを――――――喰らえっ!!」
「斬り刻め―――ヤァァァァァァッ!!」
「竜巻よ――――――薙ぎ払え!!」
追撃が終わると一気に畳みかけるかのようにアガットは火柱をともなう斬撃を放つクラフト―――ドラグナ―エッジ、クロウは狙いすました銃撃で敵を真っすぐ貫くクラフト―――ネメシスバレット、サラは旋風を巻き起こし、敵に斬撃を与えるクラフト―――紫電一閃、ガイウスは敵を乱気流で包み込むクラフト―――タービュランスで攻撃して更なるダメージを与え
「エニグマ駆動――――――ゴールドハイロゥ!!」
仲間達が攻撃している間に長めの駆動時間を終わらせたエリオットは上位属性である空属性かつ高位アーツに分類されているアーツを発動させて敵達に大ダメージを与えた。
「「――――――」」
「ハッ、わざわざ強化を待ってやるかよ――――――逝きやがれっ!!」
「「!?」」
エリオットのアーツにも耐えた敵達は戦況を立て直す為にそれぞれ自分達自身にエネルギーを溜めこもうとしたが、そこにヴァリアブルアクスを鎌に変形させたアッシュが斬撃を叩き込んで止めを刺した!
~Aルート~
「「――――――」」
「甘い!」
「っと!」
「おっと!」
「甘いよ!」
戦闘開始時敵達は体の一部からレーザー型の刃を発生させて叩き込むクラフト―――フラガラッハ・マグニトゥで最前列にいるラウラ、フィー、アンゼリカ、アネラスに先制攻撃をしたが4人はそれぞれ回避した。
「燃え尽きなさい――――――ファイアッ!!」
「貫いて――――――ショット!!」
「「!?」」
反撃にアリサは灼熱の矢で敵を貫くクラフト―――フランベルジュ、トワは氷の矢と化す特殊弾丸を放つクラフト―――クリスタルランスで攻撃して敵達にダメージを与えると共に態勢を崩し
「崩れたわ!」
「行くぞ――――――でやああっ!!」
「崩れたよ!」
「逃がさないよ――――――コォォォォォ………破ぁッ!!」
敵の態勢が崩れるとそれぞれとリンクを結んでいるラウラは跳躍して装甲をも?がす豪快な一撃を放つクラフト―――鉄砕刃、アンゼリカは渾身の力で放つ突きのクラフト―――ムーンライト・インパクトで追撃した。
「せーの……!ヤァァァァァァッ!!」
「秘技―――裏疾風!斬!!」
そこに一気に畳みかける為にフィーが斬撃、銃撃を組み合わせた限界突破の連続攻撃のクラフト―――リミットサイクロン、アネラスはカマイタチを纏った神速の連続攻撃のクラフト―――裏疾風で敵達に更なるダメージを与え
「エニグマ駆動――――――ガリオンタワー!!」
「雷の裁きを受けなさい――――――審判の轟雷!!」
「「!!??」」
仲間達が攻撃している間に火力が高い代わりに長めの駆動や詠唱時間を終わらせたエマとシェラザードがそれぞれ高火力のアーツと魔術を発動させて敵達に止めを刺した!
~Bルート~
「……黒の工房……」
「人形とはいえ、ちょっと許せないよね……」
ユーシスとエリオットは自分達が倒した人形達の残骸を見つめて黒の工房に対して怒りをさらけ出した。するとその時サラのENIGMAに通信の音が鳴り始め、それを聞いたサラが通信を開始するとレンの映像が映った。
「レンよ。今セキュリティーを突破して、ティオと手分けして黒の工房の情報収集並びに工房内の設備のシステムダウンを開始したわ。」
そしてレンの報告を聞いたその場にいる全員は血相を変えた。
~Aルート~
「予めアルフィン皇女殿下から提供してもらった遺伝子情報を元に工房内を検索した所、アルフィン皇女殿下の遺伝子情報と80%前後一致する生体反応がこの工房内に確認されました!」
「皇女殿下の遺伝子情報と80%前後も一致する生体反応って事は……!」
「間違いなく皇女殿下の双子の弟君であられる皇太子殿下の事だな……!」
「それで、皇太子殿下は今どちらに幽閉されているのですか!?」
同じ頃トワのENIGMAの映像に映るティオの報告を聞いたアリサは驚き、ラウラは明るい表情を浮かべ、トワは真剣な表情で訊ねた。
「今生体反応の位置情報と皆さんの位置情報を含めたこの工房の地図情報をそちらに送ります!」
そしてレンとティオの操作によってそれぞれのENGMAの映像が紅き翼と捜索中のセドリック皇太子の位置情報を含めた地図情報に切り替わった。
「これは……」
「この複数に集まっているのがわたし達の方だから、セドリック皇太子のは一つだけで移動している方だね。」
「という事は今、皇太子殿下は幽閉場所を自力で脱出、もしくは工房内の関係者達によってどこかに移送させられているのか……?」
「……どちらにしてもアタシ達の方に向かっている事が気になるわね。」
セドリック皇太子らしき生体反応の状況を見たエマとフィーは真剣な表情を浮かべ、アンゼリカはセドリック皇太子の状況を考え、セリーヌは目を細めた。
~Bルート~
「何にしても、セドリックがこちらに向かってくれているのならば好都合だ。」
「ああ……!このまま、北上するぞ!!」
オリヴァルト皇子の言葉にミュラーは頷いた後仲間達と共に先へと急ぎ始め、アリサ達も先へと急ぎ始めた。その後それぞれが先に進んでいると再びサラとトワ、それぞれのENIGMAから通信の音が鳴り始め、音に気づくとそれぞれのメンバーは立ち止まって通信を開始した。
「―――こちらレン。工房内の情報を検索した所、白兎のスペアボディが保管されている位置を把握したわ。」
「ほ、本当ですか!?」
「それでミリアムのスペアボディはどこに!?」
レンの口から語られた朗報にエリオットは明るい表情をし、ユーシスは真剣な表情で訊ねた。
「さっきレン達がいるルートの紅き翼の攻略メンバー――――――要するにオリビエお兄さん達がさっき駆け抜けたルートに白兎のスペアボディが保管されている場所がある事を確認したわ。」
「なっ!?それじゃあ僕達が通ったルートにミリアムのスペアボディがあったんですか!?」
「ったく、俺達だけでも見つけられた可能性もあったとかどんな皮肉だよ………まあいい、こっちは皇太子とそろそろ鉢合わせる事になるが、そっちの進展はどうなっている?」
レンの話を聞いた周囲の仲間達が血相を変えている中マキアスは驚きの声を上げ、クロウは苦笑した後すぐに表情を引き締めてレンに訊ねた。
「情報収集は8割がた完了したし、向こうも迎撃用の戦力を出し尽くしたのかしばらく待っても猟兵達の援軍が現れない上ハッキングで警備の人形兵器達を行動不能にさせたから、半数の戦力を工作班と共に爆弾の設置に向かわせてハッキングと並行して爆弾の設置も行わせているわ。もしこのまま敵の妨害がなければ予定では1時間後には全ての作業を終えてそちらとの合流をする為の進軍を開始できると思うわ。」
「ハッ、1時間なら皇太子を取り返したオレ達がメンフィルの連中との合流を目指した方が早いんじゃねぇのか?」
「ああ……そして合流した後は脱出するだけだな。」
「ちなみにその肝心の”脱出手段”であるカレイジャスとレヴォリューションはいつこの工房に突入できそうなのかしら?」
レンの報告を聞いて不敵な笑みを浮かべて答えたアッシュの言葉に頷いたガイウスは静かな笑みを浮かべ、サラは真剣な表情で訊ねた。
「既にレン達の位置も把握して両飛行艇共にここに向かって、到着は30分後の予定との事よ。後は異空間解析班の作業時間にもよるけど、さっきの大転位陣によるこの工房に関するデータもあるから、遅くとも到着して1時間後には工房に突入できる見立てよ。それと、両飛行艇が突入して滞空できるスペース――――――要するに”脱出地点”となる位置情報を今送るわ。」
サラの問いかけに答えたレンが端末を操作するとサラとトワのENIGMAにそれぞれ位置情報が送られた。
「この位置だともう一つのルートを使っているメンバーとちょうど合流する位置のようだな。」
「ええ……!それに皇太子殿下の移動スピードも考えると恐らくこの位置であたし達が皇太子殿下と鉢合わせる事になるでしょうから、鉢合わせた際に工房や結社の連中が現れても合流メンバーと共に対処できるわね……!」
位置情報を確認したアガットは真剣な表情で呟き、サラは口元に笑みを浮かべた。
「喜ぶのはちょっと早いわよ。さっきその周辺の監視カメラを確認した所、その位置の手前にある大きな部屋――――――要するにオリビエお兄さん達が今から突入しようとする部屋に黒の工房の関係者や結社の残党、それに”子供達”が待ち構えているわよ。」
しかしレンから語られた驚愕の報告を聞いたその場にいる全員は血相を変えた。
~Aルート~
「この先に黒の工房の関係者や結社の残党、それに”子供達”が待ち構えているのですか……」
「やれやれ、やはり簡単には皇太子殿下と合流させてはくれないみたいだね。」
「ま、ここまで連中と鉢合わせて時間や体力を消耗させられなかっただけでもマシだと思った方がいいと思うわよ。」
「それでこの先に誰が待ち構えているの?」
ティオの報告を聞いたエマは不安そうな表情をし、アンゼリカは溜息を吐き、セリーヌは静かな表情で呟き、フィーは真剣な表情で続きを促した。
「皆さんが今から入ろうとしている部屋には執行者No.Ⅸ――――――”告死戦域”と鉄道憲兵隊の”氷の乙女”が、オリヴァルト殿下達の方は帝国軍情報局の”かかし男”と黒の工房の”銅のゲオルグ”が確認されました。」
「!この先にシャロンが……!」
「それにクレア少佐もわたし達を待ち構えているのですか……」
ティオの説明を聞いたその場にいる全員が血相を変えている中アリサは真剣な表情で、トワは複雑そうな表情で先へと続く扉を見つめ
「ラインフォルトグループ会長の秘書も兼ねていた執行者とあの情報局の少佐と同じ”子供達”の一員ね。どちらも一筋縄ではいかない相手でしょうね。」
「ええ……部屋に突入する前に念入りに準備をした方がよさそうですね。」
シェラザードとアネラスはそれぞれ表情を引き締めて扉を見つめた。
~Cルート~
一方その頃、――――――は時折襲い掛かってくる人形兵器を斬殺し、更には先を阻む扉を破壊しながら先を進んでいくとシャーリィが待ち構えていた。
「アハハ、こうして話すのは”初めまして”になるかな~、皇太子さん。」
「……ゥルルル………」
呑気に話しかけたシャーリィに対して――――――は唸り声を上げてシャーリィを睨んでいた。
「そっちの騎神――――――確か名前は”テスタ=ロッサ”だっけ?シャーリィの得物と同じ名前だから、皇太子さんとは縁があると思ってたんだけど、これはこれで面白い展開だと思わない?」
「ァァァアアアアアアア――――――ッ!!」
好戦的な笑みを浮かべたシャーリィの問いかけに対して――――は咆哮を上げて全身に膨大な瘴気を纏ってシャーリィを睨み
「アハハ、そうそう!その調子で、もっと見せてよ、”呪い”によって得た”力”を!」
―――の様子を面白がったシャーリィは―――との戦闘を開始した!
~Bルート~
一方その頃準備を整えたオリヴァルト皇子達が部屋に突入すると青年の声が聞こえてきた。
「―――君達にはつくづく驚かされるよ。」
「てめえらは……」
「……一応オーロックス砦以来になるな、ジョルジュ。」
「”星杯”の時はロクに話せませんでしたね。」
「そちらがトールズを離れて以来か……はるか昔のような心地だが。」
「ああ、その眼差し―――そして尋常ならざる気配。」
「プリネ皇女殿下達に撃破された例のヤツ、修理して連れてるんでしょ?ジョルジュ。」
青年の声を聞いて仲間達と共に立ち止まって声の主である青年――――――ゲオルグとその隣にいるレクター少佐と対峙したアッシュは二人を睨み、クロウとエリオット、ユーシスとガイウス、そしてサラは真剣な表情でゲオルグに話しかけた。
「――――――」
するとゲオルグは自身の背後にナグルファルを召喚した。
「ゲオルグです――――――サラ教官。これは”ナグルファル”。地精としての僕の得物ですよ。」
サラの自分への呼び方を訂正の指摘をしたゲオルグは戦闘の構えをし、レクター少佐も得物を構えるとオリヴァルト皇子達もそれぞれ得物を構えた。
「……先輩。一つ聞かせてください。一体いつから貴方が”ゲオルグ”だったのか。」
「……っ……」
エリオットの指摘に対してゲオルグは息を飲んだ。
「貴方はクロウ先輩の死を心の底から哀しんでいた……そんな立場なら内戦の時に幾らでも介入できたでしょうに。」
「なのに全てにおいて後手に回り、クロウの葬儀で帳尻を合わせた……」
「そのあたりが境目と俺達は睨んでいるが、どうだ?」
「…………………」
マキアスとガイウス、ユーシスの指摘に対してゲオルグは反論せず黙り込んでいた。
「君達……そこまで見抜いていたのね。」
「へっ、中々やる連中を集めたもんだな。」
「ハハ、これも全て彼ら自身による成長さ。」
「ああ……特別実習と内戦を乗り越えた事によって得た経験の賜物だな。」
一方エリオット達の指摘を聞いたサラは感心し、アガットの誉め言葉にオリヴァルト皇子とミュラーはそれぞれ静かな笑みを浮かべて答えた。
「よくわからんが、それまでは別の記憶と人格だったって事かよ。」
「ああ、考えてみれば黒兎とミリアムも工房以前の記憶は消されていた。そんでもって俺の死後連中は俺を”ジークフリード”として書き換えたから、そういった技術も”黒の工房”にあるのなら……」
アッシュの疑問に答えたクロウは真剣な表情でゲオルグを見つめた。
「正解だ――――――クロウの死をトリガーに僕は”ゲオルグ”の記憶を取り戻した。そして偽りの”ジョルジュ”を演じながら君達に接していたのさ……!全ては”黄昏”を導くために地精としての使命を全うするために!」
「っ……!」
「色々言いたい事はありますけど今は問答の時間じゃない……!」
「そこを通してもらうぞ――――――ジョルジュ・ノーム!」
ゲオルグの説明と宣言を聞いたマキアスは唇を噛み締め、エリオットとユーシスはゲオルグを睨み
「ハッ、俺の事も忘れんじゃねぇぞ!クロスベルで左腕を失ったとはいえ、メンフィルの関係者の協力者がいないお前達は俺にとってちょうどいいハンデだ!」
「ぬかせ!その余裕ヅラ、クロスベルであのセリカとかいう野郎に蹂躙された時のように今度は俺達の手で歪めてやるよ!」
レクター少佐の宣言に対してアッシュは反論した後仲間達と共に戦闘を開始した!
~Aルート~
戦闘が始まる少し前、アリサ達も部屋に突入すると女性の声が聞こえてきた。
「まさか本当にここを探し当て、突入するなんて……さすがですね。」
女性の声を聞いたアリサ達は声の主――――――クレア少佐とクレア少佐の隣にいるクルーガーと対峙した。
「クレア少佐……!」
「シャロン……!」
トワとアリサはそれぞれを確認すると真剣な表情で声を上げた。
「幾らメンフィルの協力があったとはいえ、私達がクロスベルで邂逅して僅か数日で探し当てるとはお見事です、アリサ様と皆様方。ですがクロスベルの時と違い、魔弓将達―――メンフィルの関係者の姿が見当たらない所を見ると、どうやら”黒の工房の居場所を突き止めるという目的が一致していた為、メンフィルもアリサ様達に協力していましたが、協力関係は黒の工房を探し当てるまで”だったようですわね。そしてメンフィルも遠からず、――――――いえ、もしかしたら皆様の襲撃を利用してここを襲撃しているのかもしれませんわね。」
「……ッ!」
「……さすがに気づかれるか。」
「ま、今までメンフィルの連中と行動していたんだから、ちょっと考えればすぐにその推測を思いつくでしょうね。」
クルーガーはアリサ達を称賛した後推測を口にし、クルーガーの推測が当たっている事にエマは息を飲み、フィーとセリーヌは静かな表情で呟いた。
「クレア少佐……ミリアムちゃんが”ああなってしまった”今もなお、”そちら側”という事はやはり貴女もレクター少佐と”同じ”という訳ですか。」
「……はい。―――もはや皆さんと語る言葉はありません。この先に行きたければ、私達の屍を乗り越えてください。」
悲しそうな表情をしたトワの問いかけに対してクレア少佐は静かな表情で答えた。
「フッ、見ていられないな。氷のごとき美しく揺るぎない意志―――しかしその芯は”哀しさ”であるようだ。我慢できないよ、うつくしき人の隠されたその泣き顔がね。」
「……ッ!……私は………」
「フフッ、さすがアンゼリカ先輩ですね。」
静かな笑みを浮かべて指摘したアンゼリカの指摘に反論できないクレア少佐が辛そうな表情で唇を噛み締めている中その様子を見ていたラウラは感心していた。
「シャロン共々言いたい事はいくらでもありますけど……今はその時ではありません。」
「二人とも、そこを退いてもらうよ!」
そしてアリサとフィーの言葉を合図にアリサ達は二人との戦闘を開始した――――――
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