英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~
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第83話
同日、PM1:00――――――
ついに襲撃作戦の時が来ると、里の中央にある転位陣の前に待機していたローゼリアが転位陣を囲むように待機しているエマを含めた魔女の眷属に指示をした後杖を掲げて魔術を発動させると、周囲の者達も続くように魔術を発動させ、その様子を見ていたリィン達とクロウ達はそれぞれの騎神や機甲兵、神機に乗り込んで中央の転位陣を囲むような位置に移動して待機し、騎神達に乗っていない者達はローゼリア達の魔術によって完成した巨大な転位魔法陣に待機していた。
~エリンの里~
「――――――準備は完了じゃ。地精どもの領域にある転位門に”精霊の道”を接続する大転位術。里全体を使う転位陣、騎神と結ばれた機体、我ら魔女の力が合わされば可能じゃろう。恐ろしく繊細な制御が必要じゃが……守護騎士の助けも借りられそうだしの。」
「フフ、皆さんの行く道、必ず開いてみせますのでどうかご安心ください。」
「えとえと……わたしは皆さんが行ったら、黒の工房の本拠地に到着した皆さんの現在位置を超特急で検索していつでも迎えに行けるようにしておきますので、頑張ってください!」
離れた場所で転位陣を見守っているローゼリアに視線を向けられたトマスは静かな笑みを浮かべ、ティータは真剣な表情で答えた。
「ふふっ……本当に頼もしいというか。」
「ああ、つくづくいろんな人たちに助けてもらっているな。」
ティータを見つめて苦笑しているアリサの言葉にマキアスは静かな表情で頷いて答えた。
「転位の際の水先案内は私が務めます。」
「ま、レン達もサポートさせてもらうから安心していいわよ。」
「転位する人数は多いですが、その分はわたし達が補えるのでご安心ください。」
「こちらの世界の魔導の伝承者による大転位術……お手並み拝見させてもらいます。」
「フフ、それじゃあ始めましょうか。」
エマの宣言に続くようにエマをサポートするメンバー――――――レン、ティオ、リシテア、ドロテアはそれぞれエマのように魔術を発動させる状態へと構えた。
「お祖母ちゃん、皆さん!どうか始めてください!」
そしてエマはローゼリア達に術の開始を告げ
「うむ――――――まずは彼の地への小径を開くぞ!」
エマの言葉に頷いたローゼリアが杖を掲げるとローゼリアの足元に魔法陣が現れ、ローゼリアに続くように他の”魔女”達もそれぞれ詠唱を開始した。
~???~
一方その頃地下深くの異空間にある黒の工房の本拠地ではそれぞれ拘束されている紅の騎神(テスタ=ロッサ)と”根源たる虚無の剣”が光を放ち始めた!
「……まさかこの場所を突き止めるとはね。」
するとその時ゲオルグがその場に現れて真剣な表情で呟いた。
「……あれから1週間も経たない内に突き止めた事には驚嘆に値しますね。」
「タイミングを考えるとどうやらクロスベルとヘイムダルがここを突き止める為の最後の場所だったようだな。」
「あはは、いいねぇ……面白くなってきたよ!」
「”黒の工房”――――――やはり侵入者は初めてなのですか?」
そこにクルーガーとレクター少佐、シャーリィ、クレア少佐が現れてクルーガーは静かな表情で、レクター少佐は苦笑しながら呟き、シャーリィは不敵な笑みを浮かべ、クレア少佐はゲオルグに訊ねた。
「……そのための貴女達だ。役目を果たしてもらおう。3手に分かれて各研究所に向かってくれ。」
「……承知しましたわ。」
ゲオルグの指示にクルーガーは頷いた後レクター少佐達と共にその場から立ち去り
「”貴方も”彼らに分からせてあげて欲しい――――――”彼らは何もわかっていない事を。”」
「フ………私は”想定外なる者達”の相手をさせてもらおう。」
レクター少佐達が立ち去るとゲオルグは”仮面をつけたアルゼイド子爵”に視線を向けて声をかけ、声をかけられたアルゼイド子爵は静かな笑みを浮かべて答えた。
~???~
黒の工房の本拠地の更に奥深くの部屋にかつてのリィンのように”鬼化”した状態で名すら失った――――――が拘束されていたが、Ⅶ組の干渉によって変化が訪れた。
「………ァァ………アアアアアアアアァァ――――――ッ!!赦サナイ……ヨクモ………ミ……サ……ヲ……ボ……裏……」
凄まじい瘴気を纏って咆哮した――――――は何と力づくで自分を拘束していた鎖を引き千切った後部屋内に自分と同じように封印されていた騎士剣を力づくで取った。
「取リ戻シタ……モット……モット取リ戻サナイト……」
そして――――――は騎士剣を振るって自分の行く先を阻む扉を破壊した後部屋から出てどこかへと向かい始めた。
その後リィン達はローゼリア達の大転位術によってそれぞれ黒の工房の本拠地に到着した。
~黒の工房本拠地・Aルート~
「ここが……!」
「地精どもの本拠地――――――”黒の工房”か!」
転位魔術で現れたサラを除いたⅦ組の女子メンバーと共に現れたアリサとラウラは周囲を見回して表情を引き締め
「念の為にステラとエーデルガルトは灰獅子隊A班並びに工作班、ロイドは特務支援課の点呼を!」
「はい!」
「ええ!」
「ああ!」
アリサ達と同じ地点に転位したリィンはヴァリマールから降りた後ステラ達に指示をし、指示をされた4人は頷いた後点呼を開始した。
~Bルート~
「地下1000アージュにある隠されし領域――――――」
「転位用ゲートのハッキング……成功したみたいだね!」
「どうか無事でいてくれ、セドリック……!」
「破邪顕正………我らの前を阻む者達は全てヴァンダールの剣の前にまとめて砕け散るがいい!」
同じ頃サラとⅦ組の男子メンバーと共に現れたガイウスは真剣な表情で呟き、エリオットは転位の成功に明るい表情を浮かべ、オリヴァルト皇子は先を見つめて弟の無事を祈り、ミュラーは戦意を高める言葉を口にした。
「うふふ、転位成功ね。クロードとディミトリは灰獅子隊B班と工作班、デュバリィお姉さんとプリネお姉様はそれぞれの部隊の点呼をお願い。」
「「御意!」」
「「ええ!」
オリヴァルト皇子達と同じ地点に転位したレンは周囲を見回して不敵な笑みを浮かべた後クロード達に指示をし、指示をされた4人は頷いた後点呼を開始した。
~Aルート~
「点呼完了よ、リィン。」
「全員無事に転位完了です。」
「こちらも全員無事に転位が完了した事を確認した。」
それぞれ点呼を終えたステラ達はリィンに報告し
「わかった。――――――これより”黒の工房本拠地襲撃作戦”を開始する!まずは先へと進軍しつつ、端末を見つける事を最優先目標とする!」
「イエス・コマンダー!!」
「”特務支援課”、これより強制捜査を開始する。各自、全力を尽くしてくれ!」
「おおっ!!」
報告を聞いたリィンは号令をかけ、リィンの号令にステラ達は力強く答えるとロイドもエリィ達”特務支援課”の面々を見回して号令をかけ、ロイドの号令にエリィ達はそれぞれ力強く答え
「フフ、それじゃあ私達Ⅶ組女子班もアクセル全開で行くよ――――――!」
「”協力者”の二人も、どうかよろしくお願いします!」
「おおっ!!」
「ふふっ、リベールの遊撃士の力、とくと見せてあげるわ!」
「周囲を警戒しつつ、迅速に、そして確実に進むよ!」
リィンとロイドに続くようにアンゼリカもアリサ達に号令をかけ、トワの言葉にシェラザードは口元に笑みを浮かべ、アネラスは真剣な表情でそれぞれ答えた後リィン達と共に進軍を開始した。
~Bルート~
「――――――これより”黒の工房本拠地襲撃作戦”を開始する。総員、作戦開始!!」
「イエス・マム!!」
同じ頃クロード達による点呼で誰一人欠けてない事を確認したレンは号令をかけ
「私達も彼女達に続くよ!」
「はい!トールズ士官学院並びに協力者一同――――――」
「これより皇太子殿下達の解放と奪還を開始する――――――!」
「おおっ!!」
「へっ、相手が誰だろうとこの”重剣”を叩き込んでやる!」
それを見たオリヴァルト皇子の言葉に頷いたマキアスとユーシスは号令をかけ、アガットは戦意を高めた後レン達と共に進軍を開始した。
~Aルート~
「っ!?何これ……!?」
「何かの培養槽のようですが……」
「っ!も、もしかして……」
リィン達と共に先を進んでいたユウナは周囲に配置されている培養槽を見つけると驚き、セレーネは不安そうな表情で呟き、ある事に気づいたエリスは不安そうな表情でアルティナに視線を向け
「……思い出して……きました。Ozシリーズ――――――人造人間の研究エリアみたいです。」
「培養槽……稼働はしてないみたいだけど。」
「恐らく”目的”が達成されたためでしょうね。」
視線を向けられたアルティナは静かな表情で呟き、培養槽が稼働していない事を不思議に思っているフィーの疑問にティオが推測で答えた.
「はい……わたしとミリアムさんが”完成”したからかと。」
「きっとここでも消えてしまった”幻の至宝”を造ろうとしていた”D∴G教団”や”クロイス家”のように様々な”実験”をされていたのでしょうね……」
「当然その”実験”の中には”人体実験”も含まれているのでしょうね……」
「外道共が……」
ティオの推測を肯定したアルティナの答えを聞いたエリィとノエルは複雑そうな表情で呟き、ランディは静かな怒りを纏って目を細めた。
「えっと……もしかしたらこの辺に”端末”があるんじゃないのかな?」
「確かにその可能性は高いでしょうね。」
「ああ、”実験”のデータを収集する為もそうだが培養槽を操作する為にも必要だろうしな。」
一方未来のキーアは周囲を見回してある推測をし、その推測を聞いたミュゼとフォルデは真剣な表情で頷いた。
「…………――――――!あれはどうでしょう?」
その時周囲を見回してそれぞれの培養槽の前にある端末よりも一際大きい端末を見つけたクルトは視線を向けてリィン達に訊ね
「稼働はしていないようですが、持ってきたこの端末でハッキングをすれば起動させることができると思います……!」
「よし、それじゃああの端末に――――――来るぞ、構えろ!!
クルトの疑問にティオが答えるとリィンは指示を出そうとしたが敵の気配に気づくと仲間達に警告した。するとアルティナの”ギアモード”状態になった子供達のような存在が突如リィン達の目の前に現れた!
「侵入者を発見しました――――――」
「これより迎撃を開始します――――――」
「ええっ!?ひ、人――――――それも、”子供”……!?」
「いえ――――――彼女達からは命の息吹が感じられません!」
「しかもあの姿って確か、あたし達がアルティナちゃんの為に開発した……!」
「戦術殻との融合――――――”ギアモード”ですか……!」
突如現れた敵達にリィン達が驚いている中アルフィンは困惑の表情で声を上げ、目の前の敵が”人”でない事を瞬時に悟ったセティは目の前の敵が”人”でない事を伝え、シャマーラとエリナは驚きの表情で敵達を見つめた。
「ハァァァァァァァ……ッ!奥義――――――洸凰剣!!」
するとその時エーデルガルトが縦横無尽に敵達の周囲をかけながら大剣を叩き込んだ後止めに光の翼と化した大剣を敵達に叩き込んだ。すると敵達はそれぞれ爆発して破壊され、その残骸が地面に落ちた!
「あ、あの奥義はレグラムで子爵閣下がリィンさんとの手合わせで見せた……」
「アルゼイド流を”皆伝”した証である奥義――――――洸凰剣……!」
「やれやれ……セティ君の助言があったとはいえ、幼い子供を姿をした相手に対して何の躊躇いもなく瞬時に先制攻撃に移る事ができるとは、さすがは敵には一切の容赦をしないメンフィル軍と言った所か……」
エーデルガルトが放った奥義に見覚えがあるエマとラウラは驚き、アンゼリカは疲れた表情で溜息を吐き
「………………」
「アルティナさん……」
「こんなものまで造るなんて……」
「趣味悪すぎでしょ、いくら何でも……」
悲しそうな表情でエーデルガルトが倒した敵の残骸を見つめているアルティナの様子をセレーネは心配そうな表情で見つめ、ミュゼは真剣な表情で呟き、ユウナは厳しい表情で呟いた。するとその時複数の足音が聞こえ、それを聞いたリィン達が身構えると”ニーズヘッグ”の猟兵達や軍用犬達が現れた。
「侵入者を発見!」
「き、貴様らは内戦で何度も我らの邪魔をしたガキ共……!」
「防衛の為に配備していた猟兵達もこちらに気づきましたか。」
「”ニーズヘッグ”……!」
「連合の想定通り、彼らも黒の工房によって雇われてここの防衛を担当していたようですね……」
猟兵達――――――ニーズヘッグの登場にエリゼは真剣な表情で呟き、フィーとエマは表情を引き締めた。
「――――――灰獅子隊A班、これより敵戦力の迎撃を開始する!工作部隊は後方からのアーツや銃等の遠距離による支援を!絶対に孤立して戦わず、必ず誰かと組んで戦うように心がけろ!来い――――――メサイア、ユリーシャ!!」
「イエス・コマンダー!!」
リィンは太刀を猟兵達に向けて号令をかけた後メサイアとユリーシャを召喚し
「メサイアは俺と共に遊撃を担当、ユリーシャは戦況を見て臨機応変に俺達の支援や敵への攻撃を!」
「わかりましたわ!」
「お任せを!」
呼び出された二人はリィンの指示に頷いた後、ユリーシャは魔術の詠唱を開始し、メサイアはリィンと共に戦闘を開始した。
「ここは俺達が抑えているから、作戦通りロイド達は端末のハッキングとその周囲の防御を固めてくれ!アリサ達はタイミングを見計らって、先に進んでくれ!」
「わかった!みんな、行くぞっ!!」
「おおっ!!」
リィンの指示に頷いたロイドは仲間達に号令をかけた後仲間達と共に端末へと向かい始め、リィン達は猟兵達との戦闘を開始した。
「タイミングを見計らって先に進めって言われても、あの状況でそんな簡単にできる訳ないでしょうが。」
「銃弾や技、それに魔法が飛び交うあの中を駆け抜けろなんて、難しい要求をしてくれたものだねぇ。」
「……でも、先を急ぐわたし達はこんな所で時間を取られたり体力とかも消耗する訳にはいかないから、ここはリィン達に任せて先に急ぐしかない。」
一方リィンの指示にセリーヌはジト目になって文句を口にし、アンゼリカは疲れた表情で呟き、フィーは静かな表情で呟いた。
「タイミングについてはあたし達が状況を見て判断して合図をして、駆け抜けるルートはあたし達が先導するわ。」
「あの場を駆け抜ける為の”隙”は必ずできるはずだから、みんなはいつでも走れるようにしておいて。」
「わかりました。お願いします……!」
シェラザードとアネラスの言葉にトワは頷いた。リィン達が戦っている中、ロイド達は端末に到着した。
「よし……敵の妨害もなく到着できたな。早速初めてくれ、ティオ!」
「はい!」
端末に到着したロイドは安堵の溜息を吐いた後ティオに声をかけ、声をかけられたティオは頷いた後持ってきた端末を取り出した後ケーブルを使って端末同士を繋げると端末の操作を開始した。するとティオのENIGMAが鳴り始め、音に気づいたティオがENIGMAを端末の傍に置いて通信を開始するとレンの映像が映った。
「レンさん、こちらは今端末を見つけてハッキングを開始した所ですが、そちらはどうですか?」
「こちらもちょうど端末を見つけてハッキングを開始したわ。――――――ついでに敵にも見つかって、迎撃中だけどね。」
~Bルート~
「キャハッ♪うーで、あーし、むーね……全部潰してあげる♪」
「フッ、美しき我が弓技、その身に味わう事を光栄に思うがいい!!」
「グギャアアアアアアッ!?」
「お、俺の腕が――――――ッ!?ガフッ!?」
「ギャンッ!?」
一方その頃、レンが端末を操作している中それぞれ遠距離武装である弓を得物としている仲間達――――――エヴリーヌ、プリネに召喚されたアムドシアス、クロード、エンネアは端末を操作しているレンの護衛兼後方からの支援攻撃を担当しており、エヴリーヌは次々と矢を放って猟兵達の身体の様々な部分を凄まじい速さで襲い掛かる矢でもぎ取って無惨な状態にした後絶命させ、アムドシアスは無数の矢を雨の降り注がせ、それらに命中した猟兵達や軍用犬は刺さった無数の矢が針鼠のような状態で絶命し
「さすが”魔神”だけあって、どっちもまさに”化物”じみた強さだねぇ。――――――お疲れさんっと!」
「フフ、貴方も灰色の騎士と共にいるあの銃使いの女騎士にも劣らない狙撃能力を持っているわね―――っと!」
「ガッ!?」
「グガッ!?」
「グアッ!?」
「ガフッ!?」
エヴリーヌとアムドシアスの凄まじい弓技に苦笑したクロードは確実に敵の喉元や眉間を狙って敵を即死させ、クロードの狙撃能力に感心したエンネアもクロードのように敵の急所を狙って次々と敵を瞬殺していた。
「く……っ!弓――――――それも旧式の弓なんて骨董品が銃よりも優れているとか一体どうなってんだよ!?」
「内戦からの失態続きで下がり続けている”ニーズヘッグ”の評判をこれ以上落としてたまるかっ!」
一方エヴリーヌ達に圧倒されている猟兵達は唇を噛み締めた後銃を連射して最前線にいるメンフィル軍を攻撃したが
「――――――盾よ!!」
「―――顕現せよ、全てを守る盾!!」
アイネスがクラフト―――秩序の盾、ドゥドゥーが闘気によって絶対防壁を発生させるクラフト―――主君の盾をそれぞれ発動して襲い掛かる怒涛の銃弾を無効化するとともに仲間達を守り
「情熱のダンスを見せてあげる――――――灼熱の大熱風!!」
「輝け、翼輝陣――――――ケルト=ルーン!!」
「風の精霊達よ、精霊女王たる私に刃を向ける愚か者達に裁いてあげなさい――――――双竜の大竜巻!!」
「うわあああああああッ!?」
「ガアアアアアアアッ!?」
二人が攻撃を防いでいる間にそれぞれ魔術の詠唱を終えたドロテア、プリネ、プリネに召喚されたフィニリィはそれぞれ魔術を発動して隊列を整えて銃撃や追撃の準備をしている敵陣を乱した。
「十六夜――――――”突”!!」
「疾風突!!」
「行きますわよ――――――ハアッ!!」
「参ります――――――ハァァァァァァァ……ッ!止めっ!」
「ぐふっ!?」
「が……っ!?」
「ぁ――――――」
「グアアアアアアッ!?」
敵陣が乱れるとツーヤ、レーヴェ、デュバリィ、オリエはそれぞれ高速で放つクラフトで乱れた敵陣に死者を出す事で敵陣の傷口を広げ
「超!ねこパ~ンチ!!」
「邪魔だ―――豪・薙ぎ払い!!」
「光よ、我が槍に力を――――――光槍!!」
「フッ、熱き貴族の想い、見せてあげよう――――――葬炎雅!!」
「ならば僕は、どんな時だろうと動じない貴族の冷静なる心を教えてあげよう――――――落星凍雅!!」
「え――――――あぐっ!?」
「があっ!?」
「ギャンッ!?」
「グア……ッ!?な、なんなんだこいつらは……」
「ガッ!?人を殺す……覚悟もない……ガキ共が……どうしてこんな奴等と協力……を……」
そこにプリネに召喚されたペルル、ディミトリ、イングリット、フェルディナント、ローレンツが追撃して敵達の死者を更に増やした。
「こ、これがかつてリィンが所属していたメンフィル軍の訓練兵達の中でもエリート揃いのクラス――――――黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)の実力……!」
「りょ、猟兵相手に無双するとか、みんな強すぎるよ……」
「ハッ、猟兵の方が弱過ぎるだけなんじゃねぇのか?」
「フン……大口を叩くだけの実力はあるという事か。」
「彼らであれ程なのだから、彼らの”級長”であった頃の”剣鬼”と呼ばれていた当時のリィンは一体どれ程の強さだったのだ……?」
「少なくても、その頃のリィンだったら俺を含めた帝国解放戦線の幹部クラス相手にも無双できたんじゃねぇのか?」
一方灰獅子隊の戦いを見ていたマキアスとエリオットは驚き、アッシュは呆れた表情で圧倒されている猟兵達を見つめ、ユーシスは真剣な表情で灰獅子隊を見つめ、ガイウスの疑問にクロウは疲れた表情で答え
「ハハ……他人に対する評価が厳しいあのレン君も”エリート揃い”という褒め言葉を使うだけあって、凄まじい使い手ばかりだね、リィン君の訓練兵時代のクラスメイト達は。」
「あの若さであれ程の使い手になるとは、担当教官であったセシリア将軍のお陰か彼ら自身の実力なのかはわからないが、今回の戦争を終えたら帝国正規軍も彼らを見習って鍛えなおした方がいいかもしれんな。」
オリヴァルト皇子は疲れた表情で呟き、ミュラーは重々しい様子を纏って呟いた。するとその時新手である大型の魔導人形と戦術殻が数体ずつ現れ、それを見たメンフィル軍は瞬時に数人のグループに分かれて戦闘を開始し
「――――――今だ!」
「また戦闘が激しくなる前に一気に駆け抜けるわよ!」
「おおっ!!」
その様子を見て好機を判断したアガットとサラは号令をかけ、二人を先頭にオリヴァルト皇子達はその場を駆け抜けて先へと急いだ。
~Aルート~
一方その頃、リィン達も戦闘を一段落終えようとしていた。
「―――緋空斬!!」
「ぁ――――――」
リィンが放った炎の斬撃波によって猟兵の首は刈り取られ
「この……っ!」
「これでも喰らえっ!!」
それを見た他の猟兵はリィンに銃を向けて銃弾を連射し、更にその傍にいた猟兵はリィンに閃光手榴弾を投げてリィンの目を眩ませようとしたが
「遅い――二の型―――疾風!!」
「ぐあああああ……っ!?」
「ぎゃああああ……っ!?」
リィンはカマイタチを纏う電光石火の早さで強襲するクラフトで回避すると同時に反撃を叩き込み、リィンの反撃によって急所を斬られた猟兵達は断末魔を上げて絶命した。そこに小型の人形兵器がリィンに近づいて攻撃しようとしたが
「四の型―――紅葉斬り!!」
「「!?」」
リィンは抜刀による攻撃と共に駆け抜けるクラフトで敵に攻撃させることなく敵を切り刻んで撃破した
「―――斬!!」
更に続けてクラフト―――孤月一閃を放って自分の周囲にいた敵達を纏めて斬り伏せた。
「まさかあれが”剣鬼”と呼ばれていた頃のリィンの”実力”なのか……?」
「トールズ時代の実力と比べても、明らかに今のリィン君の実力の方が上だねぇ。」
「おまけに”鬼の力”―――いえ、”慈悲の女神の力”も解放せずにあの実力でしょう?確かにヴィータですらも、”執行者レベル”かそれに近いレベルって言える程の連中を纏めていただけあって、相当な実力ね。」
「ん……正直今のリィンは”本気”を出したサラやクロウよりも確実に”上”だと思う。」
「リィン……」
「……………」
「アリサちゃん……エマちゃん……」
リィンの圧倒的な実力を目にしたラウラは呆然とし、アンゼリカは疲れた表情で呟き、目を細めたセリーヌの言葉に頷いたフィーは真剣な表情でリィンの実力を想定し、アリサとエマは複雑そうな表情でリィンを見つめ、二人の様子に気づいたトワは心配そうな表情で二人を見つめた。
「闇に呑まれなさい――――――ティルワンの闇界!!」
「エニグマ駆動――――――フレアバタフライ!!」
「裁きの嵐よ――――――サンダーシクリオン!!」
「七色の光の矢よ――――――プリズミックミサイル!!」
「ギャアアアアアアッ!?」
そしてリシテア、アルフィン、ユリーシャ、セレーネの4人が放った広範囲かつ高火力の魔術やアーツをその身に受けて絶命した猟兵達は次々と地面に倒れた。
「何とか一段落ついたわね。」
「ええ、ですが”第二波”もそれ程時間を置かずに来るかと。」
敵の全滅を見たエリスは一息つき、ミュゼは真剣な表情ですぐに敵の援軍が来ることを推測した。すると機械の足音が聞こえた後新手である大型の魔導人形と戦術殻が現れた。
「新手か……!」
「大型の魔導人形に戦術殻……!猟兵達と比べると攻撃、防御共に優れていますから気を付けてください……!」
敵の援軍を見たクルトは表情を引き締め、アルティナは仲間達に警告し
「これより4人4組のチームに分かれて敵の援軍を撃破する!Aチームはセレーネ、ミュゼ、エーデルガルト、リシテア!Bチームはクルト、アルフィン、ステラ、エリゼ!Cチームはフォルデ先輩、エリス、アルティナ、メサイア!――――――二人も手伝ってくれ、ベルフェゴール、アイドス!!そしてDチームは俺とベルフェゴール、アイドス、ユリーシャだ!工作部隊は各自の判断で臨機応変に各チームを支援してくれ!」
「イエス・コマンダー!!」
リィンは仲間達に指示をした後ベルフェゴールとアイドスを召喚して仲間達と共に戦闘を再開し
「――――今よ!」
「さあ、一気に駆け抜けるよ!」
「おおっ!!」
その様子を見て戦場を駆け抜ける機会が来た事を悟ったシェラザードとアネラスは号令をかけ、アリサ達と共にその場を駆け抜けて先へと急いだ。
「セキュリティーを全て突破!これより黒の工房の情報収集、並びに工房内の設備のシステムダウンを開始します!」
「うふふ、ついでに工房内にある人形兵器や魔導人形をハッキングで乗っ取って、この工房をもっと賑やかにしてあげましょうか♪」
「やった……!」
「さすがティオ先輩です!」
「レン皇女殿下との協力もあって、予想していたよりも圧倒的に早く端末のセキュリティーを突破できましたね……!」
「ああ……だけど、ここは敵――――――それもローゼンベルグ工房と同じ結社に関わっていた工房の”本拠地”の一つだ。セキュリティーを突破した事でそろそろ”敵”もこちらに気づくかもしれない――――――」
一方端末を操作していたティオの報告とティオの傍に置いてあるENGMAに映っているレンの映像の話を聞いたノエルとユウナ、エリナは明るい表情を浮かべたが、ある事に気づいていたロイドは真剣な表情で周囲を警戒していた。すると”ギアモード”の人形達が飛行型の人形兵器達と共に転位でロイド達の周囲に現れた!
「セキュリティーの突破を感知。」
「これよりハッキングの阻止を開始します。」
「ハッ、ようやく俺達の出番ってか!」
「どうやら端末のセキュリティーを突破した際にハッキング元がわかるような罠が仕掛けられていたようね……!」
「ティオの邪魔はさせません!」
「それじゃあ、張り切っていくよー!キーアちゃん、まずは”アレ”をお願いね!」
人形兵器達の登場を見たランディはスタンハルバードを構えて不敵な笑みを浮かべ、銃を構えたエリィと弓に矢を番えたセティは真剣な表情で周囲の敵を見回し、大剣を構えたシャマーラは未来のキーアに声をかけた。
「うん!――――――元気出して行こう!プリマスマイル!!」
声をかけられた未来のキーアは頷いた後自身が持つ未来の戦術オーブメントの機能の一つである一定時間味方に様々な支援効果を付与するシステム――――――”ブレイブオーダー”を発動させて”発動時に自分を含めた味方全員のCP(クラフトポイント)を全快にし、更に一定時間自分を含めた味方全員の攻撃手段が必ずクリティカルになる”という超強力な支援効果をロイド達に付与した。
「特務支援課、これより敵の迎撃を開始する。――――――女神達の加護を!絶対にティオと端末を守り抜くぞ!」
「おおっ!!」
そしてトンファーを構えたロイドの号令の元、特務支援課は迎撃を開始した!
それぞれが激闘を繰り広げている中、紅き翼の面々はセドリック皇太子捜索の為に先を進み続けていると広い部屋に出た。
~Bルート~
「みんな、気を付けて!」
仲間達と共に先へと進んでいたエリオットだったが、突如聞こえてきた転位の”音”に真っ先に気づいて警告して仲間達と共に立ち止まると”ギアモード”型の人形達が転位で現れて先を阻んだ。
「命の息吹を感じない……!」
「ホムンクルスじゃなくて精巧な人形兵器みたいね!」
突如現れた人形が人でない事を悟ったガイウスとサラは真剣な表情で声を上げた。
「侵入者を発見・補足しました。これより殲滅モードへ移行します。」
人形は淡々と宣言した後戦闘を開始した!
~同時刻・Aルート~
「みんな、気を付けたまえ!」
同じ頃アリサ達も先へと急いでいたが敵の気配を逸早く悟ったアンゼリカが警告して仲間達と共に立ち止まると、男性班に現れた人形とは色違いの人形達が転位で現れた!
「あ、あれってさっき現れた……!」
「ホムンクルスと戦術殻を融合した姿に似せた人形兵器……!」
「さっさと殲滅して先を急ぐよ!!」
人形達の登場にアリサが驚き、フィーは真剣な表情で声を上げている中、アネラスが号令をかけて戦闘を開始した――――――
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