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DQ3 そして現実へ…~もう一人の転生者(別視点)

作者:あちゃ
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忍者ハッタリ君、只今参上!

 
前書き
新年明けましておめでとうございます。
年明け一発目のサブタイトルがコレってどういう事!?とお思いでしょうが、『だから良し!』と言う気持ちで掲載致しました。

♪山を飛びー谷底へー…♪
♪僕等の町へやっと来たー!♪
♪ハッタリ君がやっと来た!♪

昔、こんな歌を『ドランクドラゴン』がネタで歌ってた。


さて、それでは新年一発目のマリーちゃんをお楽しみください。 

 
「リュカさん、何を考えてるんですか!!?もし逃がしでもしたら、私達は大魔王討伐所じゃ無くなるんですよ!」
「そ、そうよリュカ!今からでも間に合うから、王様に謝って取り消して貰いましょう!」
「ごめんなさいお父さん…私が変な情報を得た為に…今回は無茶が過ぎるわ!冷静になって次の手を考えましょうよ…ね!」

事の発端は私の情報だ…
流石に今回は分が悪すぎる!
私は元より、お母さんもアルルさんも必死で説得する。

「大丈夫、大丈夫!」
何がどう大丈夫なのか…何時もと変わらぬ軽い口調のまま、城を出てズンズン城下を進んで行くお父さん。
お願いだから思い止まって!


バコタの捕らえられている留置場へ赴く途中、お父さんはペットショップへ立ち寄ると、大型犬用の首輪を購入する。
一体何に使うのか?

「お、おい…まさか、それで…」
いや、あり得ないだろう…犬じゃないんだから、そんな物外せるし…
仮に外せなくても、首輪だけじゃ勝手に逃げる事も出来るし…

「なぁ旦那…その首輪…まさかアイツに…?」
「そうだよ。これを首に付けて、逃げられなくするの」
どうしよう…まさか本気だとは…

「そ、そんな物を首に付けたって、逃げようと思えば簡単に逃げられるだろ!」
「勿論これだけじゃないよ。鎖も付けるよ」
鎖なんか買ってないじゃない!

「く、鎖って…そんな物付けたって、首輪を外せば意味無いじゃない!そ、それに…鎖なんて何処にあるのよ!」
私と同じ疑問を持つアルルさんが、大きな声で疑問を投げ付ける。

「うるせーな…簡単に外せない様にするさ!それに鎖は必ずしも目に見えるとは限らないんだよ!」
しかしお父さんは、めんどくさそうに答えると、
「あ、そうだ…アルル、光の玉を使いたいんだ…貸して!」
自分勝手に光の玉をアルルさんから受け取り、スタスタ留置場へと行っちゃった。



はぁ~…留置所に着いてしまった。
考えたくはないが、本当はすっごい馬鹿なのか?
お父さんは時折格好いいだけで、正体は馬鹿男なのか?

以前はともかく、今はお父さんの事が大好きな私には、今回のお父さんの奇行は理解に苦しむ。
それとも何かトリッキーな作戦でもあるのだろうか?
うん。それを信じるしか道はないわね…うん。

「ん…何だ~?今日は随分と大人数での面会だなぁ………あ、テメーはあの時の!!」
細身の不男がお父さんを見て驚いている。
どうやらお父さんとは知り合いのご様子。

「?………何だ?…僕の事を知ってるの?」
あれ?お知り合いじゃないの?
「な……テメ~…忘れたとは言わせないぞ!」
でも不男の方はお父さんを知っている…
彼女でも寝取られたのか?

「忘れるも何も…お前の事など知らん!」
言い切った…本当に記憶にないんだわ!
「な、何だと…キサマ~…「そんな事より!」
プルプル震えて怒る不男の言葉を遮り、自分の流れに持って行くお父さん。

「お前…『レミラーマ』って魔法使えるのか?」
「あ゛?使えるがそれが何だ!?」
ふむ…取り敢えずは役に立つのかもしれないわね…でも、使えない方が今回は良かったのかも…

「よし。じゃぁ手伝え!ラダトーム城に『太陽の石』ってアイテムがあるらしいんだが、何処にあるのか分からない。お前、探し出せ!」
何が凄いって、人に頼み事をする態度じゃないのよ。

「おま…そ、それが人に物を頼む態度かよ!………そのアイテムは、価値があるのか?」
「ない!金銭的な価値はない!でも僕等には重要なアイテムだ!だから探し出せ!」
あまりこう言う小悪党に“僕等には重要なアイテム”と言うのはどうかと…ほら、ヤツの顔がニヤけてる!

「ふ~ん…まぁ…協力してやらない事も無いが………その前にオレ様を此処から出す事が条件だな!それから…そっちの金髪美人とヤらせろ!それから………まぁ、他の条件は追々だな(笑)」
あ……………この馬鹿、地雷踏んだ…

よりによってお母さんとヤらせろって言っちゃった!
もうお父さんの頭の中には、世界を平和にする事など微塵もないかもしれない…
コイツぶっ殺す事しか、考えられなくなってるかもしれないわ。

「ぎゃはははは!いいんだぜ、協力しなくてもよー!」
お父さんの激しい怒気に気付かない不男(ばか)は、優位に立てたと思い込み馬鹿笑いを響かせる。
しかしお父さんは、凍り付く様な目で見据えたまま、
「アルル…最後の鍵で牢を開けて…」
と、不男の解放を指示した。

普段だったら絶対に牢屋を開けないアルルさんだが、今回はお父さんが怖すぎて問答する事も出来ず、素直に牢を開けてしまう。
これはアルルさんの所為ではない!
アルルさんは何も悪くはない!
だってお父さんが怖すぎるんだもん!!

「へっへっへっ…じゃぁ早速金髪ちゃんを…「バギマ!」
(ドゴッ!!)
「ぐはぁ!」

イヤらしい手付きでお母さんに近付こうとした不男は、不意に唱えたお父さんのバギマ(風だけ)に吹っ飛ばされた!
バギだって相当な威力のハズなのに、今回バギマでお仕置きをするお父さん…
きっと死んだ方がマシ級に痛いのだろう。

「ティミー、ヤツの右腕と右足を押さえ付けろ!…ラングストンは左腕と左足だ!」
お父さんが怒った時の怖さを知っているお兄ちゃんは、余計に怒らせない様に機敏に動き指示に従う。
しかし、お父さんが怒った時の怖さを知らないラン君も、既に怖さの一端を実感した様で、何時もの軽口を叩かずに、大人しく指示に従っている…正しい判断だ!

「テ、テメー…こんな事してただで済むと思っているのか!?オレが協力しねーと、そのナントカってアイテムが見つけられないんだろ!」
分かってないのはお前だ!
お父さんにとって世界の…しかもこっちの世界の平和など、実際どうでもいいのだ。

それよりもキサマが先程イヤらしい事をしようとした、愛しの奥方の方が大切なのだ!
あぁ…もうお父さんには『太陽の石』などどうでもいいのだろう…
これからムカツク不男に、拷問をするのかもしれない…

「うるせー…舌を引っこ抜かれたくなかったら、黙ってろ!」
ほら…有無を言わせる気もないらしい。
しかしお父さんは、不男の側に近付くと買ってきた首輪を取り付け鷲掴み、聞いた事のない言葉で呟き始めた。

「¢ÅΨαПя¥@」
何語かしら?
適当にビビらせてるだけかしら?

「お、おい…な、何やってんだ…おい!(涙)」
まぁ…ビビらせるだけであれば、概ね成功だわね!
不男半泣き状態よ。

「おい!!何なんだよ!!何か熱いぞコレ!?」
お兄ちゃんとラン君に押さえ付けられながらも、恐怖から藻掻く不男は見苦しい。
でも気持ちは解る…だって何やらお父さんの魔法で、首輪付近が光ってるんだもん。

「メガンテ」
え、今何と!?
メ、メガンテ…“目がテン”じゃなくて?


先程の“メガンテ”で作業は終了したらしく、不男から少し離れ冷たく見据えるお父さん。
そして少しだけ間を置いてさっき程の作業を語り出す…
「おい…今お前が首に巻いている物は『メガンテの首輪』という…正しい手順で外さないと、首輪から半径50センチは大爆発する…気を付けろ」
『メガンテの首輪』って、グランバニアに来た奴隷商人が使っていたアイテム?

「まず最初に唱えた呪文だが、あれはこの光の玉のパワーを、その首輪に纏わせる呪文だ。そして次の呪文は言うまでもない『メガンテ』だ!自爆魔法として知られてる『メガンテ』を、光の玉のパワーで包んで首輪に閉じこめた!」
光の玉のパワーを………ってなぁ~んだ…ハッタリか!

「いいか…その首輪にループする様に光の玉のパワーを纏わせてある。無理に外そうとすれば、纏ってある光の玉のパワーに穴が空き、そこから『メガンテ』発動する仕掛けになっている。また光の玉のパワーが届く範囲は、約300メートルだ!従って僕の持つ光の玉から300メートル以上離れると、『メガンテ』を押さえ付けるパワーが消えて、その首輪は爆発する…僕からは離れない方が懸命だぞ」

上手い事を考えるわね。
コレなら外さないと逃げられないし、外し方も分からないから結局逃げられない!
……でも、流石にハッタリが過ぎるんじゃないかしら?

「は…ははは…そ、そんなの…ハ、ハッタリだ…と、取ったって…爆発なんか…」
ほら、今のところは半信半疑。
「そう思うなら外せ!ハッタリだと思うのなら、今すぐ外せ!これ以後の話をするのは、それからだ…何時までもその首輪の真偽について話したくない。さっさと結論を出す為に外せ!それでハッタリかどうかは結論が出る!」

そうきたか!
流石、大国グランバニアの国王陛下!
疑われても強気に出て、自ら外す様に嗾ける…相手がザコ級の小心者だから効果があるけど、自棄を起こされたらアウトよね。

「お、おい…いいのかよ…こんな物付けたままじゃ…オ、オレは協力しないぜ…は、外せよ!コレ外したら手伝ってやるからよ!!」
う~ん…コイツのは効果絶大か!
強気に出ようと努力はしてるが、腰が引け引けで情けない。

「何か勘違いしてないか?お前に命令を出す権利はない!お前に出来る事は、僕達に協力して『太陽の石』を探すか………死ぬかだ!…ソレを付けたままじゃ協力しないと言うのなら…そのまま死ね!」
かっちょい~………
『死ね!』とか平気で言えるって、相当な覚悟だと思う…『殺す!』て言うより覚悟がいるんじゃないかしら?

不男も外させる為に何かを言おうとするが、お父さんはヤツが発言する前に踵を返し、この場を立ち去ろうとする。
「お、おい!!ど、何処に行くんだよ!?」
うん。決定打かもね。
だって不男、涙目状態ア~ンド声裏返りだもん。

「協力しない奴に構っている程、僕等は暇じゃないんだ!『太陽の石』を探しに、再度ラダトーム城へ赴く…じゃぁな!」
お父さんは不男に背を向けたまま、冷たい口調で言い捨てる。

「ちょ、ちょ、ちょっと、待って…待ってよ!」
不男は少しでもお父さんに近付こうと鉄格子に体を押し付けて距離を縮める。
「ラダトーム城って…此処から2キロは離れてるぞ!コ、コレが爆発しちゃうじゃねーかよ!どっか行くんなら、コレを外せよ!爆発しちゃうよ(泣)」

「さっきも言ったが、協力し『太陽の石』を探すのに尽力すれば、ソレを外してやる…お前に残されている道は、協力して生き残るか、協力せず死ぬかだ!」
まずい…リュリュお姉ちゃんが変態的なのがよく分かる。
だって私、濡れてるもん!

「と、父さん…先程からあまりにも非人道的すぎです!…どうか(バコタ)から首輪を外して、今回の事はなかった事にしましょう…『メガンテの首輪』は酷すぎます!父さんだって、あの奴隷商人が『メガンテの首輪』を付けた奴隷を連れてきた時は、怒り心頭だったじゃないですか!あんな人間のクズになり果てるのは止めてください…」
お!?このパーティーの良心であるお兄ちゃんが、遂に動き出した。

お父さんと口論しても負けると分かっていても、良い子ちゃんには黙ってられない。
だからお兄ちゃんは素敵なのだ!
何で私の血縁(かぞく)は良い男揃いなんだ!?

「奴はビアンカとヤらせろと言ったんだ!僕の愛する妻と………お前は我慢出来るのか!?アルルとヤらせろと言われても…そのシーンを想像してしまっても!?」
そうよね…核爆弾級の地雷だもんね。
踏んだアイツが馬鹿なのよ!

「…ぐっ!た、確かに…そんな想像をしてしまっては…」
なぬ!?
まさかまさかの大逆転?
色ボケ状態のお兄ちゃんには、想像するだけで怒りが込み上げちゃうの?

「な、な、何だよ!オレは言っただけだろ…想像したお前等が悪いんだろ!!」
「……………」
言う事自体に問題があるとは考えない不男…
そんなヤツを睨んで目を閉じ天を仰ぐお兄ちゃん。

いやいや…そんな、まさかでしょ?
お兄ちゃんまでもがお父さんと同じ思考回路に達しちゃったら、このパーティーはどうなっちゃうの?

「こんな奴、放っておきましょう!世界を救おうとする我々に協力するでもなく…自らの欲望のみに生きる男など…生かしておく価値はない!」
あ~ぁ……
アナキン・スカイウォーカーがダークサイドに落ちたのと同じ事が起きた。
シスの暗黒卿は強かった…

憎しみを込めて不男を睨むと、お父さんと一緒に出て行こうとするお兄ちゃん。
ルーク・スカイウォーカーが居ない状況で、この二人を説得(たお)す人物など此処には居ない…
もう一人の良心も諦めて出て行こうとする。
まぁ、どうせハッタリなのだから、出て行ったって問題はないんだけどね。

「待って!!わ、悪かった…オ、オレが悪かったって!協力する…全面的に協力しちゃう!だ、だから…お願い助けて…し、死にたくない…オレ、まだ死にたくないんだ!」
しかし、ハッタリである事など知る由もない不男は、涙ながらに協力を誓う。

それを聞いたお父さんとお兄ちゃんは不男の側まで引き返し、腕を後ろに組んで威圧する様に問いかける。
「僕達に協力するのか?…言っておくが1度でも逆らったら、例えお前の功績で『太陽の石』を入手出来ても、その首輪は外さないぞ…ちゃんと理解しているのか?」
理解はしてるだろうな…だからこその命乞いなのだから。

不男は大きく頷き「分かった」「逆らわない」と連呼した。
それを聞いた瞬間、私達に背中を見せているお父さんとお兄ちゃんの右手が、グッとサムズアップ状態になる。
私は唖然とした…お父さんはハッタリの為冷酷に振る舞っていたが、お兄ちゃんまでもが同じ考えの下芝居をしていたなんて…

う~ん………恐ろしい子!



 
 

 
後書き
2013年もこんな調子で頑張ります。
皆様、よろしくお願い致します。 
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