夢幻水滸伝

「攻めてくる敵軍の足元を攻めて」
「倒す」
「そうするのですね」
「はい」
　弥生と千歳に答えた。
「そうしましょう」
「私もそれでいいとです」
　今度は太宰が言ってきた、綾乃に何かあればその時は今軍勢の指揮を執る星の者の最上位、宰相としてその座にある彼も出て来たのだ。
「思いますので」
「宰相さんが許可を出されたらにゃ」
　弥生は太宰の言葉を聞いて言った。
「棟梁さんの許可と同じですにゃ」
「いえ、そこは違います」
　生真面目な太宰は弥生のその言葉は否定した。
「あくまで」
「といいますと」
「既に司馬さんのお考えは棟梁にお伝えして」
　そしてというのだ。
「許諾を得ています」
「そうですにゃ」
「司馬さんからお話を聞いて」
「すぐにですにゃ」
「空船が動き出した瞬間に」
　まさにその時にというのだ。
「お話をしまして」
「それで、ですにゃ」
「許諾を得ました」
「それではですにゃ」
「はい、ここはです」
「地震を起こすにゃ」　
　その様にしてというのだ。
「そうするですにゃ」
「今敵は一斉に前に出てきていますが」
　中国軍のその動きもだ、太宰は話した。
「一斉攻撃に来る、そして」
「まさに攻撃を仕掛けるその瞬間です」
　その時にとだ、策を考えた雅が答えた。
「地震を出すのは」
「その時ですか」
「術を繰り出すのは」
「はい、敵は数を頼みに砲撃と銃撃、術も使い」
　そうしてというのだ。
「槍や戟も繰り出してです」
「一気にですね」
「こちらに渾身の一撃を浴びせ」
「そうしてからですね」
「数で押し潰そうとするでしょうが」
　それでもとだ、雅は千歳に話した。
「ですが」
「その攻撃を放とうとする瞬間に」
「ここでは地震、そして海では」
「津波ですね」
「そのことは吉川さん達にお話しました」
　水軍を率いる星の者達にというのだ。
「そうしましたので」
「だからですね」
「そちらも大丈夫です、敵も地震は津波は警戒していますが」
　それでもとだ、雅はさらに話した。
「攻撃を率いる瞬間は」
「その時はですね」
「どうしても隙が出来ます、ですから」
　その瞬間にというのだ。
「仕掛けるのです」
「そうですか」
「そうすれば」
「これで、ですね」
「中国軍は攻撃を失敗し」
「そして私達の一撃を受けて」
「中国軍は大きな打撃を受けます、そしてこの打撃が」
　雅は千歳にこうも話した。
「この戦の趨勢をです」
「決めますか」
「そうなります、一騎打ちの方もそろそろ」
「決着がついてきますか」
「松尾さんと玲子ちゃんは負けません」
　この二人は絶対にというのだ。